周波数シンセサイザとは? 動作原理・直接方式と間接方式の基本構成
- 半導体用語集

周波数シンセサイザは、基準周波数をもとに多様な周波数を高精度で生成する装置です。無線通信、計測機器、音響機器など、幅広い分野で活用されています。
周波数シンセサイザにより、従来の複数の発振器が必要だったシステムを小型化し、性能を飛躍的に向上させることが可能になりました。
本記事では、周波数シンセサイザの基本的な動作原理、周波数の生成アプローチについて詳しく解説していきます。
周波数シンセサイザとは?
周波数シンセサイザ(Frequency Synthesizer)とは、入力信号や基準周波数をもとに、さまざまな周波数の信号を生成する電子回路またはシステムのことを指します。
主に通信、計測、音響機器などの分野で広く使用されており、高精度で安定した周波数の生成が求められる場面で必要な技術です。
周波数シンセサイザは、高精度な水晶発振器などの基準周波数をもとに、異なる周波数を柔軟に生成できます。出力周波数は広範囲に変更可能です。
従来の複数の発振器を使った方法に比べ、周波数シンセサイザは一つの回路で多くの周波数を生成できるため、設計がシンプルで小型化できるメリットもあります。
周波数シンセサイザの動作原理
動作原理は種類や構成によって異なりますが、共通して基準周波数をもとに目的の周波数を生成する仕組みです。
周波数生成のアプローチが異なる直接方式(Direct Frequency Synthesis, DFS)と間接方式(Indirect Frequency Synthesis, PLLベース)の動作原理を解説します。
直接方式(Direct Frequency Synthesis, DFS)
直接方式では、基準発振器の信号をもとに周波数の加算、減算、逓倍、または分周を行い、目的の周波数を生成します。
高い周波数精度と安定性があり、直接的な信号生成により高速応答が可能です。一方、複雑な回路構成が必要で、スプリアス信号(不要な周波数成分)が発生するのがデメリットです。
間接方式(Indirect Frequency Synthesis, PLLベース)
間接方式では、フェーズロックループ(PLL)技術を利用して目的の周波数を生成します。