【2025年6月後半】半導体・電子部品業界NEWSピックアップ
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2025年6月後半の半導体業界は、EV普及を支える電池供給体制の拡充や資源リサイクルの動きが進みました。また、AIやデータセンターの省エネ化を見据えた次世代半導体技術の開発も活発化し、電力効率の向上が期待されます。
本記事では、業界の最新動向や注目すべきニュースをピックアップしております。最新トレンドを確認できるため、今後のビジネスにぜひお役立てください。
それでは、2025年6月下旬の半導体・電子部品業界ニュースをご紹介します。
【6月後半】半導体業界NEWS
6月30日
・電子情報技術産業協会(JEITA)は、4月の電子部品出荷額が前年同月比で微増の3737億円と発表。品目別では、コンデンサーが5%増の1388億円、コネクターは6%増の525億円との事。
・ホンダは、次世代の燃料電池システムの国内生産の稼働を延期すると発表。栃木県の新工場で2027年から造る計画だったが、稼働時期は当面未定とした。
・スタートアップのパワーエックスは、本社を東京都から工場がある岡山県に移したと発表。パワーベースとよぶ国内最大級の蓄電池組み立て工場に本社を移した。
・シャープは、親会社である台湾のホンハイ精密工業にスマートフォン向けカメラモジュール事業を9月めどに売却すると発表。譲渡額は株式が5億円、固定資産が19億円の合計24億円。
・車載電池大手の中国CATLなどは、インドネシアで電池工場やニッケル製錬所などの建設を始めたと発表。投資額は合計で59億ドル(約8500億円)を見込む。ニッケルの最大生産国のインドネシアで材料から電池までの一貫生産体制を築く狙い。
・OKIは半導体設計大手イギリスのアームと組み、企業が省電力の半導体を導入しやすくするための支援事業を7月に始める。
・キオクシアは、生成AI(人工知能)の検索拡張生成に”KIOXIA AiSAQ”と呼ぶデータベース検索用ソフトウエアを独自開発した。
6月29日
・車載電池大手の中国CATLなどは、インドネシアで電池工場やニッケル製錬所などの建設を始めたと発表。投資額は合計で59億ドル(約8500億円)を見込む。ニッケルの最大生産国のインドネシアで材料から電池までの一貫生産体制を築く狙い。
CATLはインドネシアで子会社を通じ、電気自動車(EV)電池関連の6プロジェクトに投資。それぞれの投資はインドネシアの国営企業と共同で行う。
・矢崎総業は、最大約200億円を投じて電動車向けの部品工場を静岡県に新設する予定。電気自動車(EV)やプラグインハイブリッド車(PHV)などに搭載する車載バッテリー周辺の部品を主に生産予定。
6月27日
・シャープは、定時株主総会を開いた。取締役7人の選任など議案は全て可決。株価は6月中旬に10年来安値(657円)をつけるなど低迷。
・ミネベアミツミは、定時株主総会を開いた。芝浦電子に対する株式公開買い付け(TOB)で台湾の電子部品大手、ヤゲオと競っている。
・熊本大学は、半導体研究・教育を担う新しい施設を熊本市のキャンパス内に完成した。TSMCが熊本県内で2024年末に量産を始め、関連産業の九州進出も相次ぐ。地元大学として、半導体産業の人材育成や技術開発を支える中核拠点と位置づける。
・ニデックは、2025年3月期の有価証券報告書の提出期限延長が当局に認められたと発表。当初の期限は6月30日だったが、新たな期限である9月26日までの提出完了を目指す。
・TDKは、積層セラミックコンデンサー(MLCC)の製造工程で使うフィルムを再利用してつくった作業服を導入したと発表。夏用の上着を製作し、6月から国内の工場で順次着用を始める。使用済みフィルムの資源効率を上げ、従業員の環境意識を高める。
6月26日
・ホンダは、関西のソフトウエア人材を現状比5倍の500人に増やすと発表。2030年までを目標に半導体や自動運転の開発力を高める。
・パイオニアは、台湾液晶大手イノラックス子会社の自動車部品会社の傘下に入ると発表。ヨーロッパ系の投資ファンドEQTが、保有するパイオニアの全株を1636億円で売却。
・ジャパンディスプレイは、親会社のいちごトラストを割当先とする新株予約権を発行。956億円を調達すると発表。当面の運転資金を確保する。JDIは5月に主力の茂原工場と知財をいちごに譲渡すると発表しており、液晶や有機EL関連の特許権の一部をいちごに売却。独自開発した有機EL技術「イーリープ」や、ジェイオーレッドから取得した技術などが含まれる。売却額は非開示。
