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センサの役割や種類(加速度センサ・温度センサ・圧力センサ・超音波センサ)、構成要素、動作の流れを解説

  • 半導体用語集
公開日:2025.01.29

センサは物理的、化学的、生物的な情報を検出し、それをシステムに伝達するためのデバイスです。スマートフォンや自動車、医療機器、環境モニタリングなど、あらゆる場面で利用されています。

 

本記事では、センサの役割や種類、構成要素について解説し、その技術がどのように活用されているのかを紹介します。

 

 

センサとは? 役割について

センサとは、物理的、化学的、生物的な現象や状態を検出し、それを測定可能な電気信号などに変換するデバイスです。センサは人間の五感に似た役割を持ち、外部の環境や物体の情報をデジタルシステムに提供します。

その他、以下のような役割もあります。

 

自動制御の実現

自動化システムの入力デバイスとして機能します。測定したデータに基づき、システムが適切な制御を行います。

例えば、自動車のブレーキアシストシステム(ABS)は、速度や車輪の回転をセンサで検知して、制動力を調整します。

 

安全性の向上

危険や異常の早期検知に役立ち、安全性を高める役割があります。例えば、火災報知器の煙センサが火災を検知したり、工場での圧力センサが異常な圧力変動を監視したりします。

 

環境モニタリング

環境データを収集し、環境の保護や効率的な資源管理を支援します。大気中のガス濃度を測定するガスセンサや土壌の湿度や栄養状態を検出する農業用センサなどがこれにあたります。

 

 

センサの主な構成要素

感知部

測定対象の物理量や化学量を直接検出する部分です。感知部はセンサの最も重要な要素であり、センサの種類によって異なる材料や技術が使用されます。

素材例

熱電対センサ:2種類の金属接点が温度を検知

光センサ:光を検知するフォトダイオードやフォトトランジスタ

ガスセンサ:酸化金属などの材料がガス分子と反応して電気特性を変化

 

トランスデューサ(変換部)

感知部で得られた物理量の変化を、電気信号(電圧、電流など)や機械信号に変換する部分です。 

抵抗方式:検出された変化を抵抗値の変化に変換(例:ストレインゲージ)

静電容量方式:物理量の変化を静電容量の変化として検出(例:タッチセンサ)

圧電方式:力や振動を電荷として変換(例:圧電センサ)

 

信号処理部

トランスデューサで得られた電気信号を増幅、フィルタリング、変換し、読み取りやすい形式に整える部分です。

具体的な機能

増幅回路:微弱な信号を増幅する

フィルタ回路:ノイズを除去し、特定の周波数帯域の信号を抽出する

A/Dコンバータ:アナログ信号をデジタル信号に変換する

 

出力部

処理済みの信号を、外部システムや制御機器に伝える部分です。出力形式はアナログ信号(電圧や電流)やデジタル信号(I²C、SPI、UARTなど)があります。

 

校正部(場合による)

測定精度を維持するために基準値と比較し、補正を行う部分です。一部の高精度センサや産業用センサでは、工場出荷時や定期的な校正が行われます。

その他、センサを構成するものには動力を供給する電源部や部品を保護するパッケージなどがあります。

 

動作の流れ

センサは基本的に以下の流れで動作します。

1. 感知部が物理量や化学量を検出

2. 検出された物理変化をトランスデューサが電気信号に変換

3. 信号処理部で信号を増幅・補正

4. 出力部が外部システムに信号を提供

5. 必要に応じて校正部で精度を調整

 

 

センサの種類

センサで検出される主な信号の検出対象と具体例をまとめました。

 

 カテゴリ 検出対象 具体例
物理 圧力
気圧、液体や気体の圧力
振動
機械の振動、地震波
速度
移動速度、回転速度
位置
直線位置、回転角度
加速度 運動方向、衝撃
距離
超音波センサ、LiDAR
引っ張り力、圧縮力
温度
体温、室温、液体温度
熱流
熱伝導率や断熱性
赤外線放射
非接触温度測定、赤外線カメラ
電気 電圧
電池の電圧、回路内電圧
電流
電流センサでの回路の電流
抵抗
材料や部品の抵抗値
静電容量
タッチセンサ、液面センサ
インダクタンス
誘導コイルの特性変化
磁気 磁場強度 地磁気、電磁波
磁気異常
金属探知機での磁性体の検出
磁性材料の位置
磁気スイッチ、モーターの位置検出
光・放射線 可視光
光量、光源の強度
赤外線
リモコン信号、物体表面の熱放射
紫外線
UVインデックス、太陽光の強度
放射線
アルファ線、ベータ線、ガンマ線
印刷品質検査、食品の色検査
光の偏光
光学研究や分析機器
化学 ガス
酸素、二酸化炭素、一酸化炭素、メタン、窒素
液体中の成分
pH、溶存酸素、導電率
イオン濃度
ナトリウムイオン、カリウムイオン
湿度 空気中の水分量
揮発性有機化合物(VOC) 工場排気の検査
生物 酵素
糖や脂質を分解する反応
DNA/RNA
遺伝子解析、ウイルス検出
細胞 がん細胞の検出
生体信号
心電図(ECG)、脳波(EEG)
血液中の成分
グルコース、コレステロール
タンパク質
病原体やホルモンの検出

