Tonari media トナリメディア

【2025年8月前半】半導体・電子部品業界NEWSピックアップ

  • 業界NEWS
公開日:2025.08.21

2025年8月前半の半導体業界は、技術革新・事業再編・地政学リスクが交錯する展開となりました。

新素材や次世代半導体の研究開発が進む一方、採算性の低い事業からの撤退や資産売却も目立ち、各社が「選択と集中」を進めているようです。

また、市況面では生成AI需要やEV関連が追い風となる分野がある一方、メモリーや一部デバイスは需要低迷や為替影響で苦戦し、成長と停滞の二極化が鮮明化しました。

米中対立に伴う規制や関税強化が業界全体に依然不確実性を与えていますね。

 

本記事では、業界の最新動向や注目すべきニュースをピックアップしております。最新トレンドを確認できるため、今後のビジネスにぜひお役立てください。

 

それでは、2025年8月上旬の半導体・電子部品業界ニュースをご紹介します。

 

 

 

【8月前半】半導体業界NEWS

 

8月15日

・東レは電子部品の高性能化に役立つ感光性材料を開発。電子部品の絶縁性を高められ、微細な構造設計ができ、MEMS(微小電気機械システム)デバイスに展開できる。

 

・島津製作所は主力の計測機器で半導体市場を開拓する。半導体の製造に使う水の品質管理や廃液分析などにも使えると想定し、半導体関連の計測機器の売上高を数年で現在の約5倍の30億円に伸ばす目標。

 

・ニデックインスツルメンツは中国で半導体基板の搬送ロボットの生産を開始。中国の工場に組み立て用のクリーンルームを整備した。毎月100台を製造し、日本国内を含めた生産台数は4割増える。中国の半導体製造装置メーカーに売り込む予定。

 

 

8月14日

・マブチモーターは、25年1〜6月期の連結決算を発表。売上高が前年同期比微減の949億円、純利益が28%減の89億円に。車のミラーやドアロックなどに使うモーターは堅調だったが、為替差損を29億円計上したことが響いた。

 

・ミネベアミツミは、温度センサー大手の芝浦電子に進めている株式公開買い付け(TOB)について価格を6200円に引き上げると発表。引き上げは5月1日以来2回目となる。芝浦電子に対し同意なき買収を進めるヤゲオのTOB価格と同額に。

 

 

8月13日

・中国通信機器大手のファーウェイは生成AIの基盤となる大規模言語モデル(LLM)の推論の効率を最大で約20倍高める技術を開発。9月から一般向けに提供する予定。米国政府が半導体などの輸出を規制するなか、技術の内製化を進めて対応する。

 

・I-PEXは、電気自動車(EV)の使用済み蓄電池をソーラー街路灯や防災用蓄電池設備に再利用する事業を新設。品質に個体差のある使用済み蓄電池の制御システムを開発したことで再生が可能に。中古EVの多くが輸出され、電池材料のレアメタル(希少金属)の流出が問題となるなか、国内循環の再利用市場を開拓する予定。

 

・中国の半導体製造装置メーカー、屹唐半導体科技は、アメリカのアプライドマテリアルズが技術を不正に取得し利用しているなどとして、北京知識産権法院に提訴したと発表。9999万元(約20億円)の支払いなどを求めている。屹唐半導体科技の主張では、子会社のマットソン・テクノロジーから技術に詳しい従業員2人をアプライドが引き抜いたとの事。

 

 

8月12日

・レゾナック・ホールディングスはヨーロッパの自動車・産業用鉛蓄電池事業をドイツの投資ファンドのアウレリウス社に売却する。レゾナックホールディングスは鉛蓄電池事業から撤退することに。10~12月の間での売却完了を予定。

 

 

8月11日

アメリカのフォード・モーターは、アメリカで総額50億ドル(約7400億円)を投資し、2027年に新型の電気自動車(EV)ピックアップトラックを発売すると発表。

中国メーカーの技術を導入した低コスト電池を採用して販売価格は3万ドル(約440万円)を目指す。

EV普及が停滞するアメリカはトランプ政権による環境規制の見直しや購入支援打ち切りでEV市場が一段と縮小する見通し。

 

・アメリカのトランプ政権は、半導体大手のエヌビディアとアドバンスト・マイクロ・デバイス(AMD)が中国向けに販売した人工知能(AI)チップ収入の15%をアメリカ政府に支払うと明らかにした。