・ルネサスエレクトロニクスは、2030年までに売上高を約2倍にするとしていた長期目標の達成時期を5年延期すると発表し、成長戦略を見直す。炭化ケイ素(SiC)パワー半導体への参入を断念し、電気自動車(EV)市場の拡大を狙った成長戦略が挫折する形となった。
・STマイクロエレクトロニクスは、カメラ映像を使わずに距離データだけで人の頭の向きや姿勢を分析する人工知能(AI)技術を発表。ノートパソコンなら消費電力を通常より1日20%以上減らせるとの事。カメラ映像を記録に残さないため、個人のプライバシーを守ることができるとの事。
・TDKは、積層セラミックコンデンサー(MLCC)で電気を蓄える性能を高めた製品を開発したと発表。同様の性能を出せる現行品と比べて基板での実装面積が半減し、機器の小型化につながる。人工知能(AI)サーバーや蓄電システム、産業機器向けなどに幅広く販売予定。
6月25日
・カナダの調査会社テックインサイツは、中国のファーウェイがノート型パソコンの新商品に搭載する半導体は「従来と同じ旧世代品を使っている」との調査結果を発表。米アップルなどに比べて数世代遅れ、技術の差が開いていると指摘。
・シキノハイテックは、ドイツの電子部品商社イネルテック社と、カメラ製品の販売拡大を進める契約を結んだと発表。ヨーロッパに販売拠点を持つイネルテック社の販売網を活用。
・村田機械は半導体の製造ラインで使う搬送装置について、海外で保守管理の技術サポート拠点を増やす予定。2026年までにドイツで新事務所を開き、インドでも拠点の新設を検討。村田機械は半導体工場向け搬送装置で世界シェア4割。
・経済産業省は今秋にも半導体工場向けにサイバー攻撃対策の指針をまとめる。セキュリティーを担う組織・責任者の明確化や、事業継続計画の策定を盛り込む予定。対策の強化を急ぐ。また、半導体工場向けの補助金で指針の順守を要件にすることも検討。
6月24日
・風力発電に関する国内供給網の構築に向け、経済産業省とTDKは、ドイツのシーメンス系子会社の風力大手企業と協力覚書を交わした。政府は再生可能エネルギーの導入拡大をめざしており、風力発電で使う風車の国内製造などにつなげる。
・アメリカのマサチューセッツ工科大学発のライトマターは、人工知能(AI)の普及で増える消費電力を大幅に抑える技術を開発。AIを作動させる計算を担う画像処理半導体(GPU)を、従来の電気信号の代わりに光の信号を使う素子で置き換えた。
・JR九州は、熊本県に物流施設を開発すると発表。2027年春の完成を予定TSMCの工場から約7キロに位置し、半導体関連産業などの物流需要を見込む。
・村田製作所は、橋や建物などに設置する監視用の機器に搭載し、ひび割れなどによるひずみを早期発見して重大な事故の防止に役立てる小型センサーを開発したと発表。10月からフィンランドの拠点で量産し、橋や建物などの劣化度を監視する機器での活用を見込む。
・宇宙スタートアップのアイスペースは、月面着陸船”レジリエンス”の着陸失敗について、月面までの距離を測定する装置「レーザーレンジファインダー」の異常が要因だったと発表。2027年に予定している次回打ち上げに向け、第三者の専門家を含む新たな組織「改善タスクフォース」を立ち上げ、センサーを改良する予定。
6月23日
・日亜化学工業は、紫外線が照らす面の明るさを測定する際に基準となる「標準光源」で、紫外線LEDを用いた製品を開発。紫外線LEDは食品の殺菌などで用途が広がっており、標準光源は従来水銀ランプが使われてきた。紫外線LEDに置き換えることで正確な測定につなげる。
・ルネサスエレクトロニクスは、協業する米国の半導体メーカー、ウルフスピードの経営悪化に伴い、約2500億円の減損損失を2025年1〜6月期に計上する見込みだと発表。
・韓国MiCoグループ傘下のKoMiCoの日本法人、タミコ熊本は、2026年12月を目途に熊本県内で半導体や液晶に関する精密洗浄などを行う工場を稼働予定。TSMCの国内第2工場の建設が25年後半に始まる見通しで、需要が一段と拡大すると判断。溶射コーティングの設備も導入する予定。
・ロームは、省エネ性能の高い炭化ケイ素(SiC)を使ったパワー半導体モジュールがトヨタ自動車の中国向け電気自動車(EV)”bZ5”に採用されたと発表。EVの基幹部品の一つで電力変換に使うインバーターの部材として供給。
