【基板選定の悩みを解決】FR-4・アルミ・セラミックなど多様なプリント基板を提案

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トナリズムが扱う多様なプリント基板の種類

半導体商社トナリズムでは、パワーデバイス向けの「DELTON」や高周波用途に適した「BrainPower」の高機能基板製品を取り扱っています。

その他、多くの基板メーカー(PCBメーカー)との連携が可能です。

多様なプリント基板の種類がありますので、それぞれの構造・特性・用途を解説します。

 

 

こんな方におすすめ

・どんな基板をえらんでいいかわからない

・放熱や高周波性能が必要な基板を探している

・FR-4やセラミックなど基板種類ごとの違いが分からない

・小ロット・試作段階で相談に乗ってくれる取引先を探している

・車載・医療・5Gなど特殊な用途に合った基板選びをしたい

 

トナリズムでは、用途に合わせた最適なプリント基板を、豊富なメーカーとのネットワークを活かしてご提案いたします。

 

 

 

ガラエポキシ基板(FR-4)

FR-4とは、Flame Retardant Type 4(難燃性グレード4)の略称で、エポキシ樹脂とガラス繊維織布を用いた積層基板材を指します。現在、最も一般的で広く使用されているプリント基板材料です。

 

高い絶縁性と難燃性を備えており、機械的強度にも優れているため、電子機器全般において信頼性の高い基板として利用されています。また、加工性にも優れており、穴あけやエッチング、はんだ付けなどの工程が容易です。

 

一方で、熱伝導性は低く、高発熱を伴う用途には適していません。また、高周波特性や耐湿性についても限定的であり、用途によっては他の基板材料が選ばれることもあります。

 

 

主な構成材料

ガラスクロス(ガラス繊維布):機械的強度・寸法安定性を担う補強材

エポキシ樹脂:絶縁性と成型性を持つ熱硬化性樹脂。ガラスクロスを含浸させて硬化



 

セラミック基板

セラミック基板は、酸化物や窒化物などの無機材料(セラミック)をベースとした絶縁基板です。

高電圧に対する耐性があり、熱を効率よく放出できるため、パワー半導体や高出力LEDなど、発熱の大きい電子部品の実装に適しています。

 

また、耐熱性や寸法安定性にも優れており、高温環境や長期使用下でも安定した性能を維持できます。湿気や薬品に対する耐性も高く、信頼性が重視される産業用途や車載機器に多く使用されています。

 

一方で、セラミック基板は材料費や加工費が高く、また加工自体も難しいという課題があります。そのため、量産用途よりも、高信頼性や高性能が求められる限定的な分野に特化して使用される傾向があります。

 

 

基体(セラミック本体)の種類

アルミナ(Al₂O₃):安価で絶縁性・機械的強度に優れる汎用セラミック材料

窒化アルミニウム(AlN):非常に高い熱伝導性と高絶縁性を持つ

窒化ケイ素(Si₃N₄):高い機械強度と耐衝撃性を持ち、熱伝導性にも優れる

 

 

 

アルミ基板

アルミ基板(アルミニウム基板)は、金属(主にアルミニウム)をベースとした高放熱性のプリント基板です。絶縁層と導電層(銅箔)をアルミ板の上に積層した構造で、高発熱の電子部品を冷却するための放熱性に特化しています。

 

そのため、ヒートシンクなどの外付け冷却部品を減らすことができ、製品の小型化や軽量化にも寄与します。加えて、アルミ材による機械的強度が高く、基板の反りや変形にも強いという特長があります。

 

一方で、多層化や高周波対応には制限があります。絶縁層の厚みや材料によって耐電圧性能が左右される点には注意が必要です。

 

 

主な構成材料

熱伝導性絶縁層:電気的に絶縁しつつ、発熱部からアルミ基板へ効率よく熱を伝える

アルミニウム基板:機械的支持体かつ放熱の役割を担う金属層

 

 

 

窒化アルミニウム(AlN)基板

窒化アルミニウム基板は、非常に高い熱伝導性と優れた絶縁性を兼ね備えたセラミック基板です。AlNは化学式で表される窒化物セラミックで、特に放熱性能が求められるパワー半導体やLED照明などに最適な材料として使われます。

 

また、シリコン半導体と熱膨張係数が近いため、熱サイクルによる応力が小さく、高温環境でも安定して動作します。さらに、高い絶縁耐圧と化学的安定性を持ち、信頼性の高い回路基板として使用されます。

 

一方で、材料費や加工コストが高く、衝撃に対しては脆いというデメリットもあります。そのため、AlN基板は、性能と信頼性を最優先する産業用・車載用・医療用といった高付加価値分野で多く採用されています。

 

 

主な構成材料

窒化アルミニウム本体(AlN基板):基板の主要構成材。高絶縁・高熱伝導性を発揮

 

 

 

