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【2025年7月前半】半導体・電子部品業界NEWSピックアップ

  • 業界NEWS
公開日:2025.07.16

2025年7月前半の半導体業界は、生成AIや再生エネルギーの供給能力強化と、脱炭素化の両立がトレンドでした。その他、地域連携や人材育成もより重要性を増し、産学官・国際連携を巻き込んだ構造変化が進んでいるニュースが多い印象です。

 

本記事では、業界の最新動向や注目すべきニュースをピックアップしております。最新トレンドを確認できるため、今後のビジネスにぜひお役立てください。

 

それでは、2025年7月上旬の半導体・電子部品業界ニュースをご紹介します。

 

 

 

【7月前半】半導体業界NEWS

 

7月15

・三菱マテリアルは、高性能無酸素銅の新製品「MOFC-GC」を開発したと発表。自動車の電動化で需要が高まるパワーモジュールで放熱するために使われる基板の回路層に適しているという。

 

・公正取引委員会はSMKに対し、電子部品を製造するための金型を下請け会社に無償で長期間保管させたのは下請法違反に当たるとして、保管費用の支払いと再発防止を求めて勧告した。

 

・日本航空電子工業はオオクマ電子と共同で、半導体の製造装置や検査装置向けに使う新しい部品を開発したと発表した。装置に組み込んだ半導体の素子やメモリーの位置のずれを補正し、制御する役割。

 

・Wave Technologyは、長崎市の起業家育成施設「ながさき出島インキュベータ」に事業所を設けると発表。

 

・トヨタ自動車の電池開発・製造子会社、プライムプラネットエナジー&ソリューションズは、、中国で電気自動車(EV)の車載電池を生産すると明らかに。新たな電池工場棟を建て、投資額は37億元(約760億円)に。稼働時期は非公表。

 

 

7月14

・九州リースサービスが送電線につなぐ系統用蓄電池の事業に参入。5月に九州電力子会社との共同出資で「KLI新エネルギー」を設立した。

 

・日本ガイシは、スタートアップなどと新事業を開発する研究開発拠点の開所式を名古屋市内で開いた。ヨーロッパの規制などに対応したガソリン車向けを強化しつつ、二酸化炭素(CO2)回収やパワー半導体などガソリン車以外の新領域を開拓。「全方位戦略」を深化させる。

 

・村田製作所は、データセンターなどのサーバーに搭載する積層セラミックコンデンサー(MLCC)の新製品の量産を開始。新製品は従来の2倍の電気を蓄えることができ、高機能な半導体に多くの電気を供給する必要がある人工知能(AI)関連のサーバーの需要を見込む。

 

・パワー半導体の受託生産を手掛けるJSファンダリは、東京地裁に破産を申請し、破産手続きの開始決定を受けた。負債総額は161億円。中国のパワー半導体メーカーの台頭で新規顧客の開拓が進まず資金繰りが困難になっていた。

 

・みずほ証券は9月に、太陽光発電所と発電所に併設する蓄電池を投資対象にしたファンドを立ち上げる。総額は約60億円で、大分県と鹿児島県の発電所4カ所に蓄電池を設置。運用期間は15年程度を予定。

 

・キオクシアホールディングスは、外貨建て社債を発行すると発表。発行額は最大30億ドル(約4400億円)。キオクシアホールディングスは日本政策投資銀行から3000億円規模の優先株(非転換社債型)出資を受けていて、社債発行で得た資金で政投銀の優先株を買い取る予定。優先株向けの高配当の支払いを減らす狙い。

 

・オーストラリアのBHPグループは、中国BYDの電池事業子会社と車載電池大手のCATLとそれぞれ提携したと発表。BHPが採掘作業を手掛ける鉱山で、BYDとCATLの車両や電池を使った技術を活用する予定。

 

・セイコーエプソンは、極微小な揺れや常時微動を計測できる加速度センサーの量産を始めた。インフラ監視や資源探査などわずかな振動や変位の観測が求められる様々な現場で活用を見込む。

 

・パナソニックホールディングスは、アメリカカンザス州で電気自動車(EV)電池の新工場を稼働。主要顧客のテスラの不振やEV市場の停滞を受け稼働時期を未定とした。トランプ政権が補助金廃止を決めたアメリカ市場は今後もEV需要拡大が見込めず、EVに依存してきた戦略の見直しが必要になる。

 

・エヌビディアは、中国向けに設計した人工知能(AI)半導体「H20」の出荷を再開する計画を表明。H20は米政府が4月に規制対象に加え、出荷を停止していたが、エヌビディアの働きかけを受け、米政府が規制強化の方針を撤回。

