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信号を増幅するアンプとは? 役割・種類・基本的な仕組みを解説

  • 半導体用語集
公開日:2025.01.23

アンプは、電気信号を増幅するための基本的な装置で、オーディオ機器、通信システム、計測機器などで利用されています。

 

本記事では、アンプの基本的な仕組みや役割、ラジオをはじめとする電子機器で使用されるアンプの種類について詳しく解説します。

 

 

アンプとは?

アンプ(Amplifier、増幅器)は、電気信号を増幅するための電子回路または装置です。具体的には、入力された微弱な電気信号を、より大きな電力、電圧、または電流に変える役割があります。

アンプはオーディオ機器から通信装置、計測機器まで幅広く活用されています。

 

 

信号増幅の仕組み

アンプの仕組みは、アンテナやセンサなどから得られる小さな信号を、トランジスタや真空管などを使った増幅回路によって増幅します。そして、増幅された大きな信号がスピーカーや送信機、ディスプレイなどに出力されます。

 

トランジスタを用いたアンプ

トランジスタは、電流を増幅するための半導体素子です。トランジスタには、ベース、エミッタ、コレクタの3つの端子があります。

ベース端子に小さな電流が流れると、コレクタとエミッタ間に大きな電流が流れます。ベース信号の変化に応じてコレクタ電流が増幅されることで、入力信号が大きくなった形で出力されます。

 

真空管を用いたアンプ

真空管は古典的な増幅素子で、現在は主に高音質を求めるオーディオ用途で使用されます。

真空管はカソード、アノード、グリッドから構成されます。カソードから放出された電子がアノードに引き寄せられる際、グリッドに小さな信号を加えることで電子の流れを制御し、信号を増幅します。

 

 

ラジオで使用されるアンプの種類

ラジオで使用されるアンプにはどのようなものがあるか種類をいくつか紹介します。

 

RFアンプ(高周波アンプ)

RFアンプ(Radio Frequency Amplifier、高周波アンプ)は、高周波(RF)信号の電力や電圧を増幅するために設計された回路または装置です。

アンテナで受信した微弱な信号を増幅し、次の処理段階で使用できるレベルに調整する役割があります。遠距離のラジオ局や通信基地局からの信号も強化可能です。また、信号増幅の際に不要なノイズを最小限に抑え、信号対ノイズ比(SNR)を改善します。

信号の選択性を向上させるため、特定の周波数帯の信号を強調し、他の不要な信号や干渉を抑える働きもあります。

 

基本的な仕組み

1. アンテナで受信した微弱な高周波信号が入力される

2. トランジスタやMMIC(モノリシック・マイクロ波集積回路)など、高速動作が可能な増幅素子を使用する

3. 必要な周波数帯域を強調し、不必要な周波数を除去するために、バンドパスフィルタを組み合わせてフィルタリングをする

4. 増幅された信号が次の段階(ミキサーやIFアンプ)に送られる

 

IFアンプ(中間周波数アンプ)

IFアンプ(Intermediate Frequency Amplifier、中間周波数アンプ)は、特定の中間周波数(IF)信号を増幅します。中間周波数は、AMラジオの場合が通常455kHz、FMラジオの場合が10.7MHzです。

また、ラジオの受信プロセスにおいて、信号の選択性を向上させ、復調回路に適した形で信号を送り出す重要な役割があります。

RFアンプ同様、特定の周波数のみを強調することで、隣接する不要な信号やノイズを除去するため、バンドパスフィルタを組み込んだ回路設計が一般的です。

 

基本的な仕組み

1. RFアンプとミキサー回路によって生成された中間周波数信号が入力される

2. トランジスタやIC(集積回路)の増幅素子が使用し、高い増幅度(ゲイン)と低ノイズの信号を生成する

3. バンドパスフィルタを使用して、特定の周波数帯域を強調し、他の不要な信号を除去する

4. 増幅された信号が復調(検波)回路に送られ、音声信号やデータが抽出される

 

オーディオアンプ

オーディオアンプは、音声信号を増幅してスピーカーやヘッドホンで再生可能なレベルにするためのアンプです。

高い音質が求められ、信号が歪まないようにするために、リニアリティ(直線性)が重視されます。また、入力信号に応じて音量を調整し、リスニング環境に適した出力に調整することも可能です。

 

基本的な仕組み

1. 復調回路からの低レベル音声信号が入力される

2. トランジスタや真空管、オペアンプの増幅素子が使用される

プリアンプ:微弱な信号を中程度のレベルに増幅

パワーアンプ:プリアンプの信号をスピーカー駆動用にさらに増幅

3. 音声信号が十分な電力に増幅され、スピーカーで音として再生される

 

AGCアンプ(自動利得制御アンプ)

AGCアンプ(Automatic Gain Control Amplifier、自動利得制御アンプ)は、受信信号の強度に応じてアンプの増幅度(ゲイン)を自動的に調整する機能を持つアンプです。この技術は、ラジオや通信システムで広く使用され、信号の強弱に関わらず安定した出力を維持するために重要です。

 

基本的な仕組み

1. ラジオや通信機器からの変動する信号が入力される

2. 検波回路で信号の強度を測定する。

3. 信号が弱い場合はゲインを上げ、強い場合はゲインを下げる制御信号を生成する

4. ゲインが調整されたアンプが信号を増幅する

5. 安定したレベルの信号が次の段階(復調や音声出力)に送られる

 

4つの違いを比較すると、以下のようになります。

 

種類 主な目的 役割
RFアンプ 微弱な電波を増幅し受信感度を向上
ラジオのフロントエンド、通信機器
IFアンプ 中間周波数信号の増幅 特定の周波数帯域を強調
オーディオアンプ 音声信号の増幅 音量を上げ、クリアな音質で再生
AGCアンプ 自動ゲイン制御
信号の強弱を自動調整し安定した出力を提供

 

 

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