DBCセラミック基板

DBC基板は、セラミック基板の両面または片面に銅箔を高温で直接接合した構造の基板です。銅とセラミックを酸化接合(酸化銅法)によって強固に結合することで、高い放熱性・絶縁性・機械的強度を同時に実現しています。

 

セラミック層により高い耐電圧が確保され、パワーデバイスの絶縁要求にも十分に対応できます。さらに、銅層が厚いため、大電流にも対応可能であり、はんだ付けやワイヤボンディングにも高い信頼性を提供します。

 

主にパワー半導体モジュールや車載インバータ、IGBTモジュールなどの分野で使用されています。

 

 

セラミック基板の種類

主に以下の3種類が使われます。

アルミナ(Al₂O₃):安価で機械強度・絶縁性が高い

窒化アルミニウム(AlN):高価だが熱伝導性が極めて高い

窒化ケイ素(Si₃N₄):高強度・耐熱衝撃性に優れる

 

 

 

DCB基板(アルミナ/アルミナジルコニアなど)

DCB基板は、セラミック基材上に銅層を直接焼結接合する構造を持ち、絶縁性・放熱性・機械的強度に優れた高性能基板です。基材には主にアルミナやアルミナジルコニア複合材が使用され、安価でありながら高い絶縁耐圧と耐熱性を有する点が特徴です。

 

銅層は高温で直接接合されており、剥がれにくく熱抵抗が小さいため、発熱の大きいパワー半導体の冷却に適しています。また、銅層の厚みによって大電流への対応も可能で、はんだ付けやボンディングなどの実装信頼性も高くなっています。

特にアルミナジルコニア基板は機械的靱性が高く、繰り返しの温度変化に強いため、車載用途や産業用モジュールなど、高信頼性が求められる分野で活用されています。

 

DCBとDBCの違い

一般的に「DBC基板」と「DCB基板」はどちらもDirect Copper Bonded構造を持つため、製品分類上は同じものとされることが多いです。

ただし、DCB基板のほうが素材(例:アルミナ、アルミナジルコニア)や用途に着目した呼称として使われる場合があります。

 

 

使用されるセラミック材料

アルミナ(Al₂O₃):標準的なセラミック基材。絶縁性・機械的強度・耐熱性に優れる

アルミナジルコニア複合材:アルミナにジルコニアを混合した材料。割れにくく耐衝撃性が高いため、温度変化に強く信頼性の高い用途に適する

 

 

 

GaN(窒化ガリウム)基板

GaN基板は、窒化ガリウム(GaN:Gallium Nitride)を用いた半導体用の基板またはエピタキシャル成長用基板です。GaNはワイドバンドギャップ半導体であり、高い電圧耐性・高速応答性・高効率といった性質を持ち、次世代の電力変換技術の中心材料として注目されています。

 

また、絶縁破壊電界が高いため、高電圧環境でも素子の信頼性が維持されやすく、耐熱性にも優れています。スイッチング速度が速いため、インダクタやコンデンサなどの周辺部品を小型化でき、システム全体の省スペース化に貢献します。

 

一方で、基板材料としてのGaNは脆く、製造コストが高いため、現在は主にSiやSiCなどの異種材料基板の上にGaN層を形成する構造(GaN-on-SiやGaN-on-SiC)が一般的です。特に高速・高周波性能が求められる5G通信基地局やレーダー、ドローン、EVの車載充電器などで広く活用が進んでいます。

 

 

主な構成材料

GaNエピタキシャル層(窒化ガリウム):電子デバイスのアクティブ層として機能

バッファ層(例:AlN、AlGaNなど):GaNと下地基板との格子定数や熱膨張差を緩和する中間層

下地基板(サブストレート):GaNはバルク単結晶の製造が難しいため、異種材料基板が使われるのが一般的

 

 

 

アルミナ基板

アルミナ基板は、酸化アルミニウム(Al₂O₃)を主成分とするセラミック基板で、電子回路の実装基板や絶縁基材として広く使用されている材料です。酸化アルミニウム(Al₂O₃)を焼結して作られており、セラミック基板の中では最も標準的かつ汎用性の高いタイプです。

 

アルミナ基板は、絶縁性・耐熱性・機械的強度に優れた特性を持ちます。絶縁抵抗が高く、耐電圧性能にも優れているため、高電圧回路やパワー半導体の絶縁基材として信頼性の高い選択肢となっています。

また、耐熱性にも優れ、数100℃の高温環境でも安定して使用可能です。さらに、硬くて丈夫な素材のため、薄型でも強度があり、寸法安定性にも優れています。

 

ただし、熱伝導性や耐衝撃性に関しては窒化アルミニウムや窒化ケイ素基板に劣るため、用途に応じた材料選定が重要です。

 

 

主な構成材料

アルミナ(Al₂O₃):絶縁性、耐熱性、機械強度、寸法安定性に優れるセラミック材料

 

