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トランジスタとは? 種類や役割、それぞれの特徴を解説

  • 半導体用語集
公開日:2024.10.31

トランジスタは、電気信号のスイッチング・増幅する機能がある半導体素子です。1947年に発明されて以降、さまざまな分野・用途で活用されています。例えば、拡声器や心電図などでトランジスタは欠かせません。

本記事では、トランジスタとは何なのか? その基本構造や種類、そしてどのように使われているのかについて紹介します。

 

 

トランジスタとは?

トランジスタは、半導体材料で作られている能動部品の1つです。「能動」というだけあって、トランジスタは外部からのエネルギーを利用して動作します。具体的には、電流や電圧を制御するためのスイッチングや増幅器として働き、簡単に言えば、小さな信号をより強い信号に変えたり、スイッチで電気の流れを制御する役割があります。

現在のデジタル機器における主要な要素であり、集積回路(IC)の中で無数のトランジスタが使われています。

 

 

トランジスタの種類

トランジスタは大きく分けると、「バイポーラトランジスタ」「ユニポーラトランジスタ」「絶縁ゲートトランジスタ」の3つに分けられます。

それぞれどのような違いがあり、どのような用途で使用されるのか解説します。

 

 

バイポーラトランジスタ (BJT)

バイポーラトランジスタ(BJT:Bipolar Junction Transistor)は、N型半導体とP型半導体が交互に配置された構造を持つ半導体素子です。N型半導体の主なキャリアは電子で、負の電荷を持ち、P型半導体の主なキャリアは正孔で、正の電荷があります。そして、エミッタ・ベース・コレクタという3つの端子を持ちます。

「電流制御型」のトランジスタであり、ベースに電流を流すことで、エミッタとコレクタ間を流れる電流を制御します。この特性により、アナログ増幅器や信号処理回路などでよく使用されます。

それぞれの端子は、以下のような役割があります。

エミッタ:電流を流し出す
ベース:トランジスタをオンまたはオフにするための少量の電流が流れる
コレクタ:電流を受け取る

 

BJTは回路の設計に応じて、以下の2種類が使い分けられています。

 

NPN型トランジスタ

ベースに少量の正電流を加えると、エミッタからベースに電子が流れ込みます。この電子はベースを通過し、コレクタに引き寄せられてエミッタからコレクタへ電子が移動します。

このとき、電子の流れはエミッタからコレクタへ向かいますが、電流は逆方向に流れるので、コレクタからエミッタへ大きな正電流が流れます。

 

 

NPN型はPNP型よりも一般的に扱いやすく、標準的なスイッチング回路やデジタル回路での使用が多いです。

 

 

PNP型トランジスタ

各端子の役割はNPN型と同じですが、PNP型は動作の方向が逆です。ベースに少量の負電流を加えることで、電子がコレクタからベースを通過し、エミッタへと流れ込みます。

電流は逆方向に流れるため、エミッタからコレクタへの大きな電流が流れるようになります。

 

 

 

ユニポーラトランジスタ(FET:Field-Effect Transistor)

ユニポーラトランジスタは、電界効果トランジスタ(FET:Field effect transistor)とも呼ばれる「電圧制御型」のトランジスタです。FETは、電子または正孔のいずれか1種類のキャリアだけで動作します。

FETはソース・ドレイン・ゲートという3つの端子を持ち、ゲートに電圧を加えることで、ソースからドレインへの電流を制御します。

 

ユニポーラトランジスタは、大きく2つに分けられます。

 

MOSFET(Metal-Oxide-Semiconductor Field-Effect Transistor)

現在最も広く使用されているユニポーラトランジスタで、主にデジタル回路に用いられます。Nチャネル型とPチャネル型の2種類があり、ゲートに加えた電圧で電流の流れを制御します。

MOSFETに関する詳細は、以下の記事をご覧ください。

 

 

JFET(Junction Field-Effect Transistor)

ゲートに電圧を加えることで、ソースからドレインへの電流を制御する構造を持ちます。JFETは、ゲートとチャネルの接合部を利用して電流を制御する仕組みが特徴です。

JFETもNチャネル型とPチャネル型の2種類があり、アナログ信号の処理や特定の低周波増幅回路などで活用されています。

 


絶縁ゲートトランジスタ(IGBT:Insulated Gate Bipolar Transistor)

絶縁ゲートトランジスタ(IGBT)は、MOSFETとBJTの特性を組み合わせたパワー半導体素子です。IGBTはMOSFETのように電圧制御で動作し、BJTのように大電流・高耐圧の処理能力を持っています。

高効率で低損失なスイッチングを実現できるため、インバータや電源装置、モーター制御などの大電力を必要とするアプリケーションで広く使用されています。

 

Nチャンネル

N型半導体を使用しており、電子を主なキャリアとするため、高速動作と高効率が特徴です。電圧がゲートに加えられると、コレクタからエミッタへ電流が流れます。

 

Pチャンネル

P型半導体を使用しており、正孔を主なキャリアとするため、Nチャンネルよりも動作速度が遅いです。特定の用途に適しています。

 


それぞれの特徴をまとめると…

 

  種類 特徴 主な用途

 

バイポーラトランジスタ
 (BJT)

 

NPN型
PNP型

・電流制御型
・アナログ信号の増幅が得意
・アナログ回路での電流制御がしやすい

アナログ増幅器
信号処理回路

 

ユニポーラトランジスタ
 (FET)

 

MOSFET
JFET
・電圧制御型
・省電力
・MOSFETは高速スイッチングが可能
デジタル回路
高周波回路
アナログ回路

 

絶縁ゲートトランジスタ
 (IGBT)

 

- ・電圧制御型
・MOSFETとBJTの特性を併せ持つ
・高耐圧・大電流処理に優れる
インバーター
モーター制御
大電力アプリケーション

 

 

おすすめのMOSFET取り扱いメーカー

以下のメーカー様では、MOSFETのお取り扱いがあります。

 

FETek Technology Corporation.

2013年に台湾(新竹)で設立したFETek Technology(エフイーテックテクノロジー)は、優れた研究開発チームを持つIC設計会社です。
特に、Power MOSFETは優れたパフォーマンス、信頼性、価格の利点を備えています。

 

 

 

Cystech Electronics Corp.

Cystech(システック)は、パワーデバイス分野における台湾のリーディングカンパニーです。

20年以上の開発経験と26年以上の製造実績があり、お客様のニーズやご要望に柔軟に対応し製品を提供しています。情報通信、DCファン、ディスプレイ、電源、カーエレクトロニクス、電源システムの分野で幅広く採用されて多くの製品に使われています。

 

 

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