AC電源とDC電源の違いを解説! 特徴、どんな用途で使われる?
- 半導体用語集

私たちの日常生活で使用する電気には、交流(AC)と直流(DC)の2種類があります。
交流は電流の方向が周期的に変化し、直流は一定です。この特性を活かして、AC電源とDC電源は異なる用途で使用されているので、特徴やそれぞれのメリット、デメリット、発電方法について解説します。
AC電源(交流電源)とは
AC電源(交流電源)とは、交流電流を供給する電源のことです。交流電流は、電流の向きと大きさが一定の周期で変化する特性を持っています。
交流電流の変圧が容易であることから、高圧送電で電力を長距離輸送し、各地域で使用に適した電圧に変圧して使用される仕組みです。
メリット
・長距離送電が容易
AC電源は変圧器を利用して電圧を容易に変換できるため、高電圧で送電し、損失を抑えた長距離送電が可能です。
例:高電圧(数万V)で送電し、各家庭では100Vや200Vに変圧
・発電が容易
交流は発電機(交流発電機)で直接生成しやすいため、大規模発電に適しています。
水力発電や火力発電など、ほとんどの発電所は交流電流を生成しています。
・安全性の確保
交流は変圧が容易なため、利用する場所に応じた適切な電圧に調整できます。直流に比べて放電しやすく、感電事故時の影響が比較的少ないです(ただし高電圧では危険)。
デメリット
・DC機器には変換が必要
現代の電子機器(PC、スマホなど)は直流で動作するため、AC→DCに変換するアダプター(ACアダプターや整流器)が必要
・電力損失
交流では誘導性負荷や容量性負荷の影響により、電力損失が発生します。送電時に無効電力が発生し、電力効率が低下することがあります。
・電磁干渉(EMI)
交流は周期的に電流が変化するため、電磁波を発生しやすく、電子機器に干渉を与える可能性があります。特に高周波を使用する通信機器では問題になりやすいです。
DC電源(直流電源)とは
DC電源(直流電源)とは、電流の流れが一定で、時間が経っても電流の方向が変わらない直流電流を供給する電源のことです。
DC電源は、乾電池やバッテリー、USB電源、太陽光発電システムなどから供給されるものが一般的で、特に電子機器やポータブルデバイスで広く使われています。
DC電源の主な特徴は、電圧が安定しているため、一定の電圧を必要とする電子機器や精密機器に適している点です。
直流は常に一方向に流れるため、交流と異なり、タイミングや波形を気にせず使用できます。また、バッテリーや蓄電池で貯めて使うことができ、持ち運びできる電源としても重宝されています。
メリット
・電子機器への適応性が高い
ほとんどの電子機器(PC、スマホ、LED照明など)は直流で動作するため、DC電源の方が直接利用しやすいです。AC→DCに変換するACアダプターや整流器が不要になり、電力変換のロスを削減できます。
・エネルギー効率が高い
AC→DC変換時に発生する電力損失(整流損失)がないため、エネルギー効率が高いです。近年、DCマイクログリッド(直流配電システム)が注目されているのもこの効率の良さによるものです。
・蓄電が容易
バッテリー(リチウムイオン電池、鉛蓄電池など)は直流で充電・放電するため、AC→DCに変換する必要がありません。再生可能エネルギー(太陽光発電、風力発電など)も直流を生成するため、直流のまま利用すれば効率が良い。
・電磁干渉(EMI)が少ない
交流は周期的に電流が変化するため、電磁ノイズ(EMI)が発生しやすいですが、直流は一定の電流が流れるためノイズが少ないです。医療機器や高精度な電子機器では、直流の方が適している場合が多いです。
デメリット
・長距離送電が困難
電圧を容易に変換できないため、高電圧での長距離送電が難しいというデメリットがあります。高電圧の直流送電は技術的に可能ですが、設備コストが高くなります。
・変圧が難しい
交流はトランス(変圧器)で簡単に電圧を変えられますが、直流はトランスが使えず、特殊な電子回路(DC-DCコンバータ)が必要です。
・DC遮断の難しさ
交流は電圧が周期的に0Vになるため、スイッチやブレーカーで遮断しやすいですが、直流は常に一定の電圧が流れ続けるため、遮断が難しいです。
AC電源とDC電源の電力供給の違い
以下では、AC電源とDC電源の電力供給の仕組みについて解説します。
AC電源
AC電源は、時間とともに電圧と電流の向きが周期的に変化する特徴を持っています。電流が一定の方向に流れ続けるのではなく、プラスとマイナスを交互に繰り返しながら流れるのが特徴です。
例えば、日本の50Hzや60Hzの電源では、1秒間に50回または60回、電流の方向が変わります。
発電方法
交流電力の発電方法は、発電所で回転機械を用いて作られます。水力、風力、火力発電では、回転するタービンにより発電機を回し、回転する磁場によってコイルに電圧を発生させ、交流を作り出します。コイル内での磁場の回転方向が周期的に変わるため、電流の流れる方向も周期的に変わります。
AC電源はトランスによって簡単に電圧を上げたり下げたりできるため、発電所で高電圧に変えて送電し、消費地に近づいた段階で低電圧に変えて安全に利用する仕組みになっています。
DC電源
DC電源は、電流が一定の方向に流れ、電圧も変化しない電力を供給します。
発電方法
直流電力は、乾電池や蓄電池、太陽光パネルなどで生成されます。例えば、乾電池や蓄電池は内部で化学反応によって一定の電圧を生み出し、その結果、一定の方向に電流が流れます。太陽光発電の場合は、太陽の光エネルギーを受けた半導体が光電効果によって直流を生成します。
交流から直流に変換する際には「整流器」が使用されます。整流器は、ダイオードなどを使って電流の片方向の成分だけを取り出し、さらに平滑回路で電圧を安定させて直流に変換します。これにより、家庭用コンセントから供給されるAC電源を電子機器で利用できるDC電源に変換することが可能です。
AC電源とDC電源の用途の違い
AC電源とDC電源は、それぞれの特徴を活かした用途で活用されます。
AC電源
家庭用電源:家庭のコンセントで供給される電力は交流で、照明や冷蔵庫、洗濯機、エアコンなど、ほとんどの家電が交流を直流に変換して動作します。
商業・産業用電源:工場やビル、オフィスなどの大規模な施設でも、機械設備やHVAC(空調システム)、エレベーターなど、多くの設備で使用されています。
DC電源
電子機器の電源:パソコン、スマートフォン、タブレットなどのデジタル機器はほとんどが直流で動作します。そのため、家庭用のAC電源からDCに変換するアダプターを使用して、安定した電力供給を行います。
ポータブルデバイス:乾電池やバッテリーを利用する機器は、DC電源を採用しています。例えば、リモコン、デジタルカメラ、LEDライトなど、ポータブルデバイスは直流で駆動します。
再生可能エネルギー:太陽光発電や風力発電の一部は直流を生成するため、これを使用してバッテリーに蓄え、家庭や電気自動車などに供給します。
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