 

 

7月11

・レノバは、静岡県のバイオマス発電所の稼働を停止したと発表。ボイラー周辺の設備で不具合が起きた為、補修した上で、9月中をめどに再稼働を見込む。

 

・九州大学は、台湾の陽明交通大学と半導体の高度人材育成に取り組むための覚書を結んだ。両校の知見や設備を持ち寄った教育制度づくりを目指す。

 

・豊田通商は、自動車リサイクルを手掛けるアメリカのラディウス・リサイクリングの買収が完了したと発表。9億1200万ドル(約1340億円)で同社の全株式を取得。アメリカでトヨタ自動車などにリサイクル材を供給する体制を整える。

 

 

7月10

・大分県日出市は、TSMCの本社がある台湾の新竹市と友好交流協定を締結。協定を契機に人的交流を活発化させ、台湾の半導体関連企業の誘致や観光客の誘客につなげる。

 

・東北経済連合会が産官学、金融業界と共同で設置した東経連ビジネスセンターはOrbrayと秋田県産業技術センターが共同開発する高性能水素ガスセンサーを助成事業に採択したと発表。

 

・ミネベアミツミは、芝浦電子に対し実施しているTOB(株式公開買い付け)の期間を7月16日まで延長すると発表。

 

・TSMCは、2025年6月の売上高(速報値)を発表。同月として過去最高の2637億台湾ドル(約1兆3000億円)で、前年同月比26.9%増。4~6月期の売上高は前年同期比38.6%増の9337億台湾ドルとなり、四半期ベースの最高を更新。

 

 

7月9

・SMKは、立正大学とラフールと声を分析することで従業員のストレス度合いをチェックできるシステムの共同研究を始めたと発表。職場環境を改善し、離職防止につながる効果を見込む。

 

・ルネサスエレクトロニクスは、モーター制御に特化したマイコンを開発したと発表。モーターの電流を監視して回転の精度を上げられる機能で、小型掃除機やドライヤー、扇風機など幅広い家電に使える。

 

・三和油化工業は、北九州市で半導体製造に使う化学品の再生工場に着工。2027年4月の完成を目指す。

 

・エヌビディアの時価総額が、一時4兆ドル(約590兆円)を突破。時価総額が4兆ドルの大台に乗った企業は世界で初。9日のアメリカ株式市場でエヌビディアの株価は一時、前日終値比3%高の164ドル台をつけた。

 

・KOKUSAI ELECTRICは、筆頭株主のアメリカ投資ファンドKKRが保有株式の一部を売却すると発表。議決権ベースのKKRの保有比率は23.48%から10.60%に下がる。KKRに代わって14.84%を持つアメリカの投資ファンドのアプライドマテリアルズが筆頭株主となる見通し。

 

・ディスコは、2025年4~6月期の連結決算を発表、純利益が前年同期比0.2%増の237億円。30%減の従来計画から一転して増益を確保。さらに、この期間としては最高益に。為替相場が想定より円安に振れ利益を押し上げた。

 

・四国化成工業は、香川県坂出市に半導体材料の新工場を建設すると発表。投資額は150億〜200億円。生成AI(人工知能)や高速通信規格「5G」の普及で高機能な半導体の需要が高まっており、工場新設で半導体材料の供給を拡大する。

 

 

7月8

・沖電線は、曲げることができるフレキシブル基板をロケットや人工衛星など航空宇宙市場向けに発売。最長で100メートルの基板を提供可能。電気信号のやり取りを担う基板が曲がれば機器内部の設計がしやすくなるため、機器の小型化と軽量化につながる。価格は非開示で、2026年度に5000万円の売り上げを目指す。

 

・ニデックは、家電用のコンプレッサーを手掛ける中国のシェコムを買収したと発表。売上高は約25億円で、買収額は非公表とし、社名をニデック・スクロール・テクノロジーに変更。

 

・レゾナックホールディングスと東北大学は、シリコンウエハーをつくる際に出る廃棄物などを、自動車に使うパワー半導体の材料製造に応用すると発表。実用化すれば、SiC粉末100トンをつくる際に110トン相当のCO2削減効果があると見積もっている。

 

・日本触媒は中国でリチウムイオン電池材料の電解質を増産する。工場内に新プラントを建設し、中国での生産量を2030年度に現在の8倍超の年1万トン以上にする予定。

 

 

7月7

・北海道は道内外の高校生向けに半導体産業について情報発信するポータルサイト「HOKKAIDO Tech Academia」を開設。

 

