【2025年5月後半】半導体・電子部品業界NEWSピックアップ
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2025年5月後半の半導体業界では、地政学リスクや米中摩擦の影響を受け、日系・外資を問わず国内外でのサプライチェーン分散投資が活発化しています。一方で、AIおよびEV関連分野は依然として成長ドライバーとなっており、これに伴い素材・部材・パワー半導体など川下領域での旺盛な需要が継続しています。
また、中国では独自技術の開発が急速に進展しており、スマホ用先端半導体や自社製OSの採用などを通じ、長期的な競争環境の変化が進みつつあります。
本記事では、業界の最新動向や注目すべきニュースをピックアップしております。最新トレンドを確認できるため、今後のビジネスにぜひお役立てください。
それでは、2025年5月下旬の半導体・電子部品業界ニュースをご紹介します。
【5月後半】半導体業界NEWS
5月30日
・電子情報技術産業協会(JEITA)は、2024年度の日本企業の電子部品出荷額が4兆5323億円だったと発表。前年度比では3%増え、統計を開始した14年度以降で最高を更新。日本と中国を除くアジア向けが大きく伸び、為替が円安で推移したことで輸出が多い電子部品メーカーに追い風となった。
・パワーエックスは、千葉県の高速道路に電気自動車(EV)の急速充電設備を開設したと発表。高速道路上にある充電設備では初めて、充電量に応じて料金を決めるシステムを採用。上りと下りに計2基(合計4口)を設け、予約せずに30分間利用できる。
・トレックスセミコンダクターは、スマートウオッチやスマートフォン向けに小型の電圧調整用半導体を開発し、30日から販売を始めた。動作時に必要な電力を従来製品の20分の1に抑え、実装面積も従来の2分の1以下に小さくした。
・加賀電子は、協栄産業にTOBを実施し、完全子会社化を目指すと発表。
・ソフトバンクとインテルが人工知能(AI)に使う新型の大容量メモリーを開発する予定だ。東京大学なども参加し、2020年代の実用化を目指す。
・新潟県は、半導体関連企業やデータセンターの立地支援など110項目の国への要望を盛り込んだ2025年度の「新潟県の課題」をまとめた。26年度の国の予算編成に向けて、花角英世知事は各府省庁への要望活動を始めた。
5月29日
・東海理化は、2030年度に連結売上高を7000億円とする中期経営計画を発表。自動車のインパネの外観に溶け込んだ内蔵スイッチなど次世代製品の受注を増やすほか、「デジタルキー」といった新規事業も拡大する。営業利益率を7%、自己資本利益率(ROE)は10%まで高める想定。
・アルプスアルパインは、2027年度を最終年とする中期経営計画を発表。3年間での成長投資額は2450億円とし、4月に公表した金額から100億円上積み。電子部品やセンサーなどの販売を伸ばす投資に振り向ける。26年度までにPBR1倍以上、27年度までにROE10%以上を目指す」と話した。
・Nobestは、太陽光発電施設向けに稼働状況や故障を遠隔で監視できるシステムの販売を始める。人手不足や設備の老朽化で点検業務の負担が増えていることに対応する。
・ルネサスエレクトロニクスが新素材を使った電気自動車(EV)用次世代パワー半導体の生産を断念。2025年初めにも高崎工場で生産を始める予定だったが、EV販売の成長鈍化で市況が悪化したことや、中国の半導体メーカーが中国政府の補助を受けて生産量を増やしており、採算をとることが困難と判断。
5月28日
・パナソニックエナジーは、主力製品のアルカリ乾電池「エボルタNEO」を刷新すると発表。単1〜単4形で主要材料の亜鉛の全量で再生亜鉛を採用。本体重量の15%が再生材由来となり「環境負荷低減につながる」と説明。デザインを一新し、5月から順次出荷予定。
・関西電力は、蓄電所の開発や運営を一括支援するサービスを始めると発表。再生可能エネルギーの需給調整でニーズが高まる蓄電所事業に参画する企業などを対象にする。
