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UPS(無停電電源装置)とは?メリットや選び方、最新トレンドを解説

  • ソリューション
公開日:2025.01.21

UPS(無停電電源装置)とは?

UPS(Uninterruptible Power Supply)は、停電や電圧低下(サージや瞬断など)の際にも、システムや電子機器に安定した電力を供給し続けるための装置です。通常は商用電源(家庭やオフィスのコンセントからの電力)を使用しながらバッテリーを充電しておき、万が一商用電源が停止・障害を起こした時に自動的にバッテリーから電力を供給してくれます。

サーバールームやデータセンターでは一般的に導入されている装置になりますが、近年では企業や個人ユーザーやSOHO(小規模事務所)などでも導入するケースが増えています。特にテレワークや自宅でのオンライン会議が増えたことで、電源トラブルによる突然のパソコン停止やデータ破損を防ぐ役割が注目を集めています。

 

 

 

UPS(無停電電源装置)導入のメリット

 

1. 突然の停電や電圧低下によるトラブル回避

最大のメリットは、突然の停電や瞬断が発生した際にシステムや機器を安全に停止・保存できることです。UPSなしでは、予期せぬ電源断で作業中のデータが失われたり、ハードウェアにダメージを与えたりする可能性があります。UPSを導入しておけば、バッテリー稼働時間の間に安全に機器をシャットダウンする時間的余裕を得られます。

 

 

2. 電圧の安定化・品質の向上

UPSの一部には、電圧の変動やノイズを抑制する機能が備わっています。日本の電源は比較的安定しているといわれますが、それでも雷によるサージや一時的な電圧降下は起こりうるものです。こうした電源環境の乱れが原因で、電子機器の誤動作や故障を引き起こすケースも珍しくありません。UPSを導入することで、一定のクリーンな電源品質を維持することが可能です。

 

 

3. データ保護・安全確保

ハードディスクやSSDなどのストレージは、電力が突然途絶えた場合にデータ破損を起こすリスクが高まります。特にサーバーやNAS(ネットワーク接続ストレージ)などでは、データベースやファイルシステムの破損につながりかねません。UPSがあれば、データを守るために必要な猶予時間を確保できるため、安全に保存・バックアップの処理を行えます。

 

 

 

UPS(無停電電源装置)の選び方

 

1. 用途に応じた種類を選ぶ

UPSには大きく分けて以下の3種類があります。

 

オフライン方式(スタンバイ型)

UPSがスタンバイ状態を保ち、異常が起こった際にバッテリー供給に切り替えるシンプルな仕組みです。デスクトップPC1台など、小規模・低負荷の用途には十分な場合が多いでしょう。

 

ラインインタラクティブ方式

ラインインタラクティブ方式は、オフライン方式よりも電圧安定化がしやすい仕組みを備えています。コストと電源品質のバランスを取りやすく、中小規模のサーバーやネットワーク機器の保護にも適しています。

 

オンライン方式(常時インバータ方式)

オンライン方式は最も安定した電源品質を確保できます。切り替え時間がゼロのため、ミッションクリティカルなサーバーなど、電源断が許されない現場でよく導入されています。

 

 

2. 対象機器の消費電力と電力容量を把握する

UPSに接続する機器の消費電力を合計して、必要となるVA(ボルトアンペア)やW(ワット)の容量を算出しましょう。UPSのスペック表には、「容量 500VA / 300W」といった形で記載されていることが多いです。

余裕をもった容量設計をすることが推奨されています。また、将来的に機器が増える可能性がある場合は、その分の容量も検討。

 

 

3. バッテリー稼働時間(バックアップ時間) 

停電が発生した場合、UPSがどの程度電力を供給できるかは大きな選定基準です。

数分~数10分に安全にシャットダウンできれば問題ないのか、30分以上長時間運転が必要ならバッテリ容量が大きいもの、または拡張バッテリーユニットを検討など。

 

 

4. バッテリーの種類と寿命

UPSのバッテリーは消耗品です。寿命が長く、交換が容易なモデルを選ぶとメンテナンスが楽になります。

UPSのバッテリーには一般的に鉛蓄電池が使われますが、リチウムイオン電池を採用している製品も登場しています。

鉛蓄電池:コストが安い、寿命は3~5年程度

リチウムイオン電池:容量が鉛電池に比べて3倍の容量、寿命は5~10年

 

 

5. 追加機能や管理ソフトウェアを確認する

中~大型のUPSには、シリアルやUSB、ネットワーク(SNMP)でパソコンやサーバーと連携できるソフトウェアが付属していることがあります。これを利用すると、停電時に自動で機器をシャットダウンさせることが可能です。特にサーバー用途では必須ともいえる機能なので、対応OSや接続インターフェイスの確認が欠かせません。

 

 

 

最新トレンドと技術

 

1. エネルギー効率の向上

近年、UPSはエネルギー効率が向上しており、ランニングコストの削減が可能です。特にエネルギースター認証を取得したモデルは省エネ性能が高いです。

 

 

2. モジュール型UPS

大規模システムやデータセンターなどでは必要に応じて容量を拡張できるモジュール型UPSが注目されています。

・柔軟に容量を増減できる

・メンテナンス時にも一部モジュールの交換や修理だけで済む

・拡張が容易でシステム全体のダウンを最小限にできる


システムを段階的にスケールアップしたり、メンテナンスのダウンタイムを短縮したい企業には最適な構成です。

 

