【2025年3月前半】半導体・電子部品業界NEWSピックアップ
- 業界NEWS

2025年3月前半の半導体業界では、事業の再編や投資が活発に行われており、企業は成長が見込まれる分野へ資源を集中させ、競争力強化を図る一方、不採算分野から撤退も進めているのが目立ちました。また、トランプ政権により、拠点の新設や他社との提携を通じてグローバルな事業基盤の拡充を図る動きが見て取れました。
本記事では、業界の最新動向や注目すべきニュースをピックアップしております。最新トレンドを確認できるため、今後のビジネスにぜひお役立てください。
それでは、2025年3月前半の半導体・電子部品業界ニュースをご紹介します。
【3月前半】半導体業界NEWS
3月14日
・FDKは、富士通が保有していたFDK株式の一部売却が完了したと発表。PSAグループの子会社が、買い付け予定数の上限である45%の株式を取得。
・インスペックは、2019年末から参入した露光装置事業を撤退することを決定した。電気自動車(EV)向けフレキシブルプリント基板(FPC)の市場回復が短期的に望めないと判断し、市場が拡大している半導体パッケージ基板事業に経営資源を集中させる予定だ。
・三菱UFJ銀行は、半導体産業の情報を集約したプラットフォームを構築する構想を明らかにした。サプライチェーンを構成する企業の情報をシステム上に集約し、供給網の強化や金融支援の高度化に繋げる。
・CATLが2024年12月期の決算を発表。売上高が3620億元(約7兆4300億円)で前期比10%減になった。年間売上高の減少は業績の開示をはじめた14年依頼初めてとなる。
・ソフトバンクは、シャープからテレビ向け液晶パネルの旧工場の一部を取得したと発表。取得額は約1000億円で、人工知能(AI)向けのデータセンターに転用し、自立的に作業する最先端の「AIエージェント」の運用拠点などに使う予定。
・INCJ(旧産業革新機構)は、ジャパンディスプレイ(JDI)の保有株をすべて売却したと発表。INCJはこれまで4620億円の投融資をしており、1547億円の損失が確定した。
3月13日
・ニデックは、牧野フライス製作所に提案しているTOB(株式公開買い付け)を巡り、ドイツで外貨規制の許認可手続きが完了したと発表。
・村田製作所は、試験管などに入った液体から細胞を効率的に取り出せる金属フィルターを開発したと発表。従来の高分子化合物