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【2025年6月前半】半導体・電子部品業界NEWSピックアップ

  • 業界NEWS
公開日:2025.06.16

2025年6月前半の半導体業界は、生成AIや自動運転、EV(電気自動車)、脱炭素といった注目分野で新たな展開を見せました。TSMCと東京大学の共同研究開始、ソニーの半導体レーザー増産、マイクロンやAMDによるAI半導体強化など、国内外の大手企業による最新技術や戦略が相次いで発表されています。

また、各社が成長市場への対応を強めており、今後の業界構造にも影響を与える動きが続いています。

 

本記事では、業界の最新動向や注目すべきニュースをピックアップしております。最新トレンドを確認できるため、今後のビジネスにぜひお役立てください。

 

それでは、2025年6月上旬の半導体・電子部品業界ニュースをご紹介します。

 

 

 

【6月前半】半導体業界NEWS

 

6月13

・三井ハイテックは、2025年2〜4月期の連結決算を発表。純利益が前年同期比80%減の9億6800万円。売上高は8%増の546億円。

 

・九州電力は、電気運搬船の開発を目指す海上パワーグリッドと資本業務提携したと発表。蓄電池を積んだ電気運搬船で太陽光発電の余剰電力を離島に送電できるほか、海底ケーブルの設置が難しい場所にも洋上風力を設置できるなどの効果を想定。

 

・東京大学の伊藤佑介講師らとAGCの研究グループは、微細加工が難しいガラス材料に従来の100万倍の高速で加工する技術を開発。今回の技術で半導体のガラス基板の高速・精密加工が可能に。

 

・安川電機は、アメリカウィスコン州で産業用ロボットやモーターをつくる新工場を設けると発表。ほかの施設を含めて1億8000万ドル(約260億円)を投じ、半導体や食品、医療など米国で幅広く高まる自動化需要に応える。

 

 

6月12

・TSMCと東京大学は、先端半導体の共同研究室を東大構内に設置したと発表。1ナノメートル世代以降の先端半導体などを研究する。TSMCが台湾外の大学に共同研究室を設置するのは初めて。TSMCによる投資額は5年間で1500万ドル(約22億円)に。

 

・村田製作所は、自動車部品などに使う高容量の積層セラミックコンデンサー(MLCC)を開発したと発表。大きさは縦1.25ミリメートル、横2ミリメートルで、従来品の約2倍の10マイクロファラッドの静電容量に。コンデンサーの数を減らして電装部品の小型軽量化に貢献できるとのこと。

 

・中国のシャオペンは、自社で開発した人工知能(AI)半導体を搭載した電気自動車(EV)を初めて発売すると発表。半導体の演算処理能力を高めて運転支援技術を向上させる。

 

・豊橋技術科学大学は、新しい半導体研究施設を開所。クリーンルームと企業が入居できる研究室の2棟を新設。人材の育成・交流拠点としての機能も担い、半導体関連企業の多い中部地域の共創と技術革新のハブになることを目指す。オープンラボ棟には12の個室を設け、企業が入居できる。企業がサテライトオフィスとして活用し、学生や技術者との交流を促して新しいアイデアや人脈の形成につなげるとの事。

 

・ソニーグループはHDDの基幹部品である半導体レーザーの生産を倍増する。HDDで首位のメーカーに続き、新たに世界2位アメリカのウエスタンデジタルの採用が決まった。生成AI(人工知能)の普及でデータセンター向けに広がる市場をほぼ独占する見込み。

 

・キャノンは、自動車への搭載を目指す高性能画像センサーを発表。光をきめ細かく測定することで、暗い夜道でも遠方の歩行者認識が可能。

 

・マイクロン・テクノロジーは、アメリカ国内に300億ドル(約4兆3000億円)を追加投資すると表明。人工知能(AI)向けの先端メモリーなどに投資するよていで、アメリカ製造業の回帰を掲げるトランプ米大統領に歩調を合わせる。

 

・テスラが小型蓄電池をまとめて管理する仮想発電所(VPP)事業を日本全国で始める。企業に無料で蓄電池を提供し、各所の蓄電池を一括管理するとの事。再生可能エネルギーの発電量が多いときに充電し、電力需要が高いときに放電する。大量の蓄電池を束ねて必要なときに電気を供給できる「仮想電力会社」の実現に向ける。

 

・アドバンスト・マイクロ・デバイス(AMD)は、人工知能(AI)半導体の新製品を発表。競合の米エヌビディアに比べて低コストながら同等の性能を発揮できるとしている。AMDは安価な代替品で独走エヌビディアに対抗する。

 

 

6月11

・TSMCは、熊本県で建設を計画している第2工場について「2025年後半に着工する」との見通しを示した。当初、25年1〜3月期の着工を予定していたが、交通渋滞への影響を考慮し25年内に遅らせる方針を示していた。TSMCの日本向け売上高は24年に40億ドル(約5800億円)以上になりTSMCの売上高全体の4%程度を占めるとの事。ウエハー出荷枚数(12インチ換算)は149万枚超で、製造能力全体の約1割程度。

