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周波数シンセサイザとは? 動作原理・直接方式と間接方式の基本構成

  • 半導体用語集
公開日:2025.01.17

周波数シンセサイザは、基準周波数をもとに多様な周波数を高精度で生成する装置です。無線通信、計測機器、音響機器など、幅広い分野で活用されています。

周波数シンセサイザにより、従来の複数の発振器が必要だったシステムを小型化し、性能を飛躍的に向上させることが可能になりました。

 

本記事では、周波数シンセサイザの基本的な動作原理、周波数の生成アプローチについて詳しく解説していきます。

 

 

周波数シンセサイザとは?

周波数シンセサイザ(Frequency Synthesizer)とは、入力信号や基準周波数をもとに、さまざまな周波数の信号を生成する電子回路またはシステムのことを指します。

主に通信、計測、音響機器などの分野で広く使用されており、高精度で安定した周波数の生成が求められる場面で必要な技術です。

 

周波数シンセサイザは、高精度な水晶発振器などの基準周波数をもとに、異なる周波数を柔軟に生成できます。出力周波数は広範囲に変更可能です。

従来の複数の発振器を使った方法に比べ、周波数シンセサイザは一つの回路で多くの周波数を生成できるため、設計がシンプルで小型化できるメリットもあります。

 

 

周波数シンセサイザの動作原理

動作原理は種類や構成によって異なりますが、共通して基準周波数をもとに目的の周波数を生成する仕組みです。

 

周波数生成のアプローチが異なる直接方式(Direct Frequency Synthesis, DFS)と間接方式(Indirect Frequency Synthesis, PLLベース)の動作原理を解説します。

 

直接方式(Direct Frequency Synthesis, DFS)

直接方式では、基準発振器の信号をもとに周波数の加算、減算、逓倍、または分周を行い、目的の周波数を生成します。

高い周波数精度と安定性があり、直接的な信号生成により高速応答が可能です。一方、複雑な回路構成が必要で、スプリアス信号(不要な周波数成分)が発生するのがデメリットです。

 

間接方式(Indirect Frequency Synthesis, PLLベース)

間接方式では、フェーズロックループ(PLL)技術を利用して目的の周波数を生成します。

 

 

シンプルな回路構成でコスト効率が高く、小型化しやすいのがメリットです。一方、周波数の切り替え速度が遅く、位相ノイズの影響を受けやすいというデメリットがあります。

 

 

 

周波数シンセサイザの基本構成

周波数シンセサイザの基本構成は、周波数の生成方式によって異なります。

 

直接方式の基本構成

1. 基準発振器(Reference Oscillator)

高精度で安定した周波数を生成します。一般的には水晶発振器が使用され、10MHz~100MHz程度の基準周波数を提供します。

 

2. 周波数ミキサー(Frequency Mixer)

2つの異なる周波数信号を入力し、それらの加算および減算された周波数を出力します。不要な高調波や周波数成分を生成するため、フィルタが重要になります。

 

3. 周波数逓倍器(Frequency Multiplier)

入力信号の周波数を整数倍(2倍、3倍など)に増幅します。高い周波数の信号を生成するために使用されます。

 

4. 分周器(Frequency Divider)

入力信号の周波数を整数分の1(1/2、1/3など)に減少させます。より低い周波数の信号を生成するために使用されます。

 

5. フィルタ(Filter)

ミキサーや逓倍器で生成された不要な高調波やスプリアス信号を除去します。ローパスフィルタやバンドパスフィルタが一般的に使用されます。

 

6. スイッチング回路

必要に応じて特定の回路(ミキサーや逓倍器など)を選択し、異なる周波数を生成できるようにします。


7. アンプ(Amplifier)

信号の振幅を調整し、後続回路で処理しやすい形にします。

 

間接方式の基本構成

1. 基準発振器(Reference Oscillator)

高精度な水晶発振器が一般的に使用されます。基準周波数を提供し、PLL全体の精度を決定します。

 

2. 位相検出器(Phase Detector, PD)

基準周波数と分周された出力信号を比較し、位相差を検出します。位相差に応じた誤差信号を生成し、制御ループを駆動します。

 

3. ループフィルタ(Loop Filter)

位相検出器からの誤差信号を平滑化し、高周波ノイズを除去します。フィルタ出力が次段の制御発振器(VCO)に入力されます。

 

4. 電圧制御発振器(Voltage-Controlled Oscillator, VCO)

ループフィルタからの制御電圧に応じて周波数を出力します。VCOの出力周波数は、基準周波数の整数倍や小数倍になります。

 

5. 分周器(Frequency Divider)

VCOの出力信号を整数分の1または小数分の1に分周し、基準周波数と比較可能な範囲にします。プログラマブル分周器を使用することで、可変周波数生成が可能になります。


6. フィードバックループ(Feedback Loop)

分周器からの信号が位相検出器に戻り、ループ内で位相がロックされます。この閉ループ制御により、出力周波数が安定化します。

 

 

 

 

 

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