 

光センサについては、以下の記事でも詳しく紹介しています。

 

 

以下では、代表的なセンサを紹介します。

 

 

加速度センサ

加速度センサとは、物体の加速度を検出するデバイスです。物体の動きや位置変化、振動などを測定するために使用されます。

物体が動く際に発生する加速度を計測し、静的(重力による)加速度と動的加速度の両方を検出できます。振動の強度や周波数を検出することで、異常検知や性能評価に役立てます。

例えば、衝撃や衝突時の加速度変化を記録して、安全性評価や衝撃解析をすることが可能です。また、加速度データを利用して、物体の傾きや姿勢を判定することもできます。

 

加速度は、主にピエゾ抵抗式か静電容量方式が用いて電気信号を検出します。

 

ピエゾ抵抗式

ピエゾ抵抗式の加速度センサは、加速度によって生じる機械的な歪みをピエゾ抵抗素子で検出するセンサです。

内部の感知部材に機械的な歪みが加わると、その歪みに応じてピエゾ抵抗素子の抵抗値が変化します。この抵抗値の変化を電気信号として取り出し、加速度として測定します。

 

静電容量方式(MEMS加速度センサ)

静電容量の変化を利用して加速度を測定するセンサです。内部の構造が加速度に応じて変位し、それによって生じる静電容量の変化を検出することで加速度を測定します。

特に、MEMS(微小電気機械システム)技術を活用した加速度センサが広く普及しています。MEMSによって、電極やばね構造が非常に小さなサイズで製造できるため、低コストで高精度な加速度センサが実現しています。

 

MEMSとは

MEMS(Micro Electro Mechanical Systems、微小電気機械システム)は、微細加工技術を用いて製造される微小な電気機械装置の総称です。

MEMSはセンサ、アクチュエータ、電子回路を統合した小型のデバイスで、一体化された構造により、長期間の安定性が高いという特徴があります。そして、微小な物理量を高精度で測定可能です。

 

 

温度センサ

温度センサとは、物体や環境の温度を検出し、それを電気信号やデジタル信号に変換するデバイスです。対象物の温度が物理的な特性(抵抗、電圧、放射エネルギーなど)に影響を与える現象を利用しています。

大きく分けると、接触式と非接触式に分けられます。

 

接触式温度センサ

対象物に直接触れて温度を測定します。

 

サーミスタ(Thermistor)

温度によって抵抗値が大きく変化する半導体です。高感度で応答が速く、狭い温度範囲に適しています。

 

熱電対(Thermocouple)

2種類の異なる金属を接続して温度差によって発生する起電力を測定します。広い温度範囲(-200℃~1800℃)に対応し、丈夫で産業用に適しています。

 

抵抗温度計(RTD:Resistance Temperature Detector)

金属の電気抵抗が温度に応じて変化する性質を利用しています。高精度で安定性が高く、広い温度範囲(-200℃~850℃)に対応しています。

 

非接触式温度センサ

対象物に触れずに、放射される赤外線を利用して温度を測定します。

 

赤外線温度センサ

対象物の放射エネルギーを検出し、温度を測定します。高速で応答でき、高温や移動する物体の測定に適しています。

 

サーモパイルセンサ

複数の熱電対を積層して赤外線を検出します。高感度で微小な温度差を検出可能です。

 

 

圧力センサ

圧力センサは、液体や気体が物体に及ぼす圧力を測定し、それを電気信号として出力するデバイスです。特にプロセス制御や安全管理に広く利用されています。

真空から高圧まで対応可能で測定範囲が広く、液体や気体などの測定が可能です。具体的には、タイヤ内部の空気圧を測定するタイヤ圧モニタリングシステムや、気道圧を測定して適切な呼吸を支援する人工呼吸器などで用いられます。

圧力センサの種類には、ピエゾ抵抗式や静電容量方式、圧電素子方式、MEMSなどがあります。

 

 

超音波センサ

超音波センサは、超音波を使用して物体の検出や距離測定を行うセンサです。超音波が物体に反射して戻ってくるまでの時間を測定し、対象物までの距離や存在を把握します。

 

超音波センサは用途に応じていくつかの種類があります。

距離測定用センサ:対象物までの距離を正確に測定可能(例:自動車の駐車支援システム)

近接センサ:物体の有無や存在を検出(例:製造ラインでの物体検出)

流量計測用センサ:超音波を利用し、液体や気体の流速や流量を測定(例:水道メーター、ガスメーター)

 

おすすめの光センサメーカー

フォトダイオード光センサを取り扱う、ELM TECHNOLOGY(エルムテクノロジー)の詳細は以下をご覧ください。

 

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