・アメリカのエヌビディアは2025年2〜4月期決算を発表。売上高が前年同期比69%増の440億6200万ドル(約6兆3900億円)、純利益は26%増の187億7500万ドル。米政府の対中輸出規制に関連する在庫引当金などの費用を計上し、8四半期ぶりに過去最高益を更新できなかった。
5月27日
・エア・ウォーターは、熊本県に建設した半導体関連のガスや化学品を扱う物流拠点を開所。隣接する菊陽町には台湾積体電路製造(TSMC)熊本第1工場があり、周辺で関連企業の立地が進んでいる。
・日本通運と大陽日酸は6月から川崎市~宮城県多賀城市間で特殊ガス製品の鉄道輸送を開始すると発表。トラックから鉄道への切り替えで輸送力を強化するとともに、トラックドライバーの負担軽減やCO2排出量の削減を実現する。
・ヒロセ電機は、産業機器向けの通信コネクターの新製品を量産すると発表。ケーブルはペンチなど市販の工具で取り付けられるようにして、ケーブルの長さを調整する作業などがしやすくした。また、新製品は従来の同用途の製品に比べ、体積を約75%減らした。
・豊橋技術科学大学と豊橋市は、大学で新しい半導体研究施設が6月に開所するのに先立ち、企業による新施設の利用や半導体分野での協業の促進などを目指して連携すると発表。市内の半導体関連産業の振興や、実践的な教育を通じたより高度な人材育成につなげる予定。
・エイブリックは、電動工具向けにリチウムイオン電池などの電圧を監視する半導体を発売したと発表。電池の残量をLEDのランプで表示するのに使う。従来は対応できるランプが3つだったが、ラインアップを増やし最大5つまで対応できるようになった。
・JX金属は、茨城県ひたちなか市に約9万4000平方メートルの工場用地を取得すると発表。JX金属は隣接する約22万4000平方メートルの用地に総額約1500億円を投じて半導体材料の工場を建設中だ。人工知能(AI)向けに半導体の需要拡大が見込まれるなか、工場の拡張スペースを確保。
・中国のロボロックは、本体の高さが7.98センチメートルのロボット掃除機を国内で発売すると発表。従来機種に比べ高さを約2割低くしたことで、従来掃除が難しかった低い空間にも入れ、掃除が可能に。掃除できる範囲を広げ、共働き世帯など忙しいファミリー層の需要を取り込む。
・S&Pグローバル・レーティングとフィッチ・レーティングスは、キオクシアホールディングスの長期発行体格付けを「ダブルBプラス」にしたと発表。キオクシアへの格付けはS&P、フィッチともに初めて。
・ニデックは、最大350億円の自社株買いを実施すると発表。自己株式を除く発行済み株式総数の約1.1%にあたる。自社株買いの期間は2025年5月28日から26年5月27日までで、1300万株を上限とする形に。
・蓄電池スタートアップのパワーエックスは日本郵船や三菱UFJ銀行などが計画する洋上データセンター(DC)の実証試験に蓄電池を納入すると発表。横浜市の海上に小規模のデータセンター設備や太陽光パネル、蓄電池を置き、2025年秋に実証を始める予定。
・ロイター通信はアメリカのエヌビディアが中国向けに廉価版の人工知能(AI)半導体を発売する計画だと報じた。4月に米政府が輸出規制の対象に加えた「H20」の代替品となる。米規制に合わせて性能を落とし、従来の中国向けの主力品と比べ価格を3割程度安くし、6月から量産を始める予定だという。
5月26日
・三井化学は、半導体製造工程で使われる三フッ化窒素事業から撤退すると発表。2026年3月末に生産を停止し、26年中に販売を終える予定。三井化学の撤退により、国内生産事業者は関東電化工業のみとなる。
・パナソニックエレクトリックワークスは、電気自動車(EV)向けのケーブル付き充電器を刷新し7月22日に発売すると発表。車体に差し込むケーブル先端のコネクターを据え付けるホルダーを充電器の本体と分離し、狭い場所にも柔軟に設置できる設計に。
・人材紹介のジェイエイシーリクルートメント(JAC)は、北海道初の支店を開いた。
・旭化成は、半導体を最終製品に組み立てる後工程向けの感光性材料で新製品を開発したと発表。フィルム状の材料で、先端パッケージで半導体チップと基板をつなぐ再配線層向けにより微細な回路に対応する。
5月24日
