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DRAMとSRAMの違いは? それぞれの仕組み・特徴・用途を比較

  • 半導体用語集
公開日:2024.09.20

DRAM(Dynamic Random Access Memory)とSRAM(Static Random Access Memory)は、どちらもコンピュータや電子機器で使用される揮発性メモリの一種です。瞬発性メモリにはデータを一時的に保存し、必要な情報にすぐアクセスできる特徴がありますが、これらのメモリは性能やアクセス速度、消費電力、コストなどの点で大きく異なります。

本記事では、DRAMとSRAMの基本的な仕組みやメリットとデメリット、用途の違いについて詳しく解説します。

 

 

 

DRAM(Dynamic Random Access Memory)の仕組み・特徴

DRAMは、コンピュータの主記憶装置として広く使用されている揮発性メモリの一種です。主に、システムのランダムアクセスメモリ(RAM)として機能し、一時的なデータの保存に適しています。

 

構造・仕組み

DRAMは、各ビットを保存するために1つのトランジスタと1つのキャパシタを使用するセル構造を持っています。

 

 

トランジスタとは、電気信号を増幅・スイッチングする半導体素子であり、電子機器の基盤を支える重要な構成要素です。キャパシタへのアクセスを制御する役割があります。

トランジスタのゲート側はワード線に接続され、電位によってオン・オフが制御されます。

オン状態:キャパシタに電荷を読み書きできるようにする

オフ状態:キャパシタを安定して保持する

 

トランジスタのソース側はビット線に接続され、電位によってキャパシタの充放電を制御します。

キャパシタはいわゆる蓄電装置のことで、ビットのデータを「1」または「0」で表現します。

1を表す場合:電荷を蓄える

0を表す場合:電荷を放出する

キャパシタは時間とともに電荷を失うため、データを保持するためには定期的なリフレッシュが必要です。そのため、DRAMは「ダイナミック(動的)」と呼ばれます。

 

特徴

DRAMはセルあたりの構成がシンプルなため、高い集積度を実現します。これにより、大容量メモリを比較的低コストで製造可能です。

また、定期的なリフレッシュが必要なので、追加の回路と消費電力を必要とします。アクセス速度はSRAMに比べて遅いですが、近年の技術進歩により高速化が進んでいます。

 

 

SRAM(Static Random Access Memory)の仕組み・特徴

SRAMもDRAMと同様、揮発性メモリの一種ですが、DRAMとは異なりデータの保持にリフレッシュ動作が不要です。主に、キャッシュメモリやレジスタなど、高速アクセスが要求される用途で使用されます。

 

構造・仕組み

SRAMは、各ビットを保存するためにフリップフロップ回路を使用します。

 

CMOS1つに2つのトランジスタを使用しているため、6つのトランジスタを使用します。

この構造により、電源が供給されている限りデータを保持できます。リフレッシュが不要なので、データの安定性が高く、高速アクセスが可能です。

 

特徴

DRAMに比べてアクセス速度が速いため、プロセッサのキャッシュメモリとして最適です。リフレッシュが不要な分、消費電力が低いことが特徴です。
しかし、各ビットあたりのトランジスタ数が多いため、集積度が低く、大容量化には向いていません。また、複雑なセル構造と低集積度により、製造コストが高くなります。

 


DRAMとSRAMの違いを比較

以下に、DRAMとSRAMの主な違いをまとめました。

 

  DRAM SRAM
アクセス速度

速度は遅め

キャパシタの電荷を読み取るためリフレッシュ動作が必要

非常に高速なアクセスが可能

フリップフロップ回路により直接的にデータを保持・読み出しが可能

集積度 シンプルなセル構造により高い集積度を実現 複雑なセル構造のため集積度が低い
消費電力 消費電力が比較的高い

待機時の消費電力は低い

ただしアクセス時の消費電力は高くなる場合あり

コスト 大容量メモリが低コスト メモリ容量が少なく高コスト
用途 コンピュータのメインメモリとして広く使用 高速アクセスが求められるキャッシュメモリやレジスタファイル

 

アクセス速度

SRAMはDRAMに比べて速くアクセスできます。

DRAMはキャパシタの電荷を読み取るためにリフレッシュ動作を行う必要がありますが、SRAMは直接的なフリップフロップ回路によってデータを保持・読み出しできるためです。

 

集積度とコスト

DRAMはシンプルなセル構造により高い集積度を実現し、大容量メモリを低コストで提供可能です。一方、SRAMは複雑なセル構造により集積度が低く、同じ面積あたりのメモリ容量が少ないため、コストが高くなります。そのため、SRAMは容量よりも速度が重要な用途に向いています。

 

消費電力

DRAMはリフレッシュ動作が必要なため、動作中の消費電力が比較的高くなります。SRAMはリフレッシュが不要なため、待機時の消費電力を低く抑えられます。ただし、SRAM自体のトランジスタ数が多いため、アクセス時の消費電力は高くなる場合があります。

 

用途

DRAMは高い集積度と低コストから、コンピュータのメインメモリ(RAM)として広く使用されています。これにより、大容量のデータを一時的に保存し、プロセッサが迅速にアクセス可能です。

SRAMは高速なアクセスが求められるキャッシュメモリや、レジスタファイルなどに使用され、プロセッサの動作速度を向上させる役割を果たします。

 

最新の動向と技術革新

近年、メモリ技術は急速に進化しており、DRAMとSRAMの性能向上や新しいメモリ技術の登場が見られます。

例えば、DDR(Double Data Rate)技術を採用した最新のDRAMは、従来のDRAMよりも高い転送速度と帯域幅を実現しています。また、3Dスタック技術によりDRAMチップの積層化が進み、さらなる集積度の向上が図られる見込みです。

一方、SRAMの高速化や低消費電力化も進展しており、特にモバイルデバイスや高性能コンピューティング分野での需要が高まっています。また、非揮発性メモリ技術の発展により、DRAMとSRAMの中間的な特性を持つ新しいメモリが研究開発されているようです。

これにより、将来的にはさらに効率的で高速なメモリが登場することが期待されます。

 

 

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