アメリカ政府が一時禁止した中国向け輸出を認める条件として、両社とそれぞれ合意。アメリカ政府は8日までに中国向け輸出に必要なライセンスの発行を始めており、両社は出荷を再開する見通し。

 

 

8月8日

・Yanekara、家庭向け小型蓄電システムの販売を始めた。太陽光発電設備の稼働に合わせて充放電する。導入費用は14万8995円。工事不要で蓄電池と制御機器をコンセントに挿して使う。太陽光発電の発電量が多い昼に電気をためて夜などに使うことで電気代を抑える。持ち運びできる蓄電池を手掛ける中国のエコフローと業務提携を結んだ。

 

・オプテックスグループが、2025年1〜6月期の連結決算を発表。純利益が前年同期比19%増の29億円、売上高は1%減の303億円。防犯をはじめとするセンサー事業は堅調だった。ファクトリーオートメーション(FA)は米関税政策の影響を受けた半導体、電子部品向けで伸び悩んだ。

 

・文部科学省は次世代の半導体開発を担う新しい事業を立ち上げる。2026年度から参画する大学を公募する5年間のプロジェクトで、研究開発費を割り当てる。26年度予算案で概算要求に盛り込む。

パワー半導体の開発を強化し、半導体の素材には日本が研究開発で強みを持つ窒化ガリウム(GaN)や酸化ガリウム(Ga2O3)などに焦点を当てる。

 

・リバーエレテックが2025年4〜6月期の連結決算を発表。最終損益が1億2300万円の赤字(前年同期は3300万円の黒字)に。主力のスマートフォン向け水晶振動子の受注が減った。

 

・鈴木は、25年6月期の連結決算を発表。売上高が前の期比20%増の333億円、純利益は22%増の27億円に。スマートフォン関連部品が堅調に推移したほか、HV向けの電装部品の好調が寄与。

 

・TSMCが2025年7月の売上高(速報値)を発表。同月として過去最高の3231億台湾ドル(約1兆5900億円)で、前年同月比で25.8%増えた。

 

・キオクシアホールディングスが2025年4~6月期の連結決算を発表。純利益が前年同期比74%減の182億円、売上収益は20%減の3427億円、営業利益は64%減の448億円に。スマートフォンやパソコン向けで長期記憶に使われるNAND型フラッシュメモリーの販売回復が遅れている。円高も利益を押し下げた結果に。

 

・シャープは、2026年3月期の連結純利益が前期比11%減の320億円、売上高は13%減の1兆8700億円、営業利益は10%増の300億円になる見通しだと発表。米マイクロソフトの基本ソフト「ウィンドウズ10」のサポート終了を10月に控え、25年4~6月期のパソコン販売が想定を上回ったことを加味。

 

・ジャパンディスプレイ(JDI)が2025年4~6月期連結決算を発表。最終損益が202億円の赤字(前年同期は65億円の赤字)。主力の茂原工場の生産終了や希望退職募集に伴う費用で特別損失を計上。

 

 

8月7日

・トクヤマは、韓国OCIグループと、マレーシアに半導体材料を製造・販売する合弁会社を設立したと発表。資本金は9億2200万リンギ(約320億円)で、トクヤマとOCIのグループ会社が折半出資。設立は7月8日付。

 

・東京エレクトロンは、TSMCの機密情報を不正取得した疑いで台湾当局が捜査している件で、東京エレクトロンの台湾子会社の元従業員1人が関与していたことを確認したと発表。

同社のウェブサイトに声明を掲載した。関与した元従業員はすでに懲戒解雇しており、台湾の司法当局による捜査に全面的に協力しているとした。東京エレクトロンによる調査では「現時点で関連する機密情報の外部への流出は確認されていない」としている。

 

・KOKUSAI ELECTRICが2025年4〜6月期の連結決算を発表。純利益が前年同期比49%減の67億円、売上収益は21%減の517億円。前年同期に急増した中国向けの半導体製造装置の販売が一服したことによる反動減が利益を押し下げた。

 

・湖北工業が2025年1~6月期の連結決算を発表。純利益は前年同期比66%減の6億円、売上高は2%増の78億円だった。

 

・中国のSMICが2025年4〜6月期決算を発表。純利益が前年同期比19%減の1億3248万ドル(約200億円)、売上高は16%増の22億906万ドルに。

 

・SUMCOは、佐賀県で計画しているシリコンウエハーの新工場について、決算記者会見で橋本真幸会長が、着手時期を慎重に見極める考えを明らかにした。

2023年に、総額2250億円を投じて佐賀県で新工場を整備する方針を公表。ウエハーの元となる円柱状のインゴットをつくり、円盤状に加工する。直径300ミリメートルのウエハーを月10万枚生産できる設備を導入予定で、経済産業省は計画に対して最大750億円の補助を表明している。

