インターフェースとは? 使用用途・主な種類を解説
- 半導体用語集

私たちが日常的に使っているスマートフォン、パソコン、家電製品などの多くは、複数のデバイスやシステムが互いに連携しながら動作しています。インターフェースは、機器同士が情報をやり取りし、協調して動作するための「繋がり」です。
本記事では、インターフェースの基本的な意味から、ハードウェア分野における具体的な使用用途や代表的な種類について解説していきます。
インターフェースとは? 使用用途は?
インターフェース(interface)とは、異なる2つ以上のものが相互に情報を交換したり連携したりするための接点や仕組みを指す言葉です。技術分野だけでなく、日常的な文脈でも広く使われており、物理的なもの、抽象的なもののどちらにも適用されます。
語源的には「inter(相互に)」+「face(顔)」=「向かい合う面」という意味を持ち、「境界におけるやりとりの場」として理解されることが多いです。
主にコンピュータ・ソフトウェア・ハードウェア・エンジニアリングといった技術分野で広く使用されています。
例えば、ハードウェアの世界では「インターフェース」という言葉が頻繁に登場します。インターフェースは、機器やIC、モジュール同士を接続するための物理的・電気的な仕様やプロトコルを意味します。
具体例として、
・このセンサはI²Cインターフェースで制御信号を送る
・マザーボードのインターフェースにはPCIeスロットがある
などのように使われます。
ハードウェアのインターフェースでは、コネクタ形状や信号の電圧レベル、データ転送速度などが要素として含まれます。
異なるデバイス間を確実かつ効率的に動作させるために、インターフェースの選定と仕様理解はとても重要です。
ハードウェアにおけるインターフェースの使用用途・種類
ハードウェアのインターフェースにはさまざまな種類があり、接続する対象(CPU・周辺機器・センサなど)や用途(データ通信・制御・映像出力など)に応じて使い分けられます。
データ通信・制御用インターフェース
● UART(Universal Asynchronous Receiver Transmitter)
UARTは、マイコンとPCの間や、GPS・Bluetoothなどの通信モジュールとの間で、データを非同期でシリアル通信するためのインターフェースです。
使用するのは送信(TX)と受信(RX)の2本の信号線だけで、シンプルかつ低コストで実装できます。
クロック信号が不要なため回路が簡単ですが、通信速度は他のインターフェースに比べて遅めで、ノイズ耐性にも限界があります。それでも、多くの組み込みシステムでデバッグやログ出力などに重宝されています。
汎用接続・拡張バス(高速/多目的)
● USB
USB(Universal Serial Bus)は、PCやスマートフォンなどで最も広く使用されている汎用接続インターフェースです。
マウス、キーボード、外部ストレージ、カメラなど、多種多様な周辺機器との接続が可能で、プラグアンドプレイに対応し、ユーザーが簡単に利用できるのが最大の特徴です。転送速度はバージョンによって異なります。
さらに、データ通信に加えて電力供給(USB PD)も可能であり、充電用途としても広く利用されています。
● PCI Express(PCIe)
PCIeは、PCのマザーボードに搭載される拡張スロットの通信規格で、主にGPU、SSD(NVMe)、ネットワークカードなどの内部高速機器との接続に使用されます。
レーンを拡張して帯域幅を調整できる柔軟性があり、最新のPCIe世代では数十Gbpsの転送速度に対応しています。
クロック同期型の通信で信頼性が高く、処理の遅延が少ないことから、リアルタイム性が求められる用途にも向いています。
● SATA
SATA(Serial ATA)は、主にHDDやSSDなどのストレージ機器とマザーボードを接続するために用いられるシリアル通信規格です。
現在はNVMe(PCIeベース)に主役を譲りつつありますが、安定性と互換性が高く、コスト面でも有利なため、一般的なPCやNAS用途では今も広く使用されています。
映像・画像データ伝送用
● HDMI
HDMI(High-Definition Multimedia Interface)は、家庭用テレビやPCモニター、ゲーム機などの映像・音声の伝送に最も広く使用されているインターフェースです。
1本のケーブルで高解像度映像(最大8K)とマルチチャンネル音声を同時に伝送可能であり、ユーザーの操作性・設置性に優れます。
デジタル信号のため画質劣化がなく、CEC(Consumer Electronics Control)による機器間の連携制御も可能です。
● DisplayPort
DisplayPortは主に業務用や高性能PC向けのモニター接続に使われるインターフェースです。
HDMIと同様に映像・音声のデジタル伝送に対応していますが、マルチディスプレイ接続(1ポートで複数画面制御)やより高い帯域幅を特徴としています。
● MIPI DSI / CSI
MIPI(Mobile Industry Processor Interface)のDSI(Display Serial Interface)とCSI(Camera Serial Interface)は、スマートフォンやタブレットなどのモバイルデバイスで使われる軽量・高速な映像インターフェースです。差動信号によって低電力で高速通信が可能なため、バッテリー駆動製品に最適化されています。
最近では車載ディスプレイやAR/VRデバイスにも応用が広がっています。
プロセッサ間・高性能演算用インターフェース
● CXL
CXL(Compute Express Link)は、CPUとGPU、FPGA、AIアクセラレータなどの高性能演算デバイス間で共有メモリを高速転送するための次世代インターフェースです。
PCIeの通信方式を基にしながら、複数の処理装置が同じメモリを使ってもデータの食い違いが起こらないように制御できるのが特長です。
演算処理とデータアクセスを効率的に並列化でき、大規模AIやHPC(高性能計算)での採用が期待されています。
● UCIe(Universal Chiplet Interconnect Express)
UCIeは、従来の1枚シリコン上のSoCに代わって複数の小型チップ(チップレット)を1つのパッケージ内で接続するためのインターフェース規格です。
チップレット間を超高速・低レイテンシで繋ぐことにより、設計の柔軟性と歩留まりの向上が図られます。今後の半導体の微細化限界を補う革新技術として注目されています。