【2025年5月前半】半導体・電子部品業界NEWSピックアップ
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2025年5月前半の半導体業界では、決算報告が多く見られ、黒字転換やV字回復の報告が相次いでいる一報、構造改革・人員整理の具体化がでています。また、国内の半導体企業や組織が国際連携強化の動きが見られます。
本記事では、業界の最新動向や注目すべきニュースをピックアップしております。最新トレンドを確認できるため、今後のビジネスにぜひお役立てください。
それでは、2025年5月前半の半導体・電子部品業界ニュースをご紹介します。
【5月前半】半導体業界NEWS
5月15日
・日亜化学工業と四国化工機は食品の充塡時に包装フィルムやボトルキャップをLEDで殺菌する装置を開発。水銀を使った従来装置より寿命や消費電力の面で性能が高く、環境にも配慮。
・電子情報技術産業協会(JEITA)の半導体部会は、経済産業省に向けた半導体戦略の提言書を公表。米国や韓国、台湾などと比べて日本は半導体投資の税控除が限られるとして「設備投資を強力に後押しする減税措置などを検討するべきだ」とした。
・ジーエス・ユアサコーポレーションは、交換用車載バッテリーの主力シリーズを刷新し、7月から販売すると発表。電極の構造を見直すことで耐久性を従来より8%高めた。
・ジャパンディスプレイは、国内従業員の半数を超える約1500人を削減すると発表。また、売上高の3分の2を占める車載向けディスプレー事業を10月に分社することも決めた。赤字が続くなか、経営の立て直しを急ぐ。
・ダイヘンは、蓄電池システムに組み込む産業用油入変圧器の生産能力を現在の1.7倍に引き上げると発表。香川県にある子会社の敷地内に新工場を建設し、大阪市の既存工場から生産を移管・集約する予定。総投資額は約50億円。
・三菱ケミカルグループは、電気自動車(EV)向け電池の電解液に関する特許をCATLにライセンス供与すると発表。電池の長寿命化につながる技術の特許で、負極と正極の間のリチウムイオンの移動をしやすくして充放電による劣化を防ぎ、電池寿命を長くできるとの事。
・日本工作機械工業会は、4月の工作機械受注額速報値は前年同月比8%増の1302億円と発表。
・美濃窯業は、25年3月期の連結決算を発表。売上高は前期比6%増の150億円、純利益は15%増の12億円に。値上げが純利益に寄与し、半導体製造装置のセラミック部品などをつくる工業炉の事業で設備投資の需要が増加した。
・アームは、カーネギーメロン大学に約22億6000万円を寄付すると発表。同大学は慶応義塾大と共同で人工知能(AI)の多言語学習やロボットへの応用を研究している。基礎研究を支援し、AI研究の底上げを狙う。
・日本精機は、2025年3月期の連結決算を発表。売上高は前期比1%増の3163億円と過去最高を更新。純利益は16%増の61億円に。
・キオクシアホールディングスは、2025年3月期の連結決算を発表。最終損益が2723億円の黒字(前の期は2437億円の赤字)に。売上収益は59%増の1兆7064億円。スマートフォンやパソコンの販売回復で半導体メモリーの販売が伸びた。ただ、25年4~6月期の最終損益は前年同期比で約9割減との見通しを発表した。
・東芝は2025年3月期の連結決算を発表。最終損益が2790億円の黒字(前の期は748億円の赤字)。売上高は前の期比7%増の3兆5139億円で、営業利益は5倍の1985億円。データセンター向けでハードディスクドライブ(HDD)の販売が好調。約3割の株式を保有する半導体メモリー大手のキオクシアホールディングスの業績改善で1023億円の持ち分法投資利益を計上。
5月14日
・東レは2025年3月期の連結決算を発表。連結最終利益は前の期比3.6倍の779億円に急拡大。営業利益が1274億円、売上が2兆5632億円で前年同期比4%プラス。
・ソニーは2025年3月期の連結決算を発表。売上高が12兆円で、前年横ばい水準。営業利益は1983億円で前年同期比16%プラス。
・住友化学が2025年3月期の連結決算を発表。最終損益は385億円の黒字(前の期は3118億円の赤字)に浮上し、26年3月期の同利益は前期比3.7%増の400億円に伸びる見通しとなった。
・ニデックインスツルメンツは、オルゴールの旗艦モデルを発売すると発表。工業デザインなどを手掛ける「ケン オクヤマ デザイン」と組んで開発した。
・ルネサスエレクトロニクスは、インド政府の電子情報技術省傘下の研究機関と連携協定を結んだと発表。インド国内のスタートアップや教育機関に半導体の設計開発用ソフトウエアを提供する。ルネサスは2030年までにインド向け売上高を会社全体の10〜15%程度に高める目標。(22年では売り上げの5%未満)
