米国防総省がテンセントやCATLを軍事関連企業に指定-米中テクノロジー緊張の激化
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米国防総省、中国企業の軍事関連指定を発表
2025年1月6日、米国防総省は中国のIT大手「テンセント」や電池メーカー「CATL(寧徳時代新能源科技)」を、中国軍との協力が疑われる軍事関連企業としてリストに追加すると発表しました。これにより、米中間のテクノロジー競争が一層激化することが予想されます。
テンセントとCATLの指定理由
国防総省は、国防権限法に基づき、中国が民間先端技術を軍事転用する「軍民融合」戦略に対抗するため、軍事関連企業のリストを作成しています。テンセントはSNS「微信(ウィーチャット)」やゲーム大手として知られ、CATLはテスラに電池を供給する主要企業です。これらの企業が中国軍と密接に関与していると見なされたため、リストに加えられました。
指定による企業への影響
軍事関連企業に指定されることで、企業の評判が大きく影響を受けます。既にファーウェイやDJIなどが指定されており、今回のテンセントやCATLの追加により、米国企業との取引が難しくなる可能性があります。Bloombergによれば、リストに含まれること自体は即座の制裁を意味しませんが、米企業が取引を控える傾向が強まると報じられています。
テスラへの潜在的な影響
CATLの指定は、米電気自動車(EV)メーカーであるテスラにも影響を及ぼす可能性があります。CATLはテスラの中国・上海工場に電池を供給し、将来的には米国ネバダ州での電池生産にも技術をライセンス供与する予定です。アナリストは、CATLがリストに追加されることで、テスラとの提携を検討している他の企業も慎重になる可能性があると指摘しています。
中国政府の反発と対抗措置
テンセントは米国防総省の決定に対し、「軍事企業ではない」と反発しています。中国商務省も「強い不満」と「断固反対」を表明し、アメリカの圧力に対抗する姿勢を示しています。中国政府は、必要な措置を講じて中国企業の合法的な権益を守るとし、米中間の緊張がさらに高まる可能性があります。
米中テクノロジー戦争の背景
今回の指定は、米中間の広範なテクノロジー戦争の一環です。中国の「軍民融合」戦略に対抗し、米国は先端技術の流出を防ぐために厳しい規制を導入しています。一方で、中国は米国企業への制裁や圧力に対して報復措置を取ることで、自国のテクノロジー産業を守ろうとしています。
今後の展望と市場への影響
テンセントやCATLの指定により、米中間の技術交流が一層制限される可能性があります。特に、EV産業やSNS運営などの分野での協力が難しくなり、関連企業の事業展開に影響を及ぼすことが懸念されます。また、株式市場ではテンセント株やCATL株が下落する動きが見られ、投資家の不安感が高まっています。