半導体素子の種類を紹介! それぞれどんな役割・用途がある?【機能・構造別】
- 半導体用語集

半導体素子は、半導体材料を用いて作られた電子部品のことです。その特性を活かして、電流や電圧の制御、増幅、スイッチングなどに活用されています。
今回は、材料や形状、用途などによってさまざまに分類される半導体素子の「構造」の種類に注目し、ディスクリート・集積回路(IC)・センサ・オプトエレクトロニクスという4つの主要カテゴリについて説明します。
半導体素子とは?
半導体素子とは、半導体材料を用いて作られる電子部品のことを指します。
半導体は、電気を通しやすい導体と電気を通さない絶縁体の中間に位置する特性を持つ材料です。特定の材料を用いることで電気伝導性を制御し、電子回路として機能します。
半導体の材料
主要な半導体材料にはシリコンをはじめとする単元素系半導体や化合物半導体があり、それぞれの特性に応じて異なる用途に使用されます。
シリコン(Si)
・資源が豊富にあり、加工が容易で安定した性能を持つ
・酸化膜(SiO₂)が絶縁体として優れた特性を持つ
・MOSFETやダイオード、トランジスタ、太陽電池などで使用される
ゲルマニウム(Ge)
・シリコンよりも電子の移動度が高い
・高速動作に適しているが、高温時の安定性が低く、現在はシリコンに取って代わられつつある
・高周波デバイスや赤外線センサなどに使用される
ガリウムヒ素
・シリコンよりも電子移動度が高い(高速動作が可能)
・放射線耐性に優れる
・低雑音特性を持つ
・高周波・マイクロ波デバイスやLED・レーザーダイオード、宇宙用太陽電池に使用される
炭化ケイ素(SiC)
・耐熱性が非常に高い
・高電圧・高出力用途に適している
・電子移動度が比較的高い
・パワー半導体や高温環境向けデバイスに使用される
窒化ガリウム(GaN)
・高耐圧・高効率
・発光特性に優れる
・青色LED・レーザー、5G通信機器、パワー半導体に使用される
半導体素子の種類|ディスクリート・集積回路・センサ・オプトエレクトロニクス
半導体素子の種類を機能や構造で分ける場合、大きく「ディスクリート」「集積回路(IC)」「センサ」「オプトエレクトロニクス」に分けられます。
ディスクリート
ディスクリートは、単一の機能を持つ半導体素子です。特定の用途に特化しており、集積回路のように多機能な回路を持つのではなく、個々の機能を持つ素子で構成されています。
高い信頼性やコスト効率が求められる場合に特に有効で、電力変換や制御回路、スイッチング電源などで使用されます。電源回路における整流やスイッチング動作の制御にも欠かせません。
集積回路(IC)
集積回路は、複数の素子(トランジスタ、抵抗、キャパシタなど)を1つのチップに集積した半導体素子です。集積回路はディスクリートに比べて多機能な働きがあります。
センサ
センサは、物理量を電気信号に変換する半導体素子です。温度や圧力、光、加速度など、さまざまな物理的・環境的要素を検出し、その情報を処理するための電気信号に変換します。
オプトエレクトロニクス
オプトエレクトロニクスは、光工学(optics)と電子工学(electronics)を組み合わせたもので、光と電気の相互作用を利用する技術分野です。
デバイスには光エネルギーを電気信号に変換したり、その逆のプロセスを行ったりする素子が含まれます。
ディスクリート
ディスクリートに分類されるのは、主に以下のような半導体素子です。
ダイオード
電流を一方向にのみ流す整流機能を持つ半導体素子です。交流電流を直流電流に変換できるため、電源回路や電力変換装置で使用されます。
また、逆方向に電圧をかけると特定の電圧で導通し、電圧を安定させるツェナー機能などもあります。
サイリスタ
サイリスタは特定の条件で導通し、ゲート信号で制御できる4層構造の半導体素子です。大電流や高電圧の制御に用いられます。
ダイオードと同様、整流機能を持つほか、小さな制御信号でオン・オフできるため、産業用の電力制御やモーター制御に広く使用されています。また、スイッチング機能としても使用でき、ゲートに短いパルスを与えることでサイリスタをオン状態にし、大きな電流を流せます。
トランジスタ
トランジスタは、電流や電圧を制御できる3層構造の半導体素子です。電流や電圧をスイッチング、増幅させる働きがあります。小さな電流や電圧を制御し、より大きな電流や電圧に出力することなどが可能です。
また、以下で紹介している集積回路は、トランジスタの1つであるMOSFETを集合させた半導体素子です。
集積回路(IC)
集積回路は大きく分けるとアナログICとデジタルICがあり、それぞれの特徴は以下の通りです。
アナログIC
連続的な信号を処理するアナログICは、主に増幅やフィルタリングなど、アナログ信号を扱う回路で使用されます。入力信号が時間に応じて滑らかに変化する場合、アナログICはその変化を処理できます。
例えば、オーディオアンプ(増幅器)はスピーカーで再生できるレベルにまで音声信号を増幅させます。
デジタルIC
デジタルICはデジタル信号を処理する集積回路です。マイクロ・ロジック・メモリがあり、それぞれ異なる機能や用途があります。
ロジック
ロジックは論理演算を行うための集積回路です。基本的なデジタル処理を行い、論理ゲート(AND、OR、NOTなど)を使って、データの比較・加算・減算・シフトなどの操作を行います。
マイクロ
マイクロはマイクロプロセッサやマイクロコントローラを指します。
マイクロプロセッサはCPU(中央処理装置)として機能し、コンピュータや電子機器で演算やデータ処理を行う集積回路です。マイクロコントローラはCPUに加えてメモリ・入出力ポート、タイマーなどを1つのチップに集積したデバイスです。
1つに集積することで、外部デバイスを直接制御できるコンパクトで効率的なシステムを構築できます。
メモリ
メモリはデータを保存・記録するための集積回路です。プログラムやデータを一時的、または永久的に保持し、必要なときにデータを読み出し・書き込みができます。
センサ
センサの種類はさまざまで、温度を検知する「温度センサ」や圧力を検出する「圧力センサ」、移動や振動を感知する「加速度センサ」などがあります。
以下の記事で詳しく紹介しています。
オプトエレクトロニクス
オプトエクレトロニクスには「発光素子」「受光素子」「光制御素子」の3種類の素子があります。
発光素子
電気エネルギーを光エネルギーに変換する半導体素子です。主にLEDやレーザーダイオードなどがあり、光通信・ディスプレイ・照明・医療など多くの分野で利用されます。
受光素子
受光素子は、光を受けて電気信号に変換する半導体素子です。光が当たると電子が励起されて電流が発生する「フォトダイオード」や、光子を電子に変換し、それを倍増して増幅する「光電倍増管」などがこれに当たります。
光制御素子
光の特性(強度・波長・位相・偏光)を制御するための半導体素子です。光信号の強度・位相を変調する素子や、光信号の経路を切り替える「光スイッチ素子」、逆方向の光を遮断・制御する「光アイソレーター・サーキュレーター」などがあります。
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