・CCTVは、ファーウェイがパソコンの新商品に回路線幅が5ナノメートルの国産の先端半導体を搭載すると報じた。これまでは7ナノが技術的な限界とみられてきた。
5月23日
・NTTアノードエナジーは、蓄電池の新設・管理をまとめて受託するサービスを始めると発表。系統用蓄電池を使った売電に参入する企業に自社の蓄電事業で培った知見を提供する。2028年までに10カ所以上で受託し、売上高50億円を目指す。
・西部技研は、タイのバンコクに子会社を6月に設立すると発表。
5月22日
・リコーイメージングは、コンパクトデジタルカメラ「GR」シリーズの新製品を2025年秋にも発売すると発表。画像センサーやレンズなどを刷新。
・オランダは、テクノロジー分野における日本との連携強化に向けて、産業技術総合研究所や富士通、丸紅、二木工芸、大日本印刷、富士通、巴川コーポレーションがそれぞれ連携協定を結んだと発表。
・電子情報技術産業協会(JEITA)は、4月の薄型テレビの出荷台数が前年同月比3.6%増の33万8000台だったと発表。4カ月ぶりに前年実績を上回った。
・シャオミは、2026年から5年間で研究開発費として2000億元(約4兆円)を投じると発表。25年までの5年間に比べ2倍に増やす予定。先端半導体や電気自動車(EV)などの競争力を引き上げる。
・ソフトバンクグループは、人工知能(AI)向けのインフラ投資計画「スターゲート」の第2弾となる「スターゲート・ユーエーイー」プロジェクトを始めると発表。アラブ首長国連邦(UAE)で2026年にかけて総受電容量が最大200メガワットのAIデータセンターを構築を予定。
・NTTアノードエナジーは2025年7月、蓄電池の新設から運用までを一括で受託するサービスを始める予定。
・ソフトバンクグループは、アラブ首長国連邦(UAE)で人工知能(AI)向けのインフラ投資計画を始めると発表。米国で総額5000億ドル(約71兆円)を投じる「スターゲート」計画の第2弾として、全体で10兆円規模の投資になる可能性がある。
5月21日
・村田製作所は、パワー半導体の温度を測る電子部品「サーミスター」の新モデルを開発した事を明かした。高い電圧がかかる場所で使っても正確に温度を計測でき、電気自動車(EV)向けの需要を見込む。
・ニデックは、インドにある「ニムラナ工場」で車載部品を製造する新棟の建設を開始。ハンドルやブレーキなどの電装部品に組み込む小型モーターを生産する。総投資額は100億円で従業員600人が働く施設となる。2026年9月の完成を目指す。
・パワーエックスは、日本郵政や三菱UFJ銀行などが計画する洋上データセンターの実証試験に蓄電池を納入すると発表。横浜市の海上に小規模のデータセンター設備や太陽光パネル、蓄電池を置く。2025年秋に実証を始める。
・ロームは、人工知能(AI)のデータ処理に使う専用サーバー向けパワー半導体の新製品を開発。電流を制御する半導体で、内部の回路設計を見直すことで電力ロスを起きにくくした。電力損失の量は他社製品よりも2割少なくなり、省エネにつながるとの事。月産100万個の生産体制を整え、供給を拡大を見込む。
・メイコーは、ベトナムに建設中の新工場をさらに増築を進める。2026年3月期の設備投資額は510億円と、24年11月に公表した300億円から7割積み増す。顧客のスマートフォン大手がサプライチェーン(供給網)の脱中国を進めているのに対応。
・アメリカのウォール・ストリート・ジャーナルは、ウルフスピードが日本の民事再生法に相当する米連邦破産法第11条(チャプター11)の適用申請に向け準備していると報じた。数週間以内に申請する可能性があるという。
5月20日
・タイガー魔法瓶は、炊飯器「土鍋ご泡火(ほうび)炊き」の最上位モデルの新製品を6月21日に発売すると発表。おいしいおにぎりを食べられるように吸水時間を延ばして高めの温度で炊く機能や、手間をかけてでもおいしいごはんを食べたい人向けに低温でゆっくり吸水させた米を丁寧に炊き上げる機能を追加。