・日亜化学工業と徳島県の福村漁業協同組合は水産資源回復に向け、栄養塩類の供給設備を設置し、実証事業を始めた。地域漁業の発展につなげる。

 

・ファンド、ジャパン・アクティベーション・キャピタルは、オムロンとタダノへの投資を実行したと発表。両社とも経営陣との合意のもと企業価値向上を支援。オムロンへの投資金額は300億円弱で保有比率は約4%の見込み。

 

・村田製作所はスマートフォンなどに搭載する電子部品で、「6G」に対応した先端品「XBARフィルター」の量産を開始。2028年までに累計で160億円を投じ、スマホ4800万台分に相当する部品を供給できる体制にする予定。

 

・韓国サムスン電子が2025年4〜6月期の決算を発表。全社営業利益は前年同期比56%減の4兆6000億ウォン(約4900億円)。売上高は0.1%減の74兆ウォン。パソコンやスマートフォンの需要低迷で主力のメモリーの在庫が積み上がり、在庫評価損を計上したことが利益を押し下げた。

 

 

7月4

・OKIエンジニアリングは、群馬県高崎市に化学分析ラボを開設。近隣の半導体・電子部品工場からクリーンルームの空気や製造ラインで使う薬液の分析を受託し、2025年度に5000万円の売り上げを目指す。

 

・経済産業省は、ピダスに政府が出資する条件を明らかにした。拒否権を持つ黄金株の発行を求める。外資による買収など経済安全保障上のリスクに備える。改正情報処理促進法の告示に明記し、8月中旬の施行を予定。

 

 

7月3

・小糸製作所は、三菱ふそうトラック・バスと製造現場を効率化する実証実験を始めたと発表。小糸が「LiDAR」を提供し、工場作業者や車両の動線を分析。業務のムダを見つけ、最適な作業環境づくりを支援。

 

 

7月2

・SMKは、技術展示会を東京都内で開催。電気自動車(EV)向けのコネクターや人を検知するセンサーといった先端技術を通じ、新たな需要の開拓を目指す。

 

・アルプスアルパインは、音響システムの開発を手がけるアメリカの”DSP Concepts”社との協業関係を深めると発表。DSP コンセプツの技術を使って開発した自動車向け音響ソフトウエアを、メーカーなどに売り込む予定。

 

・ルネサスエレクトロニクスは、窒化ガリウム(GaN)製のパワー半導体の新製品を発売したと発表。人工知能(AI)データセンターや電力インフラなど大型施設の需要を見込む。新製品を発表するのはアメリカのトランスフォーム買収後初めて。

 

・ルネサスエレクトロニクスは、エッジAI(人工知能)向けのマイコンを発売したと発表し、同日量産を始めた。推論の処理性能を従来品から30倍超に高めた。ドライバー監視などの運転支援システムや車載カメラ、センサーなど高速処理が必要な用途での採用を見込む。

 

・アメリカ政府が5月に導入した半導体の設計ソフトの対中輸出規制を撤回することが2日に明らかに。シノプシスやケイデンス・デザイン・システムズなどがアメリカの商務省から規制解除の通知を受け取った。関税交渉を巡る米中政府間の緊張が緩和し始めた。

 

 

7月1

・マブチモーターは、OKIの小型モータ事業の取得が完了し、”マブチモーターマイクロテック”という新会社を立ち上げたと発表。主に産業用ロボットやファクトリーオートメーション(FA)などの産業機器向けで、モーターの製品群拡大をねらう。事業の取得額は非公表。

 

・レゾナック・ホールディングスは、フッ素化合物を手がけるイギリスの子会社F2 Chemicalsを投資ファンドのRcapital社に売却すると発表。売却額は非公表。

 

・ニコンは、建築向け計測サービス事業が独立してクロスセクターが営業を始めたと発表。鉄骨の組み立て工程に使うセンサーを手掛け、熟練技能者の作業を代替する。人手不足や工期短縮の需要を取り込む。

 

・TDKは、電気を制御する電子部品インダクターにおいて、車載向けの新製品を開発したと発表。従来品と比べて電力抵抗が低く、より多くの電流を流せるようにした。車載カメラや車の通信システムなどにおすすめ。

 

・広島大学の斎藤健一教授らは、シリコン製の微細結晶を合成し、高性能の量子ドットLEDを開発することに成功。光の強度が70%に落ちるまで220時間かかり、従来のシリコン量子ドットLEDと比べて約8.5倍長の寿命に。波長の長い赤色の光を出すことができ、植物の育成や医療機器向けの高輝度材料としての応用に期待。

 

 

 

 

 

 

 

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