中国AI半導体大手カンブリコン、売上44倍で黒字転換|「中国版エヌビディア」の急成長と今後の展望
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カンブリコンとは
カンブリコン(中科寒武紀科技、Cambricon Technologies) は、2016年に中国科学院(CAS)の研究チームによって設立されたAI(人工知能)向け半導体設計企業です。本社は北京の中関村に位置し、中国のIT大手ファーウェイとも密接な関係を持ちながら成長してきました。
カンブリコンは人間の神経細胞を模した NPU(ニューラル・プロセッシング・ユニット) の開発を得意とし、大規模AIモデルや高性能サーバーに最適化されたチップを提供しています。特に次世代プロセッサー「MLU590」は、米エヌビディアのA100に匹敵する性能を持つと評価されており、 「中国版エヌビディア」 とも呼ばれています。
近年は米中の半導体摩擦を背景に、中国政府の国産化政策の追い風を受けて急成長。データセンター、通信、金融、クラウドサービスなど幅広い産業で採用が拡大しており、AI半導体分野で中国を代表する存在となっています。
中国AI半導体大手カンブリコン、爆発的成長で黒字化へ
中科寒武紀科技(カンブリコン) が、2025年上半期(1〜6月)の決算で歴史的な飛躍を遂げました。売上高は前年同期比44倍の28億8,100万元(約593億円)、調整後純利益は9億1,300万元(約188億円)と、半期ベースで初の黒字化を実現しています。
同社はこれまで地方政府が建設するデータセンターへの依存度が高く、売掛金回収の遅れから営業キャッシュフローがマイナスを続けていました。しかし、2025年上半期には営業キャッシュフローが約187億円の黒字に転換し、財務面でも大きな改善が見られます。
国産AIチップ需要の拡大が追い風に
カンブリコンは決算報告書の中で「通信、金融、インターネットなど各業界で製品が大量採用された」と言及。特に、大規模言語モデルやAIアプリケーション開発、高性能サーバー分野での導入が急増しています。
アメリカのNVIDIA製AI半導体「H20」の対中輸出再開が不透明な中、国産AIチップへの注目は高まり、「中国版エヌビディア」としてカンブリコンは大きな存在感を示しています。さらに、中国AIスタートアップDeepSeekが新モデルを発表した際、「次世代国産AIチップ対応」を明言したことも投資家心理を刺激しました。
株価急騰とバブル懸念
2025年8月27日、決算発表直後にカンブリコン株は取引時間中の過去最高値を更新。過去1年間で株価は5.6倍に跳ね上がり、時価総額は約5800億元(約12兆円)に到達しました。これは2020年の上場時から22倍以上の成長です。
ただし、直近4四半期の純利益を基にした株価収益率(PER)は500倍超に達しており、バブル的要素を指摘する声もあります。カンブリコン自身も「株価がファンダメンタルズから乖離している可能性」を警告しています。
過去最大規模の資金調達と成長戦略
カンブリコンは最大約1,026億円規模の第三者割当増資を計画し、研究開発や生成AI向け半導体の開発に資金を投じる見通しです。中国証券監督管理委員会からも承認を得ており、最新報道では5億6100万ドルの調達計画も伝えられています。
政府支援のもと、カンブリコンは中国の技術自立戦略における中核的存在となりつつあります。ファーウェイやSMICと並び、中国半導体産業をけん引する存在として、さらなる拡大が見込まれます。
半導体市場の成長とキャリアチャンス
AI半導体企業の急成長は、中国だけでなく日本の半導体・IT業界にも波及しています。大規模言語モデルや生成AIの普及により、半導体設計エンジニア、AIアルゴリズム開発者、データセンター関連のインフラ技術者 などの需要は一段と高まっています。
転職市場でも求められる半導体・AI人材
日本国内でも、半導体関連企業や外資系ハイテク企業が、AIやデータ処理に強い人材を積極採用しています。
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