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ジャイロセンサーとは? 機能や役割、種類別の特徴を解説

  • 半導体用語集
公開日:2025.04.02

スマートフォンを傾けると画面が回転したり、ドローンが空中で安定して飛行したり、VRゴーグルが頭の動きに合わせて映像を動かしたり、これらの機能を支えているのが「ジャイロセンサー」です。

本記事では、ジャイロセンサーとは何か、基本的な機能や役割、動作の仕組み、種類ごとの違いについて解説します。

 

 

 

ジャイロセンサーとは? 機能・役割について

 

ジャイロセンサーとは、物体の回転を検出するためのセンサーです。物体がどの方向に、どれくらいの速さで回転しているかを測ります。現代のジャイロセンサーは、3軸の回転を同時に検出できます。

 

 

回転の向き スマホの例
X軸 前後の回転(ピッチ) スマホを手前に傾ける
Y軸 左右の回転(ロール) スマホを横にひねる
Z軸 水平方向の回転(ヨー) スマホを水平に回す

 

※センサーの取り付け方や製品設計時の基準座標系によって、3軸の方向(X・Y・Z軸)は異なります。

 

その他の主な機能

姿勢の検出:各軸の回転量を積分して、傾きや方向の変化を知る

他センサーと連携:加速度センサーやGPSなどと組み合わせて、正確な動きや位置を推定する

リアルタイム制御への利用:ロボットやドローン、ゲームデバイスなどで即時のフィードバック制御に使われる

 

 

 

ジャイロセンサーと加速度センサーの違い

ジャイロセンサーと混合されやすい「加速度センサー」とは、物体の動きの速さの変化=加速度を測るセンサーです。どの方向に、どれくらいの力がかかったかを検出します。ジャイロセンサーが回転(角速度)を検出するのに対して、加速度センサーは直線方向の加速度(動き出し・止まり・傾き)を検出するのが目的です。

そのため、ジャイロセンサーは静止中の傾きは検出できず、加速度センサーでは回転そのものを正確に検出することが難しいです。

 

以下にそれぞれの特徴をまとめました。

  ジャイロセンサー 加速度センサー
測定対象 回転の速さ(角速度) 直線方向の加速度(速さの変化)
傾き検出 △ 動いていれば傾きがわかる 〇 重力方向から傾きを検出できる
回転検出 〇 得意 × 回転そのものは検出できない
静止状態の検知 × 不得意 〇 重力加速度から姿勢を推定できる
主な用途 姿勢制御、手ぶれ補正、ゲーム操作 歩数計、傾き検出、衝撃検出

 

 

 

ジャイロセンサーの主な用途

 

ジャイロセンサーは身の回りの物から産業、宇宙分野まで幅広く活用されています。主な用途をジャンル別に紹介します。

 

スマートフォン・タブレット

機能 内容
画面の自動回転 スマホを傾けたときに画面が縦横で切り替わる
歩数計・モーション検出 ユーザーの動きを検知(ジャイロ+加速度)
ゲームやAR 本体の傾き・回転で操作する(体感操作やAR映像)
VR・360°動画 顔の向きを正確にトラッキングする
 
 

自動車

システム 内容

横滑り防止装置(ESC/VSC)

車の回転(ヨー)を検出し、スリップを防ぐ
ナビゲーション補助 GPSが届かない場所で、進行方向の変化を補う
自動運転・ADAS 車体の姿勢をリアルタイムで把握し、制御する
衝突記録・ドライブレコーダー 回転情報を記録し、事故解析に利用

 

航空・宇宙・船舶・軍事

用途 内容
慣性航法システム(INS) GPSに頼らず、ジャイロと加速度で正確な航法を維持
姿勢制御 ロケットや人工衛星の向きを調整するために使用
潜水艦 光学式ジャイロで深海でも自己位置・方向を把握



 

ジャイロセンサーの基本原理と動作の仕組み

 

物体が回転するときに発生する物理現象を使って、回転の速さや方向を測ることです。 中でも、一般的な振動式ジャイロセンサーは、「コリオリの力(Coriolis force)」という力を使っています。

 

コリオリの力は、回転している物体の中で発生する「見かけの力」です。例えば、回転しているメリーゴーラウンドの上でボールをまっすぐ転がすと、進んでいるうちに勝手に横に曲がっていきます。この横に曲がる力「コリオリの力」が、ジャイロセンサーでは不可欠です。

 

