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フォトダイオードとは? 基本構造・動作原理・フォトトランジスタとの違いを解説

  • 半導体用語集
公開日:2025.05.28

フォトダイオードは光を電気信号に変換する役割があり、カメラの測光やリモコンの受信、光ファイバー通信など、さまざまな場面で能力を発揮します。

特に、高い感度と非常に高速な応答性を兼ね備えており、多用途に対応できるのが魅力です。

 

本記事では、フォトダイオードの基本から特徴、動作原理、フォトトランジスタとの違いについて解説しています。

 

 

 

フォトダイオードとは? 特徴について

 

フォトダイオードとは、光を電気信号に変換する半導体素子です。具体的には、入射した光(主に可視光や赤外線)に応じて電流を発生させる光センサの一種です。

 

光センサについては、以下をご覧ください。

 

 

 

フォトダイオードの基本機能は、光ファイバー通信や赤外線通信、距離センサ・測距(LiDARなど)、カメラの測光・オートフォーカスなどで使用されています。

 

フォトダイオードには、主に以下の特徴があります。

 

光に対する高い応答性・高速応答

光を受けるとすぐに電流が流れる性質を持ち、受光素子として高い感度があります。波長に応じた応答性があり、特定の波長域(可視光、赤外線など)に特化したモデルも存在します。

 

また、非常に速い応答時間を持ち、変化する光信号を素早く電流に変換できます。特にPIN接合フォトダイオードやAPD(アバランシェフォトダイオード)は高速通信やLiDARなどに最適です。

 

優れた直線性(リニアリティ)

入射光強度と出力電流との関係が直線的で、アナログ的な強度検出が可能です。

計測用途や光強度に比例した信号処理に向いています。

 

逆バイアス動作による制御性

逆バイアスをかけることで空乏層が広がり、感度・速度・キャパシタンスが制御できます。

用途に応じて特性を調整しやすいのが利点です。

 

暗電流が存在する

特に逆バイアスをかけているときには、光が当たっていなくても少しだけ電流が流れること(暗電流)があります。

暗電流はノイズの原因になるため、精密な測定が必要な用途では、暗電流ができるだけ小さいフォトダイオードが好まれます。

 

広いスペクトル感度範囲

材料により紫外線~近赤外線まで幅広く対応しています。

フィルターを組み合わせれば、特定波長への選択性も可能です。

 

 

 

フォトダイオードの基本構造・動作原理

 

フォトダイオードは通常、P-N接合またはPIN接合で構成され、以下のような原理で動作します。

 

1. フォトダイオードに光が入射すると、空乏層内で電子-正孔対(光キャリア)が生成される

2. 逆バイアスを加えている状態では、この内部電界により電子と正孔がすばやく分離・収集される

3. 光電流として外部回路に出力される。電流の大きさは入射光の強度に比例する

 

P-N接合(PN型フォトダイオード)

P-N接合とは、P型半導体とN型半導体を接合して作られた構造で、ダイオードやトランジスタの基本構成要素です。

P型とN型を接合すると、それぞれのキャリア(正孔と電子)が拡散して再結合し、接合部に空乏層が形成されます。そして、空乏層には内部電界(内蔵電位)が発生します。

空乏層:移動可能なキャリアが存在しない絶縁性の領域

内部電界(内蔵電位):PからNへキャリアが流れにくくするバリア

 

この構造が電流の整流作用(一方向にしか流れない性質)を生み出します。

 

なお、P-N接合はバイアスのかけ方により動作が異なります。

順バイアス:バリアが小さくなり、電流が流れやすい

逆バイアス:バリアが大きくなり、電流はほとんど流れない

 

フォトダイオードは逆バイアス特性を活かし、光が照射されたときにだけ電流が流れるように設計されています。

 

 

PIN接合(PIN型フォトダイオード)

PIN接合とは、P-N接合にさらにI型半導体(Intrinsic:無添加型半導体)を加えた3層からなる半導体接合構造です。

フォトダイオードや高周波ダイオードでよく使われる構造で、高感度かつ高速応答を必要とする用途に適しています。

 

以下の3層の構成要素で成り立っています。

P型層:正孔を主キャリアとする領域

I型層:不純物をほとんど含まない中性の半導体。空乏層として機能

N型層:電子を主キャリアとする領域

 

PIN接合フォトダイオードは、以下のように動作します。

1. 光がI型層に入射すると、電子-正孔対(キャリア)が生成される

2. 逆バイアスをかけていることで、I型層全体に強い電界が形成される

3. 生成されたキャリアがすばやく引き離されてP・N両極に移動。その結果、外部回路に電流が流れる

 

 

 

フォトダイオードとフォトトランジスタとの違い

 

フォトダイオードとフォトトランジスタは、どちらも光を電気信号に変換する光センサですが、構造・動作原理・性能特性が異なります。

 

フォトトランジスタとは、光を受けることで電流を増幅する機能を持つトランジスタ型の光センサです。フォトダイオードと同様に光を電気信号に変換しますが、内部に増幅作用があるため、より高感度で動作します。

 

フォトトランジスタの動作原理

1. 光がベース-コレクタ接合部に当たる

2. 光子により電子-正孔対が生成され、ベース電流のような効果が発生

3. 光を当てることにより発生した微小な電流は、トランジスタの特性により増幅され大きなコレクタ電流となる

4. コレクタ電流が外部回路で利用される

 

 

フォトダイオードとフォトトランジスタには、以下のような違いがあります。

 

  フォトダイオード フォトトランジスタ
構造 P-N接合またはPIN接合
NPNまたはPNPトランジスタの光応答型
動作原理 光により電子-正孔対を生成し電流を発生
光がベース電流を生み、コレクタ電流を増幅
感度 中〜高
(内部増幅作用あり)
応答速度 非常に高速
やや遅い
動作電圧 逆バイアスまたは無電圧でも動作可能 順バイアスで使用
ノイズ耐性 高い(暗電流はあるが小さい)
やや低い(増幅ノイズを含むことも)
代表的な用途 光通信、精密測定、医療機器
リモコン受信、障害物検知、民生機器

 

 

 

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