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プリント基板とは? 構造別・材料別の種類を解説

  • プリント基板
公開日:2024.09.09

プリント基板(PCB)は、スマートフォンやコンピュータ、家電製品など、ほとんどの電子機器に欠かせない重要な部品になります。

ブリント基板は、電子部品を取り付け、それらを電気的に接続する役割を果たしますが、その種類は使用する材料や構造によって異なります。たとえば、よく使われるガラス繊維を含んだ基板や、曲げられるフレキシブル基板などがあり、用途に応じて選ばれます。また、構造の面では、単純な片面基板から、複雑な多層基板まで、多様なタイプが存在します。

この記事では、PCB(プリント基板)の材料別・構造別の種類について解説します。

 

 

 

プリント基板とは?

 

 

プリント基板とは、電子回路を構成するためのもので、電子部品が取り付けていない状態のプリント配線板(printed wiring board:PWB)と電子部品が取り付けている状態のプリント回路板(printed circuit board:PCB)の両方を指します。

 

プリント配線板は基板上に配線パターンを印刷したものであり、単体では電子回路として動作しません。一方、プリント回路板は電子部品がはんだ付けされているため電子回路として動作する状態のものです。かつては手作業のはんだ付けで回路を作成していましたが、現在は基板にあわせた多様な工法ではんだ付けが行われています。

 

プリント基板は電気を通さない材料(絶縁基板)の上に、IC、コンデンサ、抵抗器などの電子部品をはんだ付けによって実装(とりつけ)して、各電子部品を配線(電子回路)で繋げ、電気信号を伝達し、電力をおくる事がおもな役割になります。

 

また基板があると電子部品を1カ所にまとめられるため、電子回路を整理でき、スマホなどの小型な電子機器に内蔵可能です。

 

ちなみに、プリント基板は「プリント基盤」と記載されることがありますが、正しくは「プリント基板」です。「基盤」とは物事の基礎や基本となる事象という意味なので、「基板」と「基盤」では意味が異なります。

 

プリント基板には材料や構造によって種類がいくつかあるため、以下で詳しく解説します。

 

 

 

プリント基板の種類【構造別】

 

プリント基板の構造は大きく分けて片面基板、両面基板、多層基板の3種類に分けられます。

 

 

片面基板

 

片面基板(Single-sided PCB)は、基板の片面にのみ配線パターンが印刷された最もシンプルな構造の基板です。絶縁体の基材の上に銅箔が貼り付けられ、その上にパターンが形成されます。片面のみで構成されているため、簡単な回路設計や低コストの製品に使用されるのが特徴です。配線が交差するような複雑な回路を構成する事はできません。

 

片面基板では基板に開けた穴の内壁に銅めっきを施す「スルーホール」が形成されないため、両面基板よりも大きなサイズのパッド(銅箔)が必要です。

 

使用される主な製品:リモコン、電卓、電子玩具などのシンプルな機器

 

 

両面基板

 

両面基板(Double-sided PCB)は、基板の両面に配線パターンが印刷された基板です。上からソルダレジスト・銅箔・基材・銅箔・ソルダレジストの順番で構成され、基材を挟んで片面基板が両面にある状態です。

片面基板よりも複雑な回路設計が可能で、両面に配置された部品同士がスルーホールで接続されるため、部品の配置がより柔軟になります。

 

使用される主な製品:洗濯機、プリンター、ルーターなどの複雑な回路を必要とする機器

 

 

多層基板

 

多層基板(Multi-Layer PCB)は、3層以上の導体層を持つ基板です。主な構造は、中心に銅箔・基材・銅箔があり、層を重ねるごとに銅箔が増え、最後はソルダレジストがかぶせられます。

各層は絶縁体で分離され、必要な部分でスルーホールなどを使って接続されます。多層化により、回路を高密度に配置できるため、スペースの節約が可能。

 

使用される主な製品:コンピュータのマザーボード、サーバー、軍事用電子機器などの複雑な回路や高性能が求められる機器・装置

 

 

 

プリント基板の種類【材料別】

プリント基板のベースとなる材料は大きく分けて、フレキシブル基板、リジッド基板、リジッドフレキシブル(リジッドフレキ)基板の3種類です。その他放熱性を高めるメタルベース基板などもあり、LED搭載の照明用途して使われますが今回は割愛します。

 

 

 

リジッド基板

 

リジッド基板(Rigid board PCB)のrigidには「堅い」や「硬直した」という意味があります。リジッド基板は、形状が固定されている硬い基板なので曲げられません。

強度や耐久性に優れているため、振動や衝撃に強い構造が必要な機器に使用されます。また耐用年数が長いため、長期的な信頼性が必要な環境に最適です。

基板をイメージしたとき、緑色の基板を想像する方は多いかと思いますが、それもリジッド基板です。リジッド基板の材質には、紙とガラス布があり、それら材質に樹脂を組み合わせることで形成されます。

 

使用される主な製品:コンピュータのマザーボード、産業用機械、家電製品などの強度や耐久性が求められる機器

 

 

フレキシブル基板

 

フレキシブル基板(Flexible PCB)は、絶縁性フィルムを材料に使った柔軟性のある基板で、薄くて軽量な構造が特徴です。

折り曲げられるため、立体的な設計や可動部に適しています。特に狭いスペースや可動部分などで電子回路を配置する際に役立ちます。

フレキシブル基板は、1960年代に宇宙開発・軍事分野で使用されたことに始まり、1970年代から小型の電子機器で民間転用されると、急速に普及しました。リジッド基板と比較すると、コストはやや高額になります。

 

使用される主な製品:スマートフォン、デジタルカメラ、医療機器、ウェアラブルデバイスなどのコンパクトな機器

 

 

リジッド・フレキ(リジッドフレキシブル)基板

 

リジッド・フレキ基板(Rigid flexible PCB)は、リジッド基板とフレキシブル基板のハイブリッドです。リジッド部分は硬く、フレキシブル部分は柔軟に動くため、2つの基板の利点を活かした設計が可能となり、複雑な形状や可動部分が必要な機器でよく使用されます。フレックスリジッドと呼ばれたりもします。

 

リジッド基板とフレックス基板の接続にコネクターが必要ないため、ノイズを発生させたくないデジタル機器などにも最適。

 

使用される主な製品:医療機器、デジタルカメラ、航空宇宙機器、軍事用電子機器などの複雑な構造の機器

 

 

 

プリント基板は、使用する材料や構造によって多くの種類があります。それぞれの基板は、電子機器の用途や性能に応じて最適なものが選ばれます。

例えば、シンプルな電子機器にはコスト効率の良い片面基板が使われる一方、高速かつ高密度な処理を求められる装置には多層基板が必要です。

またフレキシブル基板のように、物理的な柔軟性が求められる場面でも特定の基板が使用されます。基板の選定は電子機器の設計においてとても重要です。下記のおすすめメーカーや選び方など参考にご覧ください。

 

 

 

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