 

・トランプ米大統領は、インテルのリップブー・タン最高経営責任者(CEO)に辞任を要求した。リップブー・タン氏の過去の中国企業への投資を問題視しているとみられる。経営再建の担い手として招かれたばかりのタン氏だが、「親中国」との批判からむしろ経営リスクになりかねない。

 

 

8月6日

・プラスチック加工興和とグループ企業2社は、2027年6月に熊本県に約6億円を投資して工場を新設する。TSMCが同県で量産を始め関連産業集積も進むなか、需要増を見込んで半導体製造装置の部品向けプラスチック製品を製造、供給する計画。

 

・旭化成は豊田通商に電気自動車(EV)向け電池材料を優先的に供給する契約を結んだ。セパレーター(絶縁材)を、2027年にアメリカの拠点から供給を始める。豊通は契約を通じ、トヨタ自動車など北米で電池生産を手掛けるメーカーへの安定供給につなげる。

 

・ジャパンディスプレイ(JDI)は親会社のファンド、いちごトラストにパネル技術に関する知的財産を売却した。車載向けパネルなどの生産は継続しているため、今後もJDIが無償で知財を使用できる契約を結んだ。売却で得た資金は運転資金や新規事業にあてる予定。

 

・浜松ホトニクスは、量子コンピューター向けの多画素・高感度カメラなどを開発すると発表。新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の研究開発事業に採択され、2025〜27年度の3年間に計約30億円の助成を受けるとの事。

 

・タムラ製作所は、2025年4〜6月期の連結決算を発表。純利益が前年同期比69%減の2億4600万円、売上高は18%増の288億円、営業利益は8%増の11億円に。円高の影響で1億6500万円の為替差損を計上したことなどが響いた。

 

・日本ケミコンは、2025年4〜6月期の連結決算を発表。最終損益が1億7500万円の赤字(前年同期は4億5100万円の黒字)、売上高は5%増の308億円、営業利益は71%減の1億5200万円に。為替の円高で為替差損が1億9100万円発生し、損益を押し下げた。データセンターなどICT市場向けのコンデンサーなどが堅調。

 

・ダイヘンは、中国電池大手のCATLから蓄電池の調達で長期契約を結んだと発表。期間は8月から26年3月まで。ダイヘンが手がける変圧器などの設備と組み合わせ、太陽光など再生可能エネルギーの需給を調整する系統用蓄電池システムとして販売する予定。

 

・オムロンが2025年4~6月期の連結決算を発表。最終損益が68億円の黒字(前年同期は96億円の赤字)、売上高は前年同期比3%増の1894億円、営業利益は2%増の63億円に。ファクトリーオートメーション(FA)などの制御機器が回復。前年同期に人員削減に伴う構造改革費用を195億円計上していた反動で、最終黒字を確保。

 

・アップルは、部品のアメリカでの生産などに1000億ドル(約14兆7300億円)を追加投資すると発表。トランプ米政権が掲げる製造業の米国回帰に足並みをそろえた。6日の株式市場ではスマートフォン「iPhone」への追加関税が回避できるとの期待が膨らみ、株価が一時、前日終値より6%ほど上昇した。

 

・トランプ米大統領は、近く公表する見込みの半導体関税について「アメリカに輸入されるすべての半導体におよそ100%の関税をかける」と述べた。また、アメリカ国内に工場をつくると約束した企業には負担軽減措置を設ける考えも示唆した。

 

 

8月5日

・ルネサスエレクトロニクスは、産業機器や医療機器に使うMPU(超小型演算処理装置)を開発し、量産・販売をスタートした。画面表示と音声認識、高速通信などの機能を1つのチップで賄えるため設計のしやすさを売りにする。

 

・ジーエス・ユアサコーポレーションは、2025年4〜6月期の連結決算を発表。純利益が前年同期比36%増の65億円、営業利益は83億円と34%増、売上高は3%増の1318億円。4〜6月期として過去最高の純利益に。データセンターの非常用電源や再生可能エネルギー関連の蓄電設備が伸びた。

 

・日本航空電子工業は、接続部を加工して挿入しやすくしたUSBタイプCコネクターを発売したと発表した。挿入部を外側にL字加工し、ケーブルが若干ずれても接続できるようなった。配線ケーブルが入り組んだ機器や端末内での作業効率が高まる。

