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MOSFETとは?仕組みから用途まで徹底解説

  • 半導体用語集
公開日:2024.07.24

半導体業界にいる方ではよく耳にする存在、「MOSFET」。

名前は聞くけれど、どういったものでどんな場面で使われるかよくわからないという方も多いのではないでしょうか。

本記事では、MOSFETとはいったい何なのか?

基本的な構造や仕組みから始め、その種類や特徴、具体的な用途、おすすめのメーカーなど詳しく解説します。

総合的に理解するためのガイドとしてぜひお役立てください。

 

 

 

MOSFETとは?

 

MOSFET(Metal-Oxide-Semiconductor Field-Effect Transistor)は、金属/酸化膜/半導体(MOS構造)と電界効果トランジスタ(FET)を組み合わせたトランジスタになり、3つの端子(ゲート:G、ドレイン:D、ソース:S)からなるスイッチデバイスの一種です。

ゲート(G)の印加電圧によって、ドレイン(D)ーソース(S)間に流れるドレイン電流を制御します。

 

 

トランジスタの種類

 

MOSFETはトランジスタの一種なので、MOSFETとその他の種類と特徴についても触れていきますね。

 

 

バイポーラトランジスタ

BJT

Bipolar Junction Transistor

金属酸化膜半導体FET

MOSFET

Metal Oxide-Semiconductor FET

絶縁ゲートトランジスタ

IGBT

Insulated Gate Bipolar Transistor

駆動方法

電流駆動

(ベース電流)

電圧駆動

(ゲート電圧)

電圧駆動

(ゲート電圧)

駆動電力 大きい 小さい 小さい
スイッチング速度 低速 高速 中速
高耐圧化 容易 構造変更が必要 容易
温度安定性 悪い 良い 良い
大電流化 中電流 小電流 大電流
オン抵抗 普通 高い 低い

 

 

 

MOSFETのメリット

 

ゲート電流の損失が発生しない:MOSFETは電圧駆動のためゲートは絶縁されている。

スイッチング速度が速い:バイポーラトランジスタより速度が速いです。

小型化が容易:アナログ回路の集積化が実現。デジタル回路においても論理回路のCMOS(相補型電界効果トランジスタ)で採用されています。

 

 

 

MOSFETの基本構造と仕組み

 

MOSFETは半導体のシリコン表面を酸化させ、SiO2(二酸化シリコン膜)を生成後に、電極として金属を付けた構造になります。

上記の表でもわかる通り、バイポーラトランジスタは電流駆動、MOSFETは電圧駆動になりますので、MOSFETは駆動損失(電力ロス)は発生しない仕組みになります。

MOSFETは、ゲート、ドレイン、ソースの3つの端子から構成されています。

ゲート電圧によってドレインとソース間の電流を制御することができます。

MOSFETにはnチャネル型とpチャネル型の2種類があり、それぞれ異なる特性を持ちます。

 

 

Nチャネル型

 

Nチャネル(N-Ch)型はS(ソース)に対してプラスの電圧をG(ゲート)に印加するとON(導通状態)になります。

 

 

Pチャネル型

Pチャネル(P-Ch)型はS(ソース)に対してマイナスの電圧をG(ゲート)に印加するとON(導通状態)になります。

 

Nチャネル型の方が回路的に使いやすいので、Nチャネル型MOSFETの方がよくもちいられます。

上記分類以降、エンハンスメント型(ゲート電圧を印加して電流が流れるFET)とデプレッション型(ゲート電圧を印加しない時に電流が流れるFET)に分類されます。

エンハンスメント型はFET(電界効果トランジスタ)の仕様で、MOSFETはエンハンスメント型がほとんどになります。

 

 

 

MOSFETの主な用途

 

MOSFETは特性を活かし、多くの分野で使用されています。

主な用途としては、スイッチング電源として用いられます。

 

 

スイッチング電源

 

MOSFETは、高速スイッチングが可能なため、スイッチング電源回路において広く使用されています。高周波での動作が可能であり、効率的な電力変換が実現します。

 

 

自動車電子機器

 

自動車のエンジン制御や電動パワーステアリングなど、多くの自動車電子機器でMOSFETが使用されています。高耐久性と高効率な動作が求められるため、MOSFETは適したデバイスです。

 

 

電源管理

 

高効率な電源スイッチングが可能であり、電源の安定供給やエネルギー効率の向上に寄与します。

 

 

オーディオ増幅器


MOSFETは、オーディオ増幅器にも広く使用されています。

高いリニアリティと低い歪み特性を持つため、クリアな音質を実現することができます。

 

 

 

MOSFETの選び方

 

耐圧とオン抵抗

 

ドレイン-ソース間耐圧 (VDSS) の絶対最大定格は最も重要な項目です。

低格以上の電圧が加わるとMOSFETが故障する危険があります。

耐圧が高いほどオン抵抗 (RDS(on)) が高くなる傾向があるため、安易に高耐圧の品種を選ぶのは避ける必要があります。

ドレインーソース間に加わる電圧が一定の場合は難しくはないですが、

おおきなサージが発生する場合は、サージのピーク値に合わせて耐圧を選ぶと、定常電圧の数倍かそれ以上の耐圧が必要になります。

サージが大きい用途 では、高アバランシェ耐量の品種を選ぶと、より低耐圧で低オン抵抗のMOSFETを使用できます。

 

 

ドレイン電流の上限

 

ドレイン電流 (ID) の上限は一般にはオン抵抗から決まります。

ID2×RDS(on)でもとめた損失が許容損失より小さく、発熱による温度上昇が動作温度範囲を超えないように、オン抵抗の小さい品種を選びます。

パッケージの配線抵抗 も影響するため、同じ型名でもパッケージによるオン抵抗や電流容量の違いに注意が必要です。

 

 

スレッシュホールド電圧

 

一般的なMOSFETではゲート電圧 (VGS) がスレッシュホールド電圧 (VGS(th)) より高ければオンになり、低ければオフになります。

オン抵抗を十分に低くするにはゲート電圧をスレッシュホールド電圧に対して十分高くする必要があります。

MOSFETをロジック電圧で直接駆動したい場合は、低スレッシュホールド電圧タイプを選びます。

 

 

スイッチング速度

 

MOSFETのスイッチング速度は、ゲート電荷QGと、ゲート駆動回路の電流駆動能力できまります。

ただし、MOSFETの速度とオン抵抗は一般にトレードオフの関係があり、高速になるほどオン抵抗が高くなる傾向がありますので、適切なバランスを取る必要があります。

 

 

MOSFETのおすすめメーカー

 

FETek Technology Corporation.(エフイーテックテクノロジー)

 

 

 

Cystech Electronics Corp.(システック)

 

 

 

 

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