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不揮発性メモリ・EEPROMとは? メリット・デメリット、フラッシュメモリとの違い、使用例を解説

  • 半導体用語集
公開日:2024.12.06

デジタル機器の進化に伴い、データの保存方法も多様化しています。その中で、EEPROMは、電源を切っても情報を保持できる不揮発性メモリの1つです。データの消去や書き込みが電気的に行える特性から、幅広い分野で活用されています。


本記事では、EEPROMの基本的な仕組みから、メリット・デメリット、フラッシュメモリとの違い、具体的な使用例までを詳しく解説します。

 

 

EEPROMとは

EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read-Only Memory)は、電気的にデータの消去と書き込みができる不揮発性メモリで、電源が切れてもデータを保持できます。

EEPROMは、フローティングゲートMOSFETという構造を持ち、高電圧を印加することでデータの消去・書き込みを行います。主に、設定情報やファームウェアの保存などに利用されます。

 

半導体メモリの種類については、以下記事をご覧ください。

 

 

EEPROMのメリット・デメリット

 

 

メリット

・バイト単位での読み書きが可能

メモリを1バイト単位で操作ができ、データの細かい管理が可能です。

 

・小型で省電力

少ない消費電力で動き、小型のデバイスやバッテリー駆動デバイスに適しています。

 

・耐久性に優れる

書き込みサイクルは10万回~100万回程度で、用途によっては十分な耐久性があります。

 

・長期間のデータ保持が可能

環境条件に依存しますが、書き込んだデータは、数年から数十年にわたって保持可能です。

 

デメリット

・容量が小さい

一般的なEEPROMの容量は、数バイト~数キロバイト程度と限られているため、大量データの保存には不向きです。

 

・コストが高い(容量あたり)

容量あたりのコストが、Flashメモリや他のストレージデバイスに比べて高いです。必要最低限のデータ保存用に向いています。

 

・データ消失のリスク(劣化・損傷)

高温や高湿度環境で使用すると、データ保持期間が短縮する可能性があります。また、書き換え回数を超えるとセルが破損し、データが失われます。

 

 

EEPROMとフラッシュメモリの違い

EEPROMとフラッシュメモリは、どちらも不揮発性メモリですが、以下の点で違いがあります。


1. データの消去単位と書き込み単位

EEPROM

データの消去と書き込みは1バイト単位で行われます。必要なデータだけを部分的に変更できるため、細かいデータ更新が可能です。

 

フラッシュメモリ

データの消去はブロック単位(通常は数キロバイト~数メガバイト)で行われます。書き込みもブロック単位またはページ単位(数百バイト~数キロバイト)で行う必要があります。

 

EEPROMは小さなデータを頻繁に更新する用途に適しており、例えばセンサーキャリブレーションデータや設定情報の保存に使用されます。センサーキャリブレーションとは、センサーが正確な測定値を出力するために必要な調整情報や補正値のことです。

フラッシュメモリは、一度に大量のデータを扱う用途(ファイルストレージや大容量データ保存)に向いています。

 

2. 構造の違い

EEPROM

フローティングゲートMOSFETを使用しており、各メモリセルが独立して動作します。各セルにアクセスしてデータの消去・書き込みが可能です。

 

フラッシュメモリ

基本構造はEEPROMと似ていますが、多くのメモリセルが1つのエレクトロニクスゲートにまとめられた構造です。そのため、大容量化が可能ですが、細かいデータ操作は制限されます。

 

EEPROMの構造は柔軟性がありますが、大規模な集積化が難しいため、容量が小さくなります。一方、フラッシュメモリは大容量化に適しており、1ギガバイト~数テラバイトの対応が可能です。

 

3. 書き込み速度と消耗

EEPROM

書き込み速度はフラッシュメモリに比べて遅く、1バイト単位の操作が可能ですが、それに伴い処理速度が低下します。書き換え回数の上限は通常、10万~100万回程度です。

 

フラッシュメモリ

書き込み速度は、ブロック単位で一度に大量のデータを処理するため、高速です。書き換え回数の上限は通常、数千回~数万回とEEPROMよりも低いです。

EEPROMは、高頻度で書き換えが必要な場合に向いており、フラッシュメモリは大容量のデータ保存や読み取り中心の用途に適しています。

 

4. コストと容量

EEPROM

容量が小さく製造コストが高いため、小容量のデバイスに最適です。

 

フラッシュメモリ

大容量化に適しており、容量単価はEEPROMよりも安いです。

 

フラッシュメモリはコスト効率が高いため、USBメモリやSSD、メモリーカードなどの大容量記憶装置に広く採用されています。一方、EEPROMは高いコストが許容される機器(医療機器、産業機器など)で使用されます。

 


EEPROMは何に使う?

小規模で頻繁なデータ保存が求められる場面に向いているEEPROMは、以下のような用途で使用されています。

 

1. デバイス設定情報の保存

EEPROMは、電源を切っても保持する必要がある設定情報を保存するために使用されます。

例:
・家電製品のユーザー設定(音量レベル、画面の明るさなど)
・IoTデバイスのWi-Fi接続情報(SSIDやパスワード)
・産業機器の動作モードやキャリブレーションデータ

 

2. 状態の保持

デバイスが再起動したり電源が切れたりしても、動作状態を保持するために使用されます。

例:
・スマートホームデバイスの最後の動作状態(ライトのオン/オフ)
・電力メーターの消費電力カウント
・ゲーム機のセーブデータ

 

3. データロガー

小規模なデータを周期的に記録するデータロガーに適しています。

例:
・温度や湿度の測定値
・車両の走行距離や診断データ(OBDシステム)
・機器のメンテナンス履歴

 

4. IDやシリアル番号の保存

各デバイスに固有の情報を保存する用途で使用されます。

例:
・製品のシリアル番号
・RFIDタグやバーコードスキャナーのID
・セキュリティキーや暗号化キー

 

5. 小規模ファイルシステムの構築

小規模なストレージとしても活用されます。

例:
・組み込みシステムの簡易ファイル管理
・ブートローダーや設定ファイルの保存
・フェールセーフ機能のためのバックアップデータ

 

 

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