マイコン(マイクロコントローラー)の種類を解説|ワンチップ・シングルボード・ワンボード
- 半導体用語集

マイコン(マイクロコントローラー)は、家電製品から自動車、産業機器、IoTデバイスに至るまで、様々なシステムで活用されています。1つのIC(集積回路)チップにさまざまな機能が統合され、特定のタスクを効率的に制御できます。
マイコンと言っても、その構造や機能、拡張性は一様ではありません。特にワンチップマイコン、シングルボードマイコン、ワンボードマイコンは異なる特徴があり、用途に応じて適切な選定が求められます。
本記事では、各マイコンの基本的な構造や用途、メリット・デメリットを解説します。
マイコン(マイクロコントローラー)とは?
マイコンとは、Microcontroller(MCU)= Micro + Controller(小型の制御装置)という意味です。1つのIC(集積回路)チップ内にCPU、メモリ(RAM、ROM、Flash)、入出力ポートなどの機能を集積しています。
この小型コンピュータにより、家電製品や産業機器、自動車のエンジン制御、IoTデバイスなどの特定のタスクを効率的に制御できます。
マイコンは、決められたタスクを効率的に処理します。タイマーや割り込みを用いたリアルタイム処理が可能で、低消費電力のためバッテリー駆動のデバイスにも最適です。
マイコンの詳細は、以下の記事でも紹介しています。
マイコンの種類
マイコンは、主に以下の3種類に分けられます。
ワンチップマイコン
ワンチップマイコンとは、 名前の通り1つのICチップ内に機能がすべて統合されたシンプルなマイコンです。極小のコンピュータがチップにまとまっているイメージで、別名シングルチップマイコン、ワンチップMCUとも言われます。
ワンチップマイコンは、単一ICで完結するため基板スペースを節約できるのが特徴です。小型で低コスト、低消費電力の特性から、例えばエアコンの温度センサー制御や風量調整などで使用されています。
メリット
・小型・軽量で基板スペースを節約できる
・非常に低コストで容易に量産可能
・消費電力が低く、バッテリー駆動に適している
・単純な制御タスクに最適
・即時応答が可能なリアルタイム制御が可能
・センサー制御や小型デバイスに最適
デメリット
・メモリ容量が小さく、大規模なプログラムには不向き
・拡張性が低く、I/Oピンの数が制限される
・高速演算処理には不向き(クロック周波数が低い)
・通信機能が制限されているものが多く、Wi-FiやBluetoothには対応していない
・デバッグ機能や専用ツールが限定的な場合があり、初心者には扱いづらいことがある
・外部周辺機器の接続には追加回路が必要
ワンボードマイコン
ワンボードマイコンとは、ワンチップマイコンと、その周辺機能を1枚の基板にまとめた開発・制御用基板です。ワンチップマイコンを使いやすくするために基板上に実装し、周辺回路やインターフェースをまとめています。
別名、開発ボード、評価ボード、プロトタイピングボードとも言います。
OSは搭載しておらず、1つの目的に特化したプログラムを動作させる設計になっています。
メリット
・GPIOピンが豊富で、センサーやモーターの接続が簡単
・Arduino IDEやMicroPythonなど、開発環境が整備されている
・低消費電力な製品もあり、バッテリー駆動に適したものもある
・デバッグがしやすい(シリアル通信ポートを搭載)
デメリット
・高度な処理やOSのような複雑なタスクには対応できない
・外部回路を追加すると基板が大きくなり、スペースを取る
・マイコンに内蔵されたメモリ容量には限りがあり、プログラムのサイズが大きいとメモリ不足になることがある
シングルボードマイコン
シングルボードマイコンとは、ワンボードマイコンに汎用OSを搭載したタイプの小型コンピュータです。コンピュータに必要なほぼすべての機能を実装し、さらにLinuxなどのOSが動作するようになっています。
別名シングルボードコンピュータとも言われます。
シングルボードマイコンは、高速なプロセッサを搭載し、複雑な処理が可能です。
プロセッサとは、コンピュータシステムで計算や指令の実行を行う中心的なハードウェアです。 プログラムの命令を解釈して計算やデータの処理を行い、制御信号を生成してシステム全体を統括します。
シングルボードマイコンはGPIO(汎用入出力)やUSBポートを通じて、センサーや通信モジュールを接続可能です。そして、モデルによってはWi-FiやBluetoothを標準搭載しています。
メリット
・高クロック周波数で高速演算処理が可能
・Wi-Fi、Bluetooth、USB、Ethernetなど豊富な通信機能
・ディスプレイやカメラなどの周辺機器接続が容易
・マルチタスク処理が可能
・データストレージ(SDカード、eMMC)を搭載できる
デメリット
・消費電力が非常に高く、冷却対策が必要
・コストが高く、複数台の導入には不向き
・ヒートシンクやファンなどの放熱対策が必要
・長時間稼働時には熱暴走やシステムクラッシュのリスクがある
マイコンの種類を比較
それぞれのマイコンの特徴を以下にまとめました。
ワンチップマイコン | ワンボードマイコン | シングルボードマイコン | |
構造 | 1つのICチップ内にCPU・メモリ・I/Oなどを集積 | マイコン+周辺回路を1枚の基板に実装した開発ボード | OS込みの基板上に多機能を集積した小型コンピュータ |
拡張性 | 低い | 高い | 非常に高い |
通信機能 | UART、SPI、I2Cが基本 | UART、SPI、I2Cなど | Wi-Fi、Bluetooth、USB、Ethernetなど |
OSの搭載 | 通常無し | 基本的に無し(RTOS対応のものもあり) | Linux、Android、Windows IoTなどを搭載可能 |
消費電力 | 低い | 中程度 | 高い |
使用例 | 家電製品、センサー制御 | プロトタイピング、IoT開発、教育用 | 画像処理、サーバー、ネットワーク端末 |
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Generalplus(ジェネラルプラス)は台湾に本社を置く半導体メーカーです。
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