MEMS型ジャイロセンサーの動作の仕組み

1. ジャイロの内部には、微小な質量が振動する

2. デバイスが回転すると、その振動方向に対してコリオリ力が発生する

3. この力によって質量が横にわずかにずれ、変位が生じる

4. 変位を静電容量の変化などで検出して、角速度に変換する



 

ジャイロセンサーの種類

 

上記で振動式ジャイロセンサーについて触れましたが、他にも回転機械式ジャイロセンサーや光学式ジャイロセンサーがあります。それぞれの種類の特徴にういて紹介します。

 

振動式ジャイロセンサー

振動式ジャイロセンサーとは、内部で振動している物体の動きの変化を利用して、角速度を検出するセンサーです。現在最も広く使われている「MEMSジャイロセンサー」も、振動式ジャイロの一種です。

 

MEMS型や一部の高精度ジャイロでは、水などの圧電材料を振動子として利用することもあります。水晶は電圧を加えると振動し、その振動の変化から回転を検出できます。

振動している物体は、回転するとコリオリの力を受けて軌道がずれます。このズレをセンサーで検出することで、どのくらい回転したかを測定できます。

 

MEMS(Micro Electro Mechanical Systems,微小電気機械システム)とは、小さな機械と電気回路を、半導体技術でひとつのチップ上に作り込む技術です。

 

MEMS型ジャイロは、以下の要素で構成されます。

可動質量:振動している小さな部品(水晶など)

ばね構造:質量を支える役割

電極:動きを検出(静電容量で)

IC回路:信号処理して、デジタル値として出力

 

MEMS型ジャイロセンサーは、超小型で省電力、かつ量産しやすいため、スマホなどでは必要不可欠です。



回転機械式ジャイロセンサー

回転機械式ジャイロセンサーとは、物理的に回転するコマ(ジャイロ)を使って、物体の向きや角速度を検出するセンサーです。最も古典的な、ジャイロセンサーの原点とも言える仕組みです。

 

回転機械式では「角運動量保存の法則」を利用しています。角運動量保存の法則を簡単に言うと、高速で回転しているコマは「向きを保とうとする性質」があり、その回転軸に外から力を加えると「歳差運動」という独特な動きが起こります。歳差運動は回転体に外力が加わったとき、回転軸が直角方向にゆっくり回るような動きです。この歳差運動の変化から、「どの方向にどれだけ回転したか」がわかります。

 

回転機械式ジャイロセンサーは、以下の構成要素で成り立っています。

回転ローター(フライホイール):コマのように高速回転する部品

ジンバル機構:回転体が自由に動けるように複数の軸を支える枠

フレーム:本体を支える外枠

 

動作の流れ

1. ローター(コマ)をモーターで高速回転させる

2. 本体(センサー)が回転運動すると、コマの向きは保たれたまま

3. その結果、ジンバルの角度に変化が生じる

4. 変化量を検出することで、角速度や方向の変化を測定できる



光学式ジャイロセンサー

光学式ジャイロセンサーとは、 光の性質を使って回転を測定する高精度センサーです。具体的には、光がループ状に進むとき、回転によって光の伝わる時間や位相にわずかな差が生じる現象(サニャック効果)を使って、物体の角速度を検出します。

 

サニャック効果

簡単に言えば、光を円のようなループに沿って「時計回り」と「反時計回り」に同時に流すと、センサー自体が回転しているとき、片方の光は進みやすく、もう片方は進みにくくなります。その結果、2つの光にほんの少しのずれ(時間差や位相差)が生まれます。

このずれを検出することで、回転している速さや向きがわかるという物理現象です。

 

光学式ジャイロセンサーには、主に光ファイバージャイロとリングレーザージャイロという種類があります。

光ファイバージャイロでは、細くて長い光ファイバーをグルグル巻いてループ状にし、2方向にレーザー光を流して、干渉を検出します。可動部がないので壊れにくく、信頼性が高いのが特徴です。

リングレーザージャイロでは、三角や四角のループ内をレーザー光が周回し、ミラーを使って光を反射させます。よりコンパクトな構造なので、航空機や宇宙機に搭載されています。

 

光ファイバージャイロの動作の流れ

1. 安定した光を出すレーザー光源を発振する

2. 光を2方向に分けて送るため、Y字のような光路に分けられる。一方は「時計回り」、もう一方は「半時計回り」に、ループ状の光ファイバを通って進む

3. 2方向の光がぐるぐる巻かれた数km相当の光ファイバ内を反対方向に同時に進む

4. 光ファイバを通り終えた2つの光は、再び合流し、干渉する。回転による位相差がここで観測される

5. 検出された位相差を角速度に変換する

 

 

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