 

 

ガラス基板

ガラス基板は、シリカ(SiO₂)を主成分とするガラス素材を用いた絶縁基板であり、非常に高い電気絶縁性と優れた寸法安定性、表面平坦性を備えているのが特徴です。

 

高温環境下でも安定した物理特性を維持し、熱膨張係数が小さいため、精密な電子部品や光学素子の搭載に適しています。また、表面の滑らかさが高く、フォトリソグラフィや薄膜形成などの微細加工にも向いており、液晶ディスプレイ(LCD)や有機EL(OLED)などの表示パネル、イメージセンサ、光通信デバイスなどに広く使用されています。

さらに、透明性に優れるため、光学的な利用にも適しており、MEMS(微小電気機械システム)やフォトニックデバイスの基板材料としても採用されています。

 

一方で、熱伝導性は低いため、発熱するパワーデバイスの実装には向かず、また、セラミックや樹脂基板に比べると衝撃に弱く割れやすいという弱点もあります。



主な構成材料

ガラス(SiO₂系):絶縁性・透明性・寸法安定性に優れる主材。ホウケイ酸、石英、アルミノシリケートなど種類あり

 

 

 

テフロン基板

テフロン基板は、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)を基材とする高周波特性に優れた樹脂系プリント基板です。最大の特徴は、誘電率が非常に低く、誘電正接も極めて小さいことにあり、高周波信号の伝送における損失を大幅に低減できます。

アンテナやレーダー、5G通信機器、RFモジュールといったGHz帯以上の高周波信号を扱う回路に最適です。

 

また、PTFEは化学的に非常に安定しており、耐薬品性や耐湿性、絶縁性にも優れています。ただし、機械的強度が低く、熱膨張係数が大きいため、加工や部品実装には工夫が必要です。特に、ドリル加工や穴あけが難しく、接着性も悪いため、ガラスクロスで補強したPTFE複合材が多く使用されます。

 

 

主な構成材料

PTFE(ポリテトラフルオロエチレン):主基材。極めて低い誘電率と高い耐薬品性を持つが、柔らかく加工しにくい

ガラスクロス(強化材):PTFEの機械的強度を補強し、寸法安定性と加工性を向上させる



 

窒化ケイ素基板

窒化ケイ素基板は、窒化ケイ素(Si₃N₄)を基材としたセラミック基板であり、セラミック材料としては例外的に高い機械的強度と靭性(割れにくさ)を持つことが最大の特徴です。そのため、温度の急激な変化や振動・衝撃が加わる環境でも、割れや欠損が生じにくく高い信頼性を確保できます。

 

また、熱伝導性も優れており、放熱性が求められるパワー半導体の絶縁基板としても適しています。電気絶縁性や耐熱性も高く、酸化や腐食にも強いため、車載・鉄道・再生可能エネルギー分野のパワーエレクトロニクス機器での使用が進んでいます。

 

一方で、材料コストや加工コストはアルミナやAlN基板よりも高価であり、用途は限定的ですが、安全性や長寿命が特に求められる用途には最適な基板材料といえます。

 

 

主な構成材料

窒化ケイ素(Si₃N₄):高強度・高靭性・高耐熱・高熱伝導性を兼ねるセラミック基材

 

 

 

金属基板(アルミ・銅・鉄)

金属基板は、金属(主にアルミニウム、銅、鉄など)をベースに用いた絶縁付きのプリント基板で、主に高放熱性・高強度・機械的安定性を目的として使用されます。構造は、導体層(銅)+絶縁層+金属ベース層の3層が基本です。

 

特にアルミベースの基板は、軽量かつ放熱性に優れ、加工性も良好なため、LED照明やスイッチング電源など高発熱の電子機器で広く使用されています。

 

銅ベース基板は最も高い熱伝導性を持ち、極限的な放熱対策が必要な高性能機器に用いられますが、材料コストや重量の面で制約があります。

一方で鉄や鉄合金は、剛性と耐衝撃性に優れ、機械的ストレスの大きい環境や筐体一体化設計に適しています。

 

いずれの金属基板も、絶縁層には熱伝導性樹脂(エポキシ系やセラミック混合材など)が用いられ、電気的に絶縁しつつ熱を効率よく金属に伝える構造となっています。

なお、FR-4やセラミック基板と比べると多層化や柔軟な配線設計には制限があるため、高発熱かつ高出力の単純回路に適した基板と言えます。

 

 

金属材料の特徴

アルミニウム(Al):軽量で放熱性・加工性・コストのバランスが良く、LEDや電源回路に多用される

銅(Cu):熱伝導率が非常に高く、放熱性能が最も優れるが、重くて高価

鉄(Fe)や鉄合金:高強度・高剛性で構造体と一体化しやすく、振動環境や筐体一体型設計に適する

 

 

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