抵抗器・コンデンサ・インダクタの違いは? 3大受動部品の役割・仕組み
- 半導体用語集
抵抗器・コンデンサ・インダクタの3つの電子部品は、「3大受動部品」といわれる特に重要な部品です。この3つの受動部品は、外部からのエネルギーの蓄積や消費、フィルタリングの役割があり、エネルギーの供給や増幅は行いません。
それぞれの部品がどのように働き、どのようにエネルギーを扱うかを理解することで、回路全体の動作や性能をより深く知れます。
本記事では、それぞれの特徴や仕組みの違いをまとめました。
抵抗器(Resistor)の役割・仕組み
抵抗器は、電流の流れを制御・制限するための部品です。オームの法則に基づき、電圧(V)と電流(I)の関係は、以下の式で表されます。
V=IR
※Vは電圧、Iは電流、Rは抵抗値を表す
抵抗値は、抵抗器に使われている材料(炭素や金属フィルムなど)や寸法によって決まり、抵抗値が大きいほど電流の流れが抑制されます。
抵抗器は、電流が流れる際に電気エネルギーを熱として消費します。このエネルギー変換は不可逆的で、電気エネルギーが熱として外部に放出されるため、抵抗器は電気エネルギーを消費する部品といえます。
抵抗器の主な役割は、過電流を防ぐことと、特定の回路内で電圧の分配を行うことです。
抵抗器の活用列
電気ヒーター:電流を熱に変換することで温度を上昇させる
LEDライト:電流を制限してLEDを保護する
オーディオ機器:信号の電流や電圧を制御し、音量を調整する
コンデンサ(Capacitor)の役割・仕組み
コンデンサは、エネルギーを電場として蓄える電子部品です。その構造は、2枚の導電性のプレートが絶縁体(誘電体)を挟んで配置されたシンプルな仕組みです。
コンデンサに電圧がかかると、プレート間に電荷が蓄積されます。電圧が取り除かれると、コンデンサは蓄えた電荷を放電し、回路にエネルギーを戻します。
電場に蓄えられたエネルギーは、主に交流回路で使用され、直流をブロックするため、フィルタ回路として使われることが多いです。また、コンデンサは電力の平滑化にも利用されます。
コンデンサの活用例
カメラのフラッシュ:大容量コンデンサを使用して電力を一時的に蓄え、シャッターボタンを押した瞬間に一気にエネルギーを放出し、強い光を発生させる
スマートフォンのバッテリー回路:急激な電圧変動を緩和し、安定した電力供給を維持する
オーディオ機器:ノイズフィルタでクリアな音声信号を再生する
コンデンサについては、以下で詳しく解説しています。
インダクタ(Inductor)の役割・仕組み
インダクタはエネルギーを磁場に蓄える部品です。その仕組みは、コイル状に巻かれた導体に電流が流れることで磁場が発生してエネルギーが蓄積され、電流が止まると磁場が崩れ、蓄えたエネルギーが回路に戻ります。
エネルギー蓄積の機能は、電源回路やスイッチング電源でのエネルギー転送に利用されます。
インダクタは、電流の急激な変化に抵抗する特性もあります。電流が変化すると、磁場も変化し、それが反対方向の電流を発生させます。この「自己誘導」により、電流の急激な変化が抑制され、回路が安定します。
電流変化が抑制されることで、交流や電源回路でのノイズ除去や電圧の安定化に役立ちます。
インダクタは、特に高周波をフィルタリングするのに適しており、信号に対して抵抗を示し、低周波や直流は通過させます。これにより、ノイズを除去し、信号を安定させることが可能です。
インダクタの活用例
スイッチング電源:電流や電圧の変動を抑え、安定した電力を供給
モーター制御:電流の平滑化やノイズ除去を行い、モーターの動作が滑らかにし効率的に制御する
ラジオ:ラジオ受信機のチューニングダイヤルを回すと、インダクタが共振周波数を変化させ、特定のラジオ局の周波数にチューニングする
コンデンサとインダクタの違い
コンデンサとインダクタは、どちらもエネルギーを蓄える受動部品ですが、回路の用途によって使い分けられます。
以下にそれぞれの特性をまとめました。
コンデンサの特性
● エネルギーを「電場」に蓄える
● 「電圧」の変化に応じて動作し、電荷を蓄積・放出する
● 電荷を短時間で蓄積・放出できるため、エネルギーの素早い供給に適する
● 高周波を通しやすく、低周波や直流はブロックする
インダクタの特性
● エネルギーを「磁場」に蓄える
● 「電流」の変化に応じて動作し、電流の変動に抵抗する
● エネルギーの蓄積・放出が比較的ゆっくり行われるため、電流の変化を緩やかにする
● 低周波や直流は通しやすいが、高周波は通りにくくなる
このような特性の違いから、コンデンサは電圧の安定や高周波のフィルタリング、エネルギーの一時的な蓄積に用いられ、インダクタは電流の平滑化や高周波のフィルタリングに用いられます。
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