 

・半導体世界大手のTSMCが、先端半導体技術に関連する機密情報を不正に取得した疑いで複数の従業員を解雇したことがNikkei Asiaの取材で分かった。

国家安全法違反容疑で同社の元従業員ら3人を拘束した。

 

・ニデックは、本社とは別に京都府向日市に自動車分野に特化した研究開発棟を新設する。2026年6月に工事を始めるとの事。

 

・アメリカのGroq(グロック)が日本でクラウドコンピューティングの仕組みを利用したサービスを始める。KDDIなどデータセンター運営企業と協業する検討をスタート。

 

・アメリカのアドバンスト・マイクロ・デバイス(AMD)が2025年7〜9月期の売上高見通しを発表。前年同期比28%増の87億ドル(約1兆2800億円)前後と市場予想を上回った。(4〜6月期は売上高が前年同期比32%増の76億8500万ドルに)

 

・アメリカ司法省は、アメリカの対中輸出規制に違反して人工知能(AI)半導体を中国に輸出した疑いで、2人の中国人を逮捕したと発表。複数の報道によると、エヌビディアの主力だった半導体「H100」を含むとの事だ。アメリカに法人を設立し、東南アジア経由で中国に密輸していた疑いがある。

 

 

8月4日

・ヒロセ電機は、最大150億円の自社株買いを実施すると発表。発行済み株式総数の3.10%にあたる105万株を上限に市場で買い付ける。取得期間は8月5日から2026年3月31日までとなる。また、ヒロセ電機は5月に26年3月期から29年3月期までの4年間で600億円を上限とする自社株買いを実施すると公表済み。

 

・GMOインターネットは、生成AI(人工知能)開発向けのクラウドサービスで、エヌビディアの新たな画像処理半導体(GPU)を採用すると発表。GPUの性能が従来品の約2倍で、効率が向上。大規模言語モデル(LLM)を開発する企業や研究機関などの需要を見込む。

 

・ホンダは、トクヤマ、三菱商事と共同で、使用済みの自動車用燃料電池と水素を用いてデータセンターに電力供給する実証設備を山口県に設置。隣接するトクヤマ徳山製造所から水素を調達し、発電分を三菱商事の分散型データセンターに供給する。

 

・中国のCATLは、中国のレンタカー大手、神州租車が導入する電気自動車(EV)10万台以上に交換式電池を供給すると発表。両社は電池交換ステーションの建設と運営でも協力を予定。交換式電池は、指定のステーションに車を止め電池を取り換える。コネクターを接続して充電する一般的なタイプより短い2〜3分で作業が完了する。

 

・ロームが2025年4~6月期の連結決算を発表。純利益が前年同期比14%減の29億円、売上高は2%減の1162億円、営業利益は85%減の1億9500万円に。電気自動車(EV)や産業機器向けの半導体需要が低迷し、円高が進み為替差益も減った。

 

 

8月1日

・芝浦電子へのTOBを進める台湾のヤゲオは、株の取得に必要な外為法の審査の期間が延びると発表。8月1日までとしていたTOB期間は18日までに延長した。

 

・HOYAが、2025年4〜6月期の連結決算を発表。純利益が前年同期比10%増の518億円、売上収益は3%増の2204億円。主力のめがねレンズの販売が欧米や日本、新興国で好調だった。また、先端半導体の生産に使う極端紫外線(EUV)向けの回路原版の需要が拡大。ハードディスクドライブ(HDD)向けガラス基板も好調。半導体材料やHDDを含む情報・通信事業の売上高は6%増えた。

 

・イビデンは、25年4〜6月期の連結決算を発表。売上高が10%増の974億円、純利益が44%増の127億円に。生成AIサーバー向けの受注が好調に推移。

 

・レゾナックホールディングスは、ヨーロッパの自動車・産業用鉛蓄電池事業をドイツの投資ファンドのアウレリウス社に売却すると発表。売却に伴いレゾナックホールディングスは鉛蓄電池事業から撤退する。売却額は非公表、10〜12月の間での売却完了を予定。

 

・TDKは、2025年4~6月期の連結決算を発表。純利益が前年同期比30%減の414億円、売上高は3%増の5357億円、営業利益は3%減の564億円に。期中平均レートは1ドル=144円台半ばと前年同期から11円ほど円高水準となり、営業利益を約71億円押し下げた。

 

 

 

 

 

Company
会社情報
Contact
お問い合わせ