 

・エヌビディアは、ヨーロッパでの人工知能(AI)半導体の供給を拡大すると表明。フランスのミストラルAIと提携し、データセンター向けに半導体を供給予定。

 

・トヨタ自動車は2025年度内に国内で発売する新型多目的スポーツ車(SUV)「RAV4」に、独自のソフトウエア基盤「Arene(アリーン)」を搭載する予定。

 

 

6月10

・あいおいニッセイ同和損害保険の米子会社モーターは、自動車部品大手の矢崎総業の米子会社に第三者割当増資で株式を発行して資本を提携する。

 

・FDKは、二酸化マンガンとリチウムを使った使い切り電池の新製品を開発したと発表。従来品から容量を17%増やし、寿命を延ばした。10月から発売予定で、価格は非公表。

 

・ソニーセミコンダクタソリューションズは、赤外線光などを使って物体との距離を測る「LiDAR(ライダー)」向けセンサーについて、検知性能を従来製品の2.7倍に高めた新製品を開発したと発表。2025年秋に量産予定。

 

・三井金属パーライトは、製造した製品で検査不正があった問題を巡り、三井金属の納武士社長ら5人が役員報酬を自主返納すると発表。うち4人は今年4月から2カ月間、役員報酬の最大2割を返納するとの事。

 

・経済産業省はシールやしおり型のICタグの導入で、中小書店の省力化を後押し。RFID(無線自動識別)の技術を使い、本を単品管理して在庫管理の効率化や万引きの抑止につなげる。

 

・エアウォーターは、2028年3月期を最終年度とする中期経営計画を発表。25年3月期に752億円だった連結営業利益を1000億円にする目標を掲げた。利益率は8.5%とする。

 

・ルネサスエレクトロニクスは、ワイヤレスイヤホンの充電ケースなどの小型デバイスやワイヤレスヘッドホン向けに新型マイコンを開発したと発表。これまで別々だった機能を1つのチップに集約したことで、半導体の実装面積が小さくなり電子機器の小型化につながる。

 

・ホンダは最先端半導体の国産化を目指すラピダスに出資する。自動運転車など次世代車の頭脳となる半導体の調達を検討。

 

・TSMCは2025年5月の売上高(速報値)を発表。同月として最高の3205億台湾ドル(約1兆5000億円)に。前年同月比では39.6%増。為替の台湾ドル高・米ドル安が逆風だったが、生成AI(人工知能)を動かすサーバー向けなどに先端半導体の販売好調が続いている。

 

 

6月9

・村田機械は2025年3月期の連結決算を発表。売上高は、前の期比6%増の5260億円。2期連続で過去最高を更新。1935年の創業以来初めて5000億円を突破した。営業利益は18%増の931億円。工場内で使う自動搬送装置の販売が伸びた。

 

・ニデックは、インドで産業用モーターなどを生産する新工場「オーチャード・ハブ」が竣工したと発表。ニデックとして最大規模の製造拠点にり、10月からの稼働を予定し、順次生産棟を追加する。

 

・クアルコムは、アルファウェーブを買収することで合意したと発表。買収額は約24億ドル(約3470億円)。人工知能(AI)やデータセンター事業の拡大を目指す。

 

 

6月7

・パナソニックコネクトがノートパソコン「レッツノート」の新モデルを発売。スライド式の電源を廃止し、押し下げ式のボタンを新たに備えた。大企業のIT管理者にとって、スライド式は従業員への説明が複雑だったという。新モデルはIT管理者の負担軽減も重視。

 

 

6月6

・三菱ふそうトラック・バスと三菱自動車は、ヤマト運輸などと電池交換式の電気自動車(EV)の実用化に向けた実証実験を始めると発表。電池交換拠点でロボットが自動で作業をこなし、5分間での交換完了を目指す。

 

・ファーウェイは、ノート型パソコン「MateBook Fold」を発売。半導体には回路線幅が5ナノ(ナノは10億分の1)メートル世代の国産品が初搭載されたと言われている。直販サイトでは、5日夜までに15万人の予約が入ったとしている。

 

 

6月5

・ちとせ研究所と味の素は、人工知能(AI)システムを活用して微生物のたんぱく質生産量を約2倍にすることに成功した。2027年度の実用化を目指す。

 

・村田製作所は、電気自動車(EV)関連の機器などに搭載する電流変換用部品「NXJ1T」を開発したと発表。機器の内部で直流の電気を制御し、電圧を変える役割。大きさは1センチメートル四方ほどで、従来品よりも絶縁性を高めた。

 

・芝浦電子は、ヤゲオに対しして同意なきTOBの追加質問を送付したと発表。

 

・ジャパンディスプレイは、半導体の先端パッケージング工程に新素材を活用する技術を公開。台湾のパネルセミと共同開発した。2027〜28年ごろの実用化を目指す。

 

