AC電源とDC電源の違いを解説! それぞれの特徴は? どんな用途で使われる?
- 半導体用語集
私たちの日常生活で使用する電気には、交流(AC)と直流(DC)の2種類があります。
交流は電流の方向と大きさが周期的に変化し、直流は一定です。この特性を活かして、AC電源とDC電源は異なる用途で使用されているので、特徴や発電方法について解説します。
AC電源とは
AC電源とは、交流電流(Alternating Current)を供給する電源のことです。交流電流は、電流の向きと大きさが一定の周期で変化する特性を持っています。
交流電流の変圧が容易であることから、高圧送電で電力を長距離輸送し、各地域で使用に適した電圧に変圧して使用される仕組みです。
AC電源の主な特徴は、トランスを用いて簡単に電圧を変えることができ、長距離の送電に適している点です。高電圧で送電することで、電力損失を抑えて効率的に電力を運べます。
DC電源とは
DC電源とは、電流の流れが一定で、時間が経っても電流の方向や大きさが変わらない直流電流(Direct Current)を供給する電源のことです。
DC電源は、乾電池やバッテリー、USB電源、太陽光発電システムなどから供給されるものが一般的で、特に電子機器やポータブルデバイスで広く使われています。
DC電源の主な特徴は、電圧が安定しているため、一定の電圧を必要とする電子機器や精密機器に適している点です。
直流は常に一方向に流れるため、交流と異なり、タイミングや波形を気にせず使用できます。また、バッテリーや蓄電池で貯めて使うことができ、持ち運びできる電源としても重宝されています。
AC電源とDC電源の電力供給の違い
以下では、AC電源とDC電源の電力供給の仕組みについて解説します。
AC電源
AC電源では、電流の向きが正方向と負方向に交互に切り替わります。日本では、この切り替えが東日本で50Hz(1秒間に50回の切り替え)、西日本で60Hz(1秒間に60回の切り替え)で行われています。
なぜ東日本と西日本で周波数が違うかというと、電力が導入された明治時代に異なる国から発電機が輸入されたためです。東日本では、1895年に東京電燈(東京電力)が電力供給を開始する際、ドイツのAEG社製の発電機を採用しました。この発電機が50Hzで動作するため、東日本では電力供給が50Hzで始まりました。
西日本では、1896年に大阪電灯(関西電力)が電力供給を開始する際、アメリカのゼネラル・エレクトリック(GE)社製の発電機を採用したため、電力供給が60Hzで行われています。
このような背景から、現在も地域によって周波数が異なっています。
発電方法
交流電力の発電方法は、発電所で回転機械を用いて作られます。水力、風力、火力発電では、回転するタービンにより発電機を回し、回転する磁場によってコイルに電圧を発生させ、交流を作り出します。コイル内での磁場の回転方向が周期的に変わるため、電流の流れる方向も周期的に変わります。
AC電源はトランス(変圧器)によって簡単に電圧を上げたり下げたりできるため、発電所で高電圧に変えて送電し、消費地に近づいた段階で低電圧に変えて安全に利用する仕組みになっています。
DC電源
DC電源は、電流が一定の方向に流れ、電圧も変化しない電力を供給します。
発電方法
直流電力は、乾電池や蓄電池、太陽光パネルなどで生成されます。例えば、乾電池や蓄電池は内部で化学反応によって一定の電圧を生み出し、その結果、一定の方向に電流が流れます。太陽光発電の場合は、太陽の光エネルギーを受けた半導体が光電効果によって直流を生成します。
交流から直流に変換する際には「整流器」が使用されます。整流器は、ダイオードなどを使って電流の片方向の成分だけを取り出し、さらに平滑回路で電圧を安定させて交流電力に変換します。これにより、家庭用コンセントから供給されるAC電源を電子機器で利用できるDC電源に変換することが可能です。
AC電源とDC電源の用途の違い
AC電源とDC電源は、それぞれの特徴を活かした用途で活用されます。
AC電源
家庭用電源:家庭のコンセントで供給される電力は交流で、照明や冷蔵庫、洗濯機、エアコンなど、ほとんどの家電が交流で動作します。
商業・産業用電源:工場やビル、オフィスなどの大規模な施設でも、機械設備やHVAC(空調システム)、エレベーターなど、多くの設備で使用されています。
DC電源
電子機器の電源:パソコン、スマートフォン、タブレットなどのデジタル機器はほとんどが直流で動作します。そのため、家庭用のAC電源からDCに変換するアダプターを使用して、安定した電力供給を行います。
ポータブルデバイス:乾電池やバッテリーを利用する機器は、DC電源を採用しています。例えば、リモコン、デジタルカメラ、LEDライトなど、ポータブルデバイスは直流で駆動します。
再生可能エネルギー:太陽光発電や風力発電の一部は直流を生成するため、これを使用してバッテリーに蓄え、家庭や電気自動車などに供給します。
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