・TDホールディングスは介護センサーでマレーシアに進出する。2026年にも現地企業に介護センサーをOEM供給する。25年5月期の売上高は約25億円。介護センサーは、ベッドに取り付けることで介護を受ける人の睡眠の状態や心拍、呼吸数などをモニタリングする機能を持つ。介護施設や個人向けに販売・レンタルし、累計導入数は約4500台に。
・マクセルは、全固体電池の容量が減り劣化するまでのメカニズムを明らかにしたと発表。劣化の要因を特定することで電池の長寿命化の研究に役立つ。充電状態が正極と負極の間で変わることが容量が減る要因となると解明。自動車メーカーなどが手がけるEV向け全固体電池の開発にも貢献できる可能性があるという。
・中国ドローンメーカーのイーハンは、「空飛ぶクルマ」と呼ばれる電動垂直離着陸機(eVTOL)の電池を国軒高科から調達すると発表。eVTOLの航続距離が伸びたり動力が向上したりすることが見込まれる。
6月20日
・村田製作所は、自動車向けの通信機器で電波などのノイズを除去する”フェライトビーズ”を開発したと発表。一般的な携帯電話の電波よりも高い周波数である5.9ギガヘルツ帯に対応する。7月に量産を始めて自動運転関連を中心に需要を取り込む予定。
・TDKは、電源装置を手掛けるアメリカのQEIコーポレーションから電源事業を買収したと発表。
・ロイター通信は、アメリカのエヌビディアが人工知能(AI)サーバーの生産にヒト型ロボットの導入を検討していると報じた。生産を委託するホンハイ精密工業と協議しているとの事。エヌビディアが自社製品の生産にヒト型ロボットを活用するのは初。
6月19日
・ソニーセミコンダクタソリューションズは、2027年3月期までに世界の主要自動車メーカーの9割で同社製の車載CMOSセンサーが採用される見通しだと、報道機関向けの事業説明会で指田慎二社長CEO(最高経営責任者)が明らかにした。市場シェア(金額ベース)を43%まで高める想定。
・レゾナックホールディングスは、宇宙向けに開発している半導体材料の評価実験を国際宇宙ステーション(ISS)で行うと発表。半導体チップ保護などに使われる封止材料をISSで評価実験する。
・ヤマハ発動機は、半導体を組み立てる「後工程」向けの製造装置事業の売上高を2030年代早期に1000億円に引き上げる目標を発表。7月に統合する子会社を軸に人工知能(AI)の処理などに使う先端半導体に向けた投資を増やし、海外拠点を拡大して開発・販売体制を強化する予定。
・TDKは、AR用端末のスマートグラスに搭載するチップやソフトウエアを独自開発しているアメリカのソフトアイを買収したと発表。メガネ型端末の視線追跡技術を活用し、人工知能(AI)と組み合わせた新サービス開発を目指す。
・ニデックは、人工知能(AI)サーバー向けに開発した大型水冷装置について、データセンターで試験運用を始めると発表。従来製品の約10倍の冷却能力があり電力効率を高められることを検証する予定。
・アメリカのインテルなどが参画し半導体製造工程の自動化技術を開発する企業連合は、シャープ亀山工場で実証ラインの構築を始めたと発表。
・ジーエス・ユアサコーポレーションが滋賀県で建設予定の電気自動車(EV)向けリチウムイオン電池工場の着工を延期することがわかった。(日本経済新聞)建設地の埋蔵文化財の調査に時間がかかっているほか、EV市況の低迷も考慮し、最大3年遅らせる。
・豊田通商は、韓国LGグループ系と車載電池のリサイクル事業を手掛ける合弁会社を設立したと発表。廃棄する電池からレアメタルを多く含む材料を抽出する事業で、抽出した材料は新品の電池に使い、循環型のサプライチェーンをめざす。
6月18日
・中部経済連合会は、2030年まで5年間の活動指針を公表。半導体産業の振興のため産学連携の新組織を立ち上げ、人材の育成や海外との連携を進める予定。中部地域の国立9大学と7月下旬から活動を始める。
・豊田通商は、韓国SKグループのSKネックシリスの子会社に出資すると発表。出資額は約1億1000万ドル(約160億円)。出資比率は非公表で、持ち分法適用会社となる20%までは取得しないとみられる。
・日本電気硝子は、イギリスの子会社”Electric Glass Fiber UK”を清算すると発表。原燃料価格の高騰で利益を圧迫し、立て直しが難しいと判断。
・コーセルが2025年5月期の連結決算を発表。最終損益が1億1300万円の赤字(前期は51億円の黒字)。新しい基幹システムの導入の、移行が進まず開発の見直しによって3億9400万円の特別損失を計上したことなどが影響。売上高は前期比35%減の270億円。26年5月期の業績予想は、最終損益が19億700万円の黒字を見込む。
