NVIDIA、中国向けAI半導体「H20」の生産停止を要請~米中規制と中国排除方針で先行き不透明に~
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NVIDIA、中国向けAI半導体「H20」生産停止を要請
アメリカの半導体大手NVIDIA(エヌビディア)が、中国市場向けに設計された人工知能(AI)半導体「H20」に関連する生産を停止するよう、複数の部品サプライヤーに要請したことが報じられました。対象にはサムスン電子(韓国)、アムコー・テクノロジー(米国)、鴻海精密工業(台湾)などが含まれており、H20を巡る供給網全体に影響が及ぶ可能性があります。
中国当局による排除方針が引き金に
今回の要請には、中国当局がH20の利用を控えるよう国内企業に通知した事が背景にあります。中国政府は「セキュリティリスク」を理由に、テンセントやバイトダンスを含む主要企業に対してNVIDIA製半導体の利用制限を指示。これにより、H20の中国市場での将来性は大きく揺らぎました。
NVIDIAのジェンスン・フアンCEOは「H20にはバックドアや不正機能は存在しない」と強調していますが、中国当局の警戒姿勢は続いています。
米政府の規制と新たな条件付き輸出承認
米政府は2024年にH20を対中輸出規制の対象に追加し、NVIDIAは出荷を一時停止。その後、性能を落としたAI半導体について限定的な輸出再開を承認しましたが、「中国向け売上の15%を米政府に納める」という条件付きであり、法的な妥当性を巡る議論が続いています。
さらに、米当局は半導体流出を防ぐために「位置情報による製品追跡」などの対策を検討中で、米中間の摩擦は一層深まっています。
中国半導体企業に追い風
NVIDIA H20の不透明感は、中国国内の半導体企業にとっては好機となっています。競合する中科寒武紀科技(カンブリコン・テクノロジーズ)の株価は一時10%上昇するなど、中国メーカーへの期待が高まっています。
中国政府は「国産半導体の採用拡大」を掲げており、今後さらに国内シェアが伸びる可能性があります。
今後の見通し
台湾積体電路製造(TSMC)と次世代半導体「ルービン」について協議するため、台湾を訪れているファンCEOはトランプ政権次第ではあるものの、H20のフォローアップの可能性について米当局と協議中だと述べた。
また、「中国向けAIデータセンター用の新たな製品、H20の後継品を提供するかどうかはわれわれが決めることではない。当然ながら米政府の判断に委ねられる」と説明。「われわれは対話を続けているが、結論を出すには早過ぎる」と語った。
米中両政府の規制・対立構造がH20の命運を左右する中、NVIDIAの戦略転換や中国企業の動向は、今後も世界の半導体市場に大きな影響を与えるでしょう。