Tonari media トナリメディア

CPUとは? 半導体の頭脳の仕組みとGPU・マイクロプロセッサとの違い

  • 半導体用語集
公開日:2025.09.29

CPUとは

CPU(Central Processing Unit)とは、日本語で「中央演算処理装置」と呼ばれる、コンピュータの頭脳のような存在です。

ソフトウェアを動かすとき、その裏側でCPUが命令を理解し、処理し、結果を出すことでコンピュータ全体が機能します。

 

役割は大きく分けて3つあります。

制御:命令を読み取り、次に何を行うかを決める

演算:数値計算や論理演算を行う

命令実行:処理結果をメモリや他の装置に反映させる

 

この一連の流れを高速に繰り返すことで、私たちが普段使うアプリやサービスが動いています。

さらにCPUは、半導体製品の代表格でもあります。シリコン基板の上に数十億個もの微細なトランジスタを集積し、電子の流れを巧みに制御することで、高速かつ低消費電力で処理を行えるようになっています。

 

スマートフォンやパソコン、サーバーなど、あらゆる電子機器に搭載され、現代のデジタル社会を支える中核デバイスなのです。

 

 

 

CPUの動作の仕組み

CPUは「命令を理解して実行する装置」として働きます。

この処理は「命令サイクル」と呼ばれる一連の流れを高速に繰り返すことで実現されます。

 

典型的な命令サイクルは次の4段階で構成されます。

フェッチ(命令取得):メモリから命令を取り出す

デコード(解読):命令の内容を解釈する

実行(エグゼキュート):算術・論理演算や制御処理を行う

ライトバック(書き戻し):結果をレジスタやメモリに保存する

 

このサイクルを継続的に繰り返すことで、OSやアプリケーションは動作します。

さらに現代のCPUでは、パイプライン化や分岐予測、アウト・オブ・オーダー実行などの技術により、高速化と効率化が図られています。

 

この一連のサイクルによって、コンピュータはプログラムに従った動作を行えるのです。

 

 

CPUの内部構成

こうした命令サイクルを支えているのが、CPU内部の主要な要素です。

 

制御装置(Control Unit):命令を解釈し、各回路へ制御信号を出す

演算装置(ALU:Arithmetic Logic Unit):算術演算や論理演算を担当

レジスタ:処理中のデータやアドレスを保持する小容量・高速な記憶装置

キャッシュメモリ:よく使うデータを一時保存し、メモリアクセスを高速化する仕組み

 

 

これらの機能は、すべて半導体トランジスタの集積回路として実現されています。微細加工技術の進歩により、トランジスタの数は数億から数百億単位にまで増加し、その結果としてCPUの処理速度や効率は飛躍的に向上してきました。

 

つまり、CPUの仕組みは単純な流れに見えても、その裏では膨大な半導体回路が複雑に連携し、コンピュータを支えています。

 

 

 

マイクロプロセッサとCPUの違い

「CPU」と「マイクロプロセッサ」は、似たような意味で使われがちですが異なる意味を持ちます。

 

CPU(Central Processing Unit) は、コンピュータにおける「中央演算処理装置」という概念そのものを表します。命令の解釈や演算、制御を行うシステムの中核であり、必ずしも一つのチップに収まっている必要はありません。

初期のコンピュータでは、CPUは複数の基板や部品を組み合わせて構成されていました。

 

これに対してマイクロプロセッサは、CPUの機能を1つの半導体チップに集積したものを指します。

1971年に登場したIntel 4004は世界初の商用マイクロプロセッサであり、それまで部屋いっぱいの大きさが必要だったコンピュータの「頭脳」を、小さなICチップへと凝縮しました。

この小型化の流れによって、パソコンやスマートフォンといった身近な電子機器の普及が可能になったのです。

 

つまり、

CPU:計算と制御を担う装置という概念

マイクロプロセッサ:そのCPUをワンチップ化した半導体製品

という関係になります。

 

歴史的に見ると、大型計算機時代のCPUは基板レベルで組み上げられていたのに対し、マイクロプロセッサの登場によって「小型化・低コスト化・高性能化」が一気に進み、私たちが使う現代のコンピュータの基盤となりました。

 

 

 

CPUとGPUの違い

コンピュータの演算処理を担う装置としてよく比較されるのが CPU と GPU(Graphics Processing Unit) です。

どちらも半導体チップとして実装されていますが、その設計思想や得意分野は大きく異なります。

 

 

役割の違い

CPU:汎用的な処理が得意で、OSの制御、複雑な演算、条件分岐を含むプログラムの処理など、幅広いタスクを少数の高性能コアで効率よく実行します。

 

GPU:もともとはグラフィックス描画専用のプロセッサとして開発され、膨大なデータを同時並列で処理することが得意です。

多数のコアを搭載しており、同じ種類の計算を繰り返すような処理(画像処理、機械学習、シミュレーションなど)に強みを発揮します。

 

アーキテクチャの違い

CPU:数個〜数十個の高性能コアを持ち、1つの命令を効率的に処理できるように設計されています。

キャッシュメモリや制御回路が充実しており、複雑なタスクを順次こなせます。

 

GPU:数百〜数万単位のシンプルなコアを持ち、同じ演算を並列で一斉に実行できます。演算装置に特化しているため、制御機能は最小限です。

 

 

活用分野の違い

CPU:パソコンやスマートフォンのOS動作、アプリケーションの制御、Webブラウジング、事務処理など、あらゆる基本的な計算処理に利用されます。

 

GPU:3Dゲームの描画、動画編集、ディープラーニング(AI)、暗号資産のマイニング、科学技術計算など、並列計算を必要とする分野で活躍しています。

 

 

 

Company
会社情報
Contact
お問い合わせ