・セイコーインスツルはビニールハウス内の環境をリアルタイムで測定し、スマートフォンからモニタリングできる「健農くん」のサービスを7月に開始する。従来のシステムで課題だった防じん・防水性能を強化し、ワイヤレス仕様で場所を問わず工事なしで設置できる。バッテリーは低消費の電力設計で10年間電池交換が不要。システムの親機や温湿度センサーなど一式の導入費は26万4000円でサービス利用料は月額1000円。JAなどを通じて販売予定。
・中国の車載電池最大手のCATLが、香港取引所に上場した。調達資金のうち約276億香港ドル(約5100億円)を欧州の新工場に投じ、現地の車メーカーへ電気自動車(EV)用電池の供給を広げる。CATLは深圳証券取引所にすでに上場しており、重複上場となる。
・キーエンスは、ドイツのキャデナス・テクノロジーズを買収したと発表。買収額は非公開だが数百億円とみられる。キーエンスはオンライン販売など新規事業を進めており、キャデナスの買収で国内外で事業を強化する狙いがある。
・台湾のホンハイ精密工業は、インド子会社に15億ドル(約2100億円)を投資すると発表。主要顧客のアップルがアメリカの関税政策を踏まえて中国からインドに一部製品の生産移管を進めており、ホンハイも拠点を分散して対応する狙いとみられる。
5月19日
・ニホンケミコンは、電気自動車(EV)の充電口などに搭載する新しいコイルを開発したと発表。従来のコイルから直径を約1割小さくし、重さも約4割軽くした。
・中国のシャオミは、スマホ用の半導体を独自開発したと発表。回路線幅は3ナノと、「iPhone」の最新機種に搭載される先端品と同等。供給を受けている米クアルコムなどへの依存を減らす狙い。
・アメリカのエヌビディアのジェンスン・ファン最高経営責任者(CEO)は、台北市内で講演し、人工知能(AI)向けの大規模スーパーコンピューターを台湾につくると発表。主要サプライヤーのホンハイ精密工業やTSMC、台湾の科学技術当局と協力する予定。
・ルネサスエレクトロニクスは、電子機器の頭脳となる新型のMPU(超小型演算処理装置)を開発したと発表。内蔵メモリーの容量を従来の10メガバイトから128メガバイトに増やした。
・トーカロは、東京工場の敷地内に半導体製造装置に関わる部品を製造する新棟を建設すると発表。投資額は約67億円。8月から建設に着手し、27年末ごろの操業開始を目指す。
・ファーウェイは、独自開発のOSを搭載するノート型パソコン2機種を発売すると発表。同社のパソコンはOSに米マイクロソフトの「ウィンドウズ」を採用してきたが、初めて自社製のOSを搭載する。
・台湾電機大手のホンハイ精密工業は、ヨーロッパに半導体の組み立て工場を設けるため、フランスの防衛大手タレス、電子部品大手ラディアルと覚書を結んだと発表。共同出資による半導体の後工程請負会社の設立を検討。協業先を含めた総投資額は2億5000万ユーロ(約400億円)を予定。
5月16日
・ミマキエンジニアリングは、2030年3月期を最終年度とする中長期経営戦略を発表。高粘度インクの印刷・塗装や曲げられる有機ELシートなど新たな領域の製品開発に取り組むことで売上高1500億円を目指す。期間中は毎期、既存の開発投資とは別枠で新領域への投資に売上高の1〜2%を充てる計画。新製品を継続的に市場投入し新製品売上高比率の30%達成を目指す。売上高成長率10%以上を継続し、30年3月期には連結売上高1500億円、営業利益率は8%以上を目標。
・豊田通商は、冨士発條の株式を34%取得すると発表。6月30日に持ち分法適用会社化する。出資によりEVのサプライチェーン(供給網)の強化につなげる。
・スズキは、熊本県大津町で2026年8月に物流倉庫を新設することを明らかにした。半導体製造に使う原材料や製造装置用部品類の保管・配送に利用する。物流倉庫用地として、約3億5000万円を投資し、大津町内に約1850平方メートルの用地を取得。建物(建築面積約600平方メートル)は2階建てで、事業所や倉庫として運営予定。12月に着工し、26年8月の操業開始を予定する。
・シリコンウエハー世界3位の台湾グローバルウェーハズは、対アメリカの投資額を最大75億ドル(約1兆円)に増やすと表明。既存計画の35億ドルから2倍強に増やす。