・台湾のタイワン・セミコンダクター(TSC)は、車載や人工知能(AI)向けサーバーなどに使うパワー半導体を日本市場に投入すると発表。”MOSFET”を日本市場で本格展開する予定。
・アメリカのライトマターは、人工知能(AI)の普及で増える消費電力を大幅に抑える技術を開発。GPUを、従来の電気信号の代わりに光の信号を使う素子で置き換えた。4月に画像の解析やゲームの操作に成功したと発表。2030年代中盤には光信号でAIを作動させる技術が普及する見通し。
・アメリカの半導体大手テキサス・インスツルメンツ(TI)は、アメリカ国内で600億ドル(約8兆7000億円)以上を投資すると発表。(投資先には発表済みの案件も含む)
6月17日
・浜松ホトニクスは、本社工場に光半導体製造を担う新棟が完成したと発表。総工費は約370億円。12月に稼働を始める予定。光半導体製品の前工程の生産能力を現状から約2倍にし、医療分野や産業分野などで拡大する需要を取り込む。
・ヒロセ電機は、産業機器に使うコネクターシリーズに防水・防じんタイプを追加したと発表。屋外用監視カメラなどの産業機器向けに開発。従来製品からサイズを45%小型化した。
・エンビプロ・ホールディングスは、東京都の2025年度のリチウムイオン電池等広域的資源化モデル事業の協働事業者に採択されたと発表。都内の自治体で回収が難しい電池を都が集約し、同社子会社VOLTAに売却し再資源化を促す。期間は2026年3月31日まで。
・北陸電力と丸紅新電力は、加賀東芝エレクトロニクスに太陽光由来の電力供給を始めたと発表。北陸電力が丸紅新電力から電力を受電し、加賀東芝エレクトロニクスに供給。年間で1万3000トンの二酸化炭素削減を見込む。加賀東芝エレクトロニクスは再エネ事業者と長期契約を結び電力供給を受ける「オフサイトコーポレートPPA」の仕組みを活用し、20年間再エネの供給を受ける。
・韓国のLGディスプレーは、有機ELパネルの新技術の開発に1兆2600億ウォン(約1300億円)を投資すると発表。テレビやスマートフォンなどでは液晶から輝度の高い有機ELの需要の成長が世界的に続くとみて技術力を高める。
・上海汽車集団やBYDなどの中国大手自動車メーカーが、国産半導体を100%搭載したモデルの開発を進めていることがわかった。(日本経済新聞)少なくとも2社が2026年にも量産を始める見込み。米中対立が激化するなか、中国政府は国産化の後押しを一段と強めている。
・大日本印刷(DNP)は政府向け個人生体認証を手掛けるルビコンを買収。7月中を目途にルビコンの発行済み株式数の75%を取得し、子会社にする予定。
・台湾のヤゲオは、5月に始めた芝浦電子へのTOB(株式公開買い付け)を、これまで6月19日までとしていた期間を7月1日まで延長すると発表。
6月16日
・ノベルクリスタルテクノロジーは次世代素材の半導体で、電力効率を従来比3.2倍に高めた素子を開発したと発表。耐圧性能では現状普及している炭化ケイ素(SiC)品と同程度に達した。2030年代の実用化を目指す。酸化ガリウム (Ga2O3)を用いるパワー半導体で、単位面積当たりの電力性能が他の研究機関が発表した過去最高値を上回った。
酸化ガリウムは既存のシリコンやSiCより高い電圧や大電流に耐えられる特性があるが、現状はSiCの製造コストに比べて高い。今後は素子の電力性能をさらに高めるほか、基板の大型化にも取り組み製品化を目指す。開発には国の補助金を活用するほか、三菱電機の出資などがある。
・熊本県立大学は、半導体人材の育成を強化すると発表。2027年春をめどに新学部の設置を検討。TSMCが進出を決めて以降、熊本では半導体人材の不足が指摘されてきた。25年秋までに詳細な方向性を打ち出す見通し。
・東北電子工業と宮城県、登米市の3者は、当方区電子工業の新工場建設に関する立地協定を結んだ。県や市は各種の許認可手続きが円滑に進むよう協力し、同社は地元からの新規雇用を目指す。
・東京エレクトロンは、ベルギーの半導体研究開発機関アイメックとの提携を延長すると発表。今後5年の提携期間で、微細化や積層化が進む最先端半導体の開発で連携を強化。
2ナノメートル世代以降の半導体製造技術の開発を目指す。3次元実装などの研究でも連携予定。
・村田製作所は、腕時計などに使うボタン電池事業をマクセルに売却すると発表。事業売上高は約100億円で譲渡額は80億円。2025年度内の売却完了を目指す。
・ちとせ研究所と味の素は人工知能(AI)システムを活用して微生物のたんぱく質生産量を約2倍にすることに成功。糸状菌が生産するたんぱく質は医薬品や食品開発に役立つ可能性があるとの事。