・クラボウは、2025年3月期の連結決算を発表。売上高が前期比微減の1506億円、純利益は34%増の90億円に。
・住友商事は、半導体製造や太陽光発電パネルの解体の過程で出るシリコン系の産業廃棄物を使い、炭化ケイ素(SiC)を合成する事業を東北大学と実証すると発表。
・エイブリックは、車載機器向けに電圧を監視する半導体の新製品を発売したと発表。従来の製品よりも面積を2割小さくしたほか、電圧を検出し伝達するスピードが約97%速くなった。車載機器の部品点数の増加や自動車の安全性向上に対応。
・TOPPANホールディングスは、半導体向けフォトマスクの製造販売子会社のテクセンドフォトマスクの株式公開を準備していると発表。上場時期などは未定で、将来は持ち分法適用会社への移行を目指す。現在はTOPPANHDが50.1%、投資ファンドのインテグラルが49.9%出資。
・ホンダは、自動車素材の開発向けに量子コンピューターを使う新たな計算手法を開発したと発表。
5月13日
・ロームが2025年3月期の連結決算を発表。最終損益が500億円の赤字(前の期は539億円の黒字)。パワーデバイス事業などで300億円規模の減損損失を計た。売上高は4%減の4484億円、営業損益は400億円の赤字(同433億円の黒字)に。
・TDKは、電気信号のノイズを除去する”チップビーズ”で大電流に対応した製品を開発したと発表。定格電流を8アンペアまで高めた。部品の使用数を減らして実装面積を半減し、自動車部品メーカーなどの需要に対応。
・ジーエス・ユアサは、2025年3月期の連結決算を発表。純利益が前期比5%減の304億円、売上高は3%増の5803億円に。
・日本航空電子は、電気自動車(EV)向けのコネクターを開発し、販売を始めたと発表。電池管理システム(BMS)に搭載され、電圧などを測定するのに使う。既存製品と比べて約47%小さくなり、BMSの小型化に寄与。
・メイコーは、2025年3月期の連結決算を発表。連結純利益は、前期比32%増の149億円。衛星通信向けのほか、日系ゲームメーカーの新機種向けなどでも需要が伸びた。売上高は15%増の2068億円、営業利益は64%増の190億円に。
・日本ケミコンは、2025年3月期の連結決算を発表。連結最終損益は、3700万円の黒字(前期は212億円の赤字)に。売上高は19%減の1226億円、営業利益は60%減の37億円。
・旭化成は、自動車の車内音響を制御する半導体分野において、音響補正に必要な期間を従来比で約7割短縮できる技術を提供。スウェーデンの音響技術企業Dirac(ディラック)との協業により、ノイズ低減などの調整作業の負担を軽減。これにより自動車メーカーの開発期間の短縮を実現し、最終的には自動車の販売拡大を図る方針だ。
・ロームは、2025年3月期の連結決算を発表。最終損益が500億円の赤字(前の期は539億円の黒字)に。最終赤字は12年ぶりで、従来予想の60億円の赤字から大幅に悪化。電気自動車(EV)向けや産業機械向けの半導体が落ち込んだほか、パワー半導体事業などで300億円規模の減損損失を計上した。
5月12日
・エンジャパンは、札幌市に北海道支社を新設したと発表。主力の求人サイト「エン転職」や採用管理システムを道内企業に拡大を予定。最先端半導体の量産を目指すラピダスの進出や北海道新幹線の札幌延伸を背景に、企業の旺盛な採用需要を取り込む。
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・オムロンは、京都府の桂川事業所内に電力制御技術の研究開発拠点「パワーエレクトロニクスセンタ」(仮称)を設けると発表。改修して設備を導入し、10月に稼働を開始する。
・シャープは、液晶パネルを生産する亀山工場の第2工場を、親会社である台湾のホンハイ精密工業に売却すると発表。中国勢の量産などでパネル価格が下落し、採算が悪化するなか、設備の売却で液晶パネル事業を縮小して業績を立て直す。
・イギリス政府は、AESCグループがイギリスで計画する新工場の資金調達支援策を発表。融資などで総額10億ポンド(約1900億円)を確保。
・タムラ製作所は、25年3月期の連結決算を発表。純利益は前の期比24%増の27億円、売上高は7%増の1140億円。営業利益は5%増の51億円となった。
・湖北工業は、2025年1〜3月期の連結決算を発表。純利益が前年同期比69%減の2億2700万円だった。売上高は4%増の35億5800万円。円高傾向で為替差損を計上したことが重荷に。
