化合物半導体とは? 特性・単体半導体との違いを解説
- 半導体用語集

化合物半導体は、従来のシリコン半導体では実現できない高速動作や高耐圧・高温対応を可能にし、5G通信、電気自動車(EV)、LED照明などの革新技術を支える重要な素材です。
本記事では、化合物半導体の基礎から特性、用途、そして単体半導体との違いまでを解説します。
化合物半導体とは?
化合物半導体とは、2種類以上の元素を組み合わせて構成される半導体材料のことです。通常、異なる族(周期表上のグループ)に属する元素の化合物から作られます。
よく知られているのが、III族とV族の元素を組み合わせたIII-V族化合物半導体です。III族元素のガリウム(Ga)・インジウム(In)・アルミニウム(Al)、V族元素のひ素(As)・リン(P)・窒素(Ga)で構成されています。
近年、高速通信・省エネ化・次世代照明・電動モビリティなどの分野では技術革新が進んでおり、シリコンでは対応しきれない性能要求が高まっています。そこで化合物半導体は、より高性能なエレクトロニクスやオプトエレクトロニクスを実現する鍵となっています。
単体半導体との違い
単体半導体とは、1種類の元素のみで構成された半導体材料のことで、代表的なものにシリコン(Si)やゲルマニウム(Ge)があります。
これらは周期表上の同一元素で構成されており、特にシリコンは地球上に豊富に存在します。結晶成長や微細加工技術が非常に成熟しているため、論理回路、メモリ、センサー、太陽電池などの汎用電子機器の材料として広く使用されています。
ただし、シリコンは間接遷移型のバンド構造を持っているため、電子が再結合しても光を効率的に放出できず、発光デバイスには不向きです。また、耐圧・耐熱性能にも限界があるため、高電圧・高温環境下での使用には課題があります。
単体半導体は安価で大量生産しやすく、汎用的なデバイスに最適であるのに対し、化合物半導体は高性能かつ特殊な用途に向けた高機能材料であり、コストや製造の難易度は高いものの、シリコンでは実現できない機能を補う存在です。
以下は、単体半導体と化合物半導体の特徴の比較表です。
単体半導体 | 化合物半導体 | |
代表的な材料 | シリコン(Si)、ゲルマニウム(Ge) |
ガリウム砒素(GaAs)、窒化ガリウム(GaN)など
|
バンド構造 | 間接遷移型 |
直接遷移型が多い
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電子移動度 | 中程度 | 高速 |
バンドギャップ | 狭い | 広いものが多い |
耐圧・耐熱性 | 限界あり(高電圧・高温には不向き) |
優れる(高耐圧・高温環境に対応可能)
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資源の豊富さ・コスト | 豊富・安価 |
資源が限られ高価、製造コストも高い
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主な用途 | 論理回路、メモリ、センサー、太陽電池など |
LED、レーザーダイオード、光通信など
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化合物半導体の特性
高電子移動度
電子移動度とは、電場に対して電子がどれだけ速く移動するかを示す値です。
ガリウムひ素(GaAs)やインジウムリン(InP)は、シリコン(Si)に比べて数倍以上の電子移動度を持ちます。そのため、より高速なスイッチングや高周波動作が可能です。
広いバンドギャップ
バンドギャップとは、電子が価電子帯から伝導帯へ移動するために必要なエネルギーの差です。化合物半導体はシリコンよりもこの差が広く、高温・高電圧下でも安定動作が可能です。
この特性は、パワーデバイスなどで活用されています。
直接遷移型バンド構造
電子がエネルギー遷移するとき、運動量の変化なしに光を放出できるのが「直接遷移型」です。
直接遷移型は高効率な光の吸収・発光が可能なため、光デバイス分野で重要な役割を果たしています。
高耐圧・高耐熱性
炭化ケイ素(SiC)や窒化ガリウム(GaN)は、絶縁破壊電界により、耐電圧性能がシリコンの10倍以上となるため、高電力・高温環境でも信頼性の高い動作が可能です。
化合物半導体の高耐圧・高電子移動度の特性は、高速・高周波通信分野で役立ちます。
化合物半導体を用いる製造メーカー
【アダプターメーカー】Adapter Technology Co.,Ltd.(アダプターテクノロジー)
Adapter Technologyは、台湾で2001年に設立され、長年にわたり高品質なACアダプタとスイッチング電源の開発・製造を手掛けているメーカーです。
国際規格に準拠した信頼感と、高品質・医療用・産業用・ITに特化した高性能電源を提供しています。
【LEDメーカー】NATIONSTAR(ネイションスター)
1969年設立のNATIONSTARは、LEDおよびLED応用製品の研究開発・生産・販売を専門とした企業です。