コネクタの種類・特徴を紹介【形状・接続方法・分野別】
- 半導体用語集

電子機器や電線をつなぎ合わせる役割を持つコネクタは、電気信号や電力を効率的に伝達するための部品です。コネクタは使用する機器や装置によって様々な種類があるため、今回は形状・接続方法・分野に分けて解説します。
コネクタとは? ケーブル・アダプタ・プラグ・ジャックとの違い
コネクタとは、電気信号や電源を伝送するための接続部品の総称です。ケーブル同士やデバイスとケーブルを接続する役割を持ちます。
機械的・電気的な接続は、端子(ピンやソケット)によって可能にします。USBコネクタやHDMIコネクタには、オス・メスの区別があるのが特徴です。
ケーブルやアダプタ、プラグ、ジャックといった用語は、コネクタと似たような意味合いで使われますが、それぞれの役割は異なるので、以下で解説します。
ケーブル
ケーブルとは、複数の導線(電線)を束ね、外装で保護された電気・信号・データを伝送するための部材です。片側もしくは両側にコネクタが付く場合が多く、種類は電源ケーブルやデータケーブル、音声ケーブルなどがあります。
アダプタ
アダプタとは、異なる規格のコネクタや信号を変換するための装置・部品です。物理的な形状変換ができ、信号変換を伴う場合もあります。
形状変換の例:USB Type-A → Type-C
信号変換の例:HDMI → VGA
ジャック
ジャックは、通常「メス側(受け側)」のコネクタのことを指します。デバイスや機器に固定されている場合が多いです。一般的に挿す側(プラグ)を受ける形状をしています。
プラグ
プラグは、通常「挿す側」のコネクタのことを指します。ジャックに差し込むことで接続が成立します。ジャックとプラグは、広義な意味でコネクタにあたります。
まとめると、それぞれ以下のような役割があります。
コネクタ:接続部すべてを指す用語
ケーブル:信号や電力を伝送する線状のもの
アダプタ:変換や接続のための中継部品
ジャック:メス側の接続端子
プラグ:オス側の接続端子
コネクタの種類は大きく分けると2タイプ
コネクタは大きく分けると、一体型の固定された1ピースタイプと複数の部品(プラグ・ソケット)を接続するタイプに分けられます。
1ピースタイプのメリットは、コネクタとケーブルが一体化されているため、接続不良のリスクが少なく振動や衝撃に強いところです。例えば、はんだ付けコネクタは1ピースタイプで、スマートフォンの内部基板や家電製品の固定配線で用いられます。
複数の部品で接続するタイプのメリットは、プラグとソケットを別々に扱えるため、必要に応じて接続・切断が容易なところです。プラグやソケットの形状・サイズが多様なので、用途によってコネクタの種類を選択できます。
以下では複数の部品で構成されるタイプのコネクタには、どのような種類があるかを解説します。
【形状別】コネクタの種類
コネクタの形状は、用途や設置環境に応じて多様です。丸形・角形・フラット形が、どのような場面で使用されるのかを紹介します。
丸形
円形の形状をしている丸形コネクタは、ケーブルの取り回しが柔軟で、配線しやすい特徴があります。
機械的な耐久性が高く、振動や衝撃にも強いため、過酷な環境下の接続に適しています。特に産業用ロボットや医療機器など、厳しい条件下で使用されています。
角形
四角の形状をしている角形コネクタは、高密度・多ピン・堅牢性が求められる場面で適しています。角形の形状により、多数のピンを効率的に配置でき、高速なデータ伝送が可能です。
代表的なものとして、PCI ExpressコネクタやDVIコネクタがあります。特に、コンピュータの周辺機器の接続で利用されます。
フラット形
フラット形コネクタは、薄型で平面的な設計が特徴です。狭いスペースでも設置しやすく、ノートパソコンやスマートフォンなどの携帯型デバイスに多く使用されます。
例えば、FFCコネクタはフレキシブルケーブルと組み合わせて使用され、軽量かつ柔軟な配線が可能です。狭小スペースでの高密度配線が求められる最新の電子機器で特に役立ちます。
【接続方法別】コネクタの種類