・NECは、工場や店舗の出入り管理に使う顔認証技術で、逆光がまぶしい場所や明かりが少なく暗い場所でも対応可能なサービスを始めたと発表。ソニーセミコンダクタソリューションズが提供する人工知能(AI)内蔵の画像センサーとNECの技術を組み合わせて認証性能を高めた。3年間で100社以上への導入を目指す。
・ヒロセ電機は、産業機器向けのアダプターの新製品を発売したと発表。複数の配線をアダプターでまとめることで配線数を減らしてスペース確保につながる。
・デンソーは、保有するルネサスエレクトロニクス株の大半を売却すると発表。自己株式を除く発行済み株式数の4.1%分にあたる7390万株を売却。2025年3月末時点ではルネサス株の4.2%を保有しているが、保有比率は0.1%になる。デンソーは「協業関係の維持・強化は不可欠」とし、一部のルネサス株の保有は続ける。
・立花エレテックは、25年3月期の連結決算を発表。純利益が前の期比17%減の70億円。売上高は5%減の2201億円、営業利益は24%減の82億円に。
・マブチモーターは、本社および関連会社に出向中の正社員を対象に希望退職を実施すると発表。募集人数などは定めない。50歳以上59歳未満の正社員が対象で、退職金を割り増し、希望した場合は再就職も支援する。特別退職金や再就職の支援費用は特別損失として25年12月期決算に計上する。
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・シャープは、2026年3月ごろをめどに本社を現在の堺市から大阪市中央区に移転する計画を明らかにした。
5月9日
・リバーエレテックは、2025年3月期の連結決算を発表。最終損益が7900万円の赤字(前の期は1億3300万円の赤字)。赤字は2期連続。主力のスマートフォン向け需要が低迷。売上高は前の期比4%増の56億円、営業損益は7500万円の赤字(前期は800万円の黒字)、経常損益は6000万円の赤字(前期は5600万円の黒字)。
・オプテックスグループは、2025年1〜3月期の連結決算を発表。純利益が17億円(前年同期比37%増)、売上高は150億円(2%減)に。
・ヒロセ電機は、2025年3月期の連結決算を発表。純利益は前の期比25%増の330億円、売上高は14%増の1894億円、営業利益は25%増の426億円に。スマートフォンなど民生機器向けの売上が伸びた。
・日産自動車が、北九州市に建設予定だった電気自動車(EV)向け電池工場の建設断念を発表。トヨタ自動車も福岡県の電池工場の建設を延期に。
・北陸電気工業は、2027年度までの3年間でグローバル生産・販売体制を強化する中期経営計画を発表。ASEAN地域では生産比率を24年度の30%から27年度に40%に引き上げることを目標に、生産拠点があるタイ・マレーシアの工場では既に設備投資を進めている。また、インドでは25年度内に販売拠点を新設予定。25年3月期の連結純利益は前の期比14%減の21億円、売上高は前の期比6%増の431億円。
・ミネベアミツミは、2025年3月期の連結決算を発表。売上高が前期比9%増の1兆5227億円、純利益が10%増の594億円。売上高は13期連続で最高を更新した。24年5月に買収が完了したパワー半導体製品のミネベアパワーデバイスの連結子会社化も寄与。
・浜松ホトニクスは、2024年10月〜25年3月期の連結決算を発表。純利益が前年同期比41%減の99億円に。デンマークのNKTホトニクスの買収に伴うのれん代などで減価償却費が増え、利益を押し下げた。売上高は3%増の1067億円。
・TSMCは、2025年4月の売上速報値を発表。単月ベースで過去最高の3495億台湾ドル(約1兆6800億円)だった。生成AI(人工知能)を動かすサーバー向けなどに先端半導体の販売好調が続き、前年同月比で48.1%増えた。
・牧野フライス製作所は、ニデックに対して発動していた対抗策を中止すると発表。ニデックが牧野フライス買収を目的に実施していたTOB(株式公開買い付け)を撤回したため。牧野フライスを巡って複数の投資ファンドも買収提案をしており、牧野フライスはファンドとの対話を継続していく。
・ロイター通信は、米エヌビディアが中国向けに性能を落とした人工知能(AI)半導体を設計していると報じた。米政府は4月に同社の中国向け製品「H20」を対中輸出規制の対象に加えた。規制に適合するように代替品を開発し、中国企業との取引継続を狙う。
5月8日