・東芝デジタルソリューションズは、任天堂が発売したNintendo Switch2のゲームソフト開発を支援するソフトウエアの提供を始めたと発表。スイッチ2の内蔵マイクで声を検出し、ゲーム内の動作に反映する。

 

・北洋銀行は、脱炭素などを金融面で支援するサステナブルファイナンスについて、2031年3月期までに累計2兆円を投融資するとの目標を発表。グリーントランスフォーメーション(GX)や半導体関連などの資金需要を獲得し、25年3月期時点の約7000億円から3倍弱に増やす。

 

・キオクシアホールディングは、2029年度までにメモリーの生産能力を記憶容量ベースで24年度の2倍に高めると発表。国内2工場のラインを増やし、転送速度を上げた次世代メモリー搭載製品も26年後半に生産開始する予定。

 

 

6月4

・村田製作所は、電子部品に使った銀をリサイクルする仕組みを構築したと発表。銀を含んだ電子部品の廃材を協力企業に送って銀を取り出し、再び部品製造に活用する予定。

 

・タムラ製作所は、埼玉県の事業所で電流センサーを生産すると発表。約1億4000万円を投じ設備をそろえる。これまで中国のみだった生産を、国内でも生産体制を整え、地政学的なリスクなどを分散する。2025年10月以降の量産予定。

 

・太陽誘電は、部品の製造工程で使うフィルムのリサイクルで、JEPLANと協業すると発表。2026年から取り組みを始める予定。ジェプランが手がける「ケミカルリサイクル」と呼ばれる手法を使うと、不純物の除去がより容易にできるとの事。

 

・中国のCATLは、日産自動車の中国合弁会社、東風日産乗用車に車載電池を供給すると発表。東風日産乗用車は2026年までに、複数車種に搭載する予定。

 

・アームは、車載半導体の開発期間を短縮する回路設計図(IP)群を提供すると発表。

 

 

6月3

・ソニーセミコンダクタソリューションズと、SCREENホールディングス、VitroVoは、細胞に薬剤を投与したときの反応を可視化する技術を開発。企業や研究機関向けに試験提供を始めたと発表。反応を確認する精度を高められ、創薬の動物実験を減らせるとしている。

 

・エッジコーティックスは人工知能(AI)向けに新たな半導体の組み立て技術を開発すると発表。チップレットとして、アメリカのエヌビディアのAI半導体と比べ電力効率が5倍超に高まるとの事。経済産業省は、最大30億円支援する。

 

・TDKは、”3端子貫通型フィルター”の新製品を発表。電子回路上の電気ノイズや電圧変動を抑制する役割で、材料や設計を見直し高い電圧に耐えるなど性能を向上。自動車で通信の高速化や高性能化が進み、ノイズが増えて回路動作に与える影響が大きくなっていることに対応。

 

・富士通は、2028年3月でATMと銀行の窓口で使う営業端末の提供を終了すると発表。キャッシュレス化が進み、需要が減少。今後、銀行向けサービスではインターネット銀行向けのクラウド提供などデジタルトランスフォーメーション(DX)を支援する事業にシフトする予定。

 

・デンソーやTDK、アナログデマイセズ、村田製作所、クアルコム・テクノロジー、オムニビジョン、現代モービスなど22社は、運転支援システム向けの映像伝送技術を共有する企業連合を設立したと発表。参画企業はADIが持つ設計技術の供与を受けることで、自前で車載部品を設計・製造できるようになる。自動運転車など次世代車をにらみ、技術を多くの企業に共有することで標準化を狙う。

 

・泉州電業は、2024年11月~25年4月期の連結決算を発表。純利益は34億円(前年同期比7%減)、売上高は689億円(4%増)。データセンター向けの電線販売は伸びたが、人件費がかさみ販管費が増えた。

 

・トヨタ自動車は、アメリカでピックアップトラック「タンドラ」約44万台をリコールする。米運輸省高速道路交通安全局(NHTSA)が公表した報告書で明らかに。車を後退させる際に点灯する「リバースライト」に湿気が入って故障し、視界が低下して衝突リスクが高まる可能性がある。

 

 

6月2

・ヤゲオは、芝浦電子に実施中のTOB(株式公開買い付け)を巡り、いったん取り下げていた外為法上の届け出を再提出したと発表。

 

・荘原は、神奈川県の藤沢事業所敷地内に半導体製造装置の新たな開発棟を竣工したと発表。直近で熊本県内に生産棟を増設しており、2拠点連携で生成AI(人工知能)向け半導体など、新たな顧客需要に応える装置の開発・生産を進める。

 

・東京エレクトロンは、製造子会社である東京エレクトロン宮城の生産新棟の起工式を開いた。自動化を進めた次世代の製造ラインにする計画で、「宮城生産革新センター」と名付けた。

 

・ジャパンディスプレイは、発光ダイオード(LED)ディスプレーを手掛ける台湾のスタートアップ、パネルセミへの出資を見送った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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