コネクタの接続方法は、1ピースタイプと2ピースタイプでそれぞれ多様にあるので、代表的な接続方法を紹介します。
プッシュオン
プッシュオンコネクタは、押し込むタイプのコネクタです。接続の簡単さと耐久性を両立しつつ、高速接続が求められる場面でよく利用されています。
リバーシブル
プッシュオンコネクタのリバーシブルタイプは、表裏のどちらの向きでも接続可能な設計です。接続時の向きに悩むことがなく、誤接続のリスクが減るため、ユーザーの使い勝手が向上します。
代表的なUSB Type-Cは、データ転送速度が高速であり、充電も可能なため、最新の電子機器で広く採用されています。
ネジ込み
スレッド式のネジ込みタイプは、確実な固定が必要な接続に適しています。回転させて締め付けることで接続するため、振動や衝撃に強いメリットがあります。
はんだ付け
はんだ付けコネクタは、基板上に固定するタイプのコネクタです。一度接続すると簡単には外れないため、安定した接続が求められる用途に適しています。
主に、内部配線や永久的な接続が必要な機器に使用されます。高い信頼性が求められる産業用途や、長期間にわたる使用が前提となる機器に最適です。
【分野別】コネクタの種類
使用される分野によっても、コネクタの種類は異なります。
コンシューマー用
スマートフォン、パソコン、テレビなどの日常的な電子機器に広く使用されるコネクタには、USBコネクタやHDMIコネクタがあります。
USBコネクタ
USB(Universal Serial Bus)コネクタは、データ転送や電源供給に広く使用されています。主な種類はUSB Type-A、Type-B、Type-Cです。
HDMIコネクタ
HDMI(High-Definition Multimedia Interface)コネクタは、高画質な映像と音声を同時に伝送するために使用されます。一般的にパソコンやゲーム機などで使用されます。
D-subコネクタ
D-subとは、D字型の金属シェルがあるコネクタで、コンピュータや電子機器の接続に幅広く利用されている標準的なインターフェースです。D字型のため、正しい向きでのみ接続でき、確実な接続が可能です。
Lightningコネクタ
Apple製品に特化したコネクタで、iPhoneやiPad、iPodなどに使用されます。コンパクトな設計で、充電やデータ転送が可能です。
自動車用
自動車内の各種電子システムを接続するために使用されます。
ハーモニックドライブコネクタ
ハーモニックドライブとは、高精度な減速機構を使用したシステムです。コネクタは、モーター、エンコーダ、センサー、制御ユニットとの接続を行い、ハーモニックドライブの精密な動作制御を可能にします。
CANコネクタ
車両の電子システム間のデータ通信を行うためのコネクタです。特に、エンジン制御、トランスミッション、ABS(Anti-lock Brake System)などの重要なシステム間でリアルタイム通信を行います。
通信機器用
インターネットや電話などの通信インフラで使用されるコネクタです。
光ファイバーコネクタ
高速なデータ伝送が可能な光ファイバーコネクタは、ケーブル同士や機器とケーブルを接続するために使用されます。形状の種類は、SC・LC・STなどがあります。
RJ45コネクタ
イーサネットケーブルに使用されるRJ45コネクタは、オフィスや家庭のネットワーク機器の接続に欠かせません。安定した通信を実現するために広く採用されています。
SFPコネクタ
SFP(Small Form-factor Pluggable)コネクタは、スイッチやルーターなどの通信機器に使用される小型のモジュラー型コネクタです。光ファイバーや銅線ケーブルに対応しています。
医療機器用
病院や診療所で使用される各種医療機器の接続に用いられるコネクタです。モニターやポンプ、診断機器間で確実な接続を実現します。
医療現場では、誤接続や接続不良が患者の安全に直結するため、高品質なコネクタが必須です。滅菌可能な素材や耐久性の高い設計が求められ、信頼性と安全性が重要とされます。