・村田製作所は、ベトナム南部にある現地法人の工場内に約30億円を投じて新棟を建設すると発表。車載用電子機器内で電気の流れを安定させるコイルを製造する見込み。2026年4〜9月期の完成を目指す。村田製作所は26年3月期のグループの設備投資額を前期比5割増の2700億円に増やすなど、電子部品を中心に生産増強に力を入れている。
・SMKは、25年3月期の連結最終損益が18億円の赤字と発表。SMKは3月に発表した構造改革の一環で118名の希望退職者を募集し、退職金などで前期に8億6900万円の特別損失を計上。売上高は前の期比3%増の480億円で、営業損益は2億3500万円の赤字(前の期は12億円の赤字)に。
・長崎総合科学大学は、半導体メーカーのヌヴォトンテクノロジージャパンと共同研究講座を開設すると発表。家電や産業機器に幅広く用いられるデジタル演算処理装置(DSP)の処理速度向上に向けた共同研究などに取り組み、学生の教育にも生かす。
・九州リースサービスは、子会社のケイ・エル・アイが5月中に再生可能エネルギー事業の新会社「KLI新エネルギー」を設立すると発表。九電みらいエナジーも一部出資する。出資比率は非公表。
・浜松ホトニクスは、半導体の故障解析用の新型モジュールを開発したと発表。独自のレーザー技術などを活用し、故障箇所を高い精度で特定する。積層化や微細化が進む先端半導体に対応した解析技術を求めるメーカーの需要に応える。
・田中科学研究所は、2026年3月期の最終損益が7億円の赤字(前期は2億5700万円の赤字)の予定と発表。スウェーデンの新興電池メーカー、ノースボルトの破産手続きに伴い製品販売や技術支援契約に基づく収益が見込めなくなったことが響く。売上高は前期比26%増の460億円、営業損失は6億円の赤字(前期は3億3800万円の赤字)を見込む。
・コーセルは、台湾のライトン・テクノロジー社と共同開発品ブランド「COSELSYNC.(コーセルシンク)」を立ち上げたと発表。コーセルは2024年4月にライトン社と資本・業務提携契約を結んでおり、共同ブランドのもとで両社の技術融合や事業拡大を進める。開発品は25年6月からの販売を予定。計測機器や医療機器などに使用する電源を販売し、3年後の売上高は年間50億円を見込む。
・中国のSMICが2025年1~3月期の決算を発表。純利益が前年同期比2.6倍の1億8800万ドル(約270億円)、売上高は前年同期比28%増の22億ドル。
・ヤゲオは、芝浦電子へのTOB(株式公開買い付け)価格を6200円に引き上げると発表。ミネベアミツミが1株5500円で芝浦電子へのTOBを始めており、これを上回る価格で対抗する。
・デンソーは、ロームと半導体分野で提携すると発表。2社で半導体の生産を集約するほか、半導体の共同開発や原材料の共同調達など幅広い連携を考慮。
・SUMCOは、2025年1~6月期の連結業績予想を公表。純利益を前年同期比92%減の10億円で、通期予想は開示していない。資材費や電力単価の高騰、設備増産に伴う減価償却費の負担増よ予定している。売上高は2%増の2024億円を見込む。
・米議会上院の商業科学運輸委員会は、人工知能(AI)の米中競争に関する公聴会を開いた。AI分野で中国企業へアメリカ政府はAI半導体の輸出規制を強化してきた。オープンAIなど4社の幹部が証言し、中国に対抗して米企業の海外展開を促すための規制緩和を求めた。
5月7日
・ラピダスや東大などが参画する研究機関「最先端半導体技術センター(LSTC)」は、半導体設計人材の育成プログラムの募集を始めたと発表。人工知能(AI)半導体の米新興テンストレントの拠点で5年間で200人を育成する予定。国が最大75億円の支援する見込み。
・ソニーセミコンダクタソリューションズは、人工知能(AI)向けの画像処理半導体(GPU)サーバーの販売に参入すると発表。画像処理半導体サーバー世界大手のスーパー・マイクロ・コンピューター(アメリカ)と優先供給契約を結び、納期を2週間と通常の12分の1に短縮した。
5月1日
・パワーエックスは、岡山県玉野市の工場で、瀬戸内国際芸術祭への参加作品の公開をスタートさせた。玉野市と包括連携協定を結んでおり岡山側の瀬戸内国際芸術祭会場である宇野港エリアの盛り上げに協力する。
・ミネベアミツミは、芝浦電子へのTOB(株式公開買い付け)価格をこれまでの4500円から5500円に引き上げると発表。芝浦電子に対し同意なき買収を提案している台湾のヤゲオの1株5400円を上回る。
・HOYAは、2025年3月期の連結決算を発表。売上高は8660億円で前期比13.6%増、当期利益が2017億円で前期比10%増に。メガネレンズやコンタクトレンズがけん引し増収を確保。、EUVブランクスの高い需要が継続。フォトマスクにおいては、OLED関連の開発需要が回復せず低調が続いた。