 

3. リチウムイオンバッテリー採用のUPS

従来の鉛蓄電池と比べて、リチウムイオン電池は3倍の容量となります。長寿命で交換サイクルが延びるため、トータルコストを削減できるメリットがあります。初期コストは高い傾向にありますが、データセンターや長期利用を想定する環境ではリチウムイオンUPSが徐々に導入され始めています。

 

 

4. IoTとクラウド対応

IoT時代を迎え、UPSに接続された機器の状態や電力使用状況をクラウドで管理・監視するサービスも増えています。

・リアルタイムに障害や停電を検知

・バッテリーの消耗状況を遠隔地から確認

・電力使用量の分析と最適化

特に複数拠点にUPSを導入している企業では、遠隔監視や予防保守が可能になることが大きなメリットとなっています。

 

 

 

企業向けUPSの活用例

 

1. 製造業や工場の設備制御

生産ラインのダウンタイムを最小限に抑え、品質を維持するために重要です。

生産ライン制御システムやPLC(プログラマブルロジックコントローラ)の保護により、ライン停止によるダウンタイムの低減、設備損傷の防止につながります。

一瞬の電源瞬断でも工場設備が停止すると、復旧に大きな時間とコストを要する場合があります。ラインインタラクティブ方式やオンライン方式でリスクを回避できます。(※ラインインタラクティブ方式は瞬断時間があるため回避できない製品もあります。)

 

 

2. オフィス・テレワーク環境

ノートPCやデスクトップ、Wi-Fiルーター、NASなどをUPSにまとめて接続する事で、急な停電でデータが消失したりするリスクの低減、業務の継続性を確保します。

オフィスや自宅やでも、停止しては困る機器だけをUPSにつなげておくことで、最小限の投資でリスクを減らせます。

 

 

その他使用シーン

 

設備室:通信用設備 / 空調設備 / 警報装置 / 監視装置 / エリア単位での電源保護

金融関連:コンピューターセンター / オンライン端末 / ATM端末

放送局:放送機器 / 電装機器

防災・セキュリティ:地域監視システム / 防災施設

店舗:POS端末 / 顧客情報端末

データセンター:サーバー類 / ラック内サーバー / パソコン / ネットワーク機器 / 通信環境 / 空調設備 / 各種センサー類 / 監視端末・機器

 

 

 

導入・設置時の注意点

UPSは導入以降にも、適切なメンテナンスと運用が大切です。

 

定期的なバッテリー交換・点検

バッテリーは消耗品のため、メーカー推奨の交換サイクルを守らないとなりません。点検やバッテリー寿命の把握はトラブルを未然に防ぐうえで重要です。

 

 

放熱と設置スペースの確保

UPSは内部バッテリーやインバータが発熱します。周囲に余裕を持ったスペースを確保し、通気を妨げないように設置しましょう。

 

 

過負荷の回避

UPS容量を超える機器を接続すると保護機能が作動してしまい、正常なバックアップができなくなります。常にUPSの負荷率を確認し、80%以下に抑えるのが理想です。

 

 

定期的な機能テスト

実際に停電が起きたときにうまく切り替わらなければ意味がありません。テスト停電を行い、自動シャットダウン機能の動作チェックやシステムログの確認を行うことが望ましいです。

 

 

 

まとめ

導入時には、対象機器の消費電力や設置環境をしっかりと把握し、容量・方式・バッテリー種類・拡張性などを総合的に検討しましょう。予算や用途に応じた最適なUPSを導入することで、停電トラブルに対する“保険”をかけることができます。ビジネスの継続性やデータの安全を第一に考えるなら、UPSはもはや必須アイテムといえるでしょう。

 

 

 

UPSのお勧めメーカー【Ablerex electronics】をご紹介

Ablerex Electronicsの特徴

AblerexはUPS(無停電電源装置)を中心に電源ソリューションを展開する企業。日本国内を含むグローバルでの実績や技術力を強みに、ビジネスの継続性と安全性を守るための製品開発・サービス提供を行っています。

産業機器・医療機器・オフィス機器など、多様な分野に対応可能なUPSをラインナップ。高品質な電源保護を必要とする幅広い業種で支持されています。

 

 

Ablerex Electronics製品のラインナップ

 

単相マルチモードUPS

安定したクリーンな電力を供給します。オフィスやコンピュータルームのIT機器のバックアップに最適です。

・ARESシリーズ(出力容量:500VA、1kVA、1.5kVA、3kVA)

・ARESリチウムシリーズ(出力容量:500VA、1kVA、1.5kVA)

・MSIIIシリーズ(出力容量:500VA、1kVA、1.5kVA)

 

 

三相マルチモードUPS

定したクリーンな電力を供給。コンピュータルーム、データセンター、生産設備など大きな電力を必要とする機器のバックアップに最適です。

・KRONOSシリーズ(出力容量:10kVA、20kVA)

・TAURUSシリーズ(出力容量:10kVA、20kVA、30kVA、40kVA、60kVA、80kVA)

 並列運転(最大6台並列)による最大揚力480kVA

 

その他、UPS・電源管理用ソフトウェアやネットワークカード、蓄電システムなど

 

 

 

トナリズムでは、Ablerex Electronics社製品をお取り扱いしております。

製品相談や、技術的な質問、資料請求、製品の仕様や導入コストの見積もりなど、お気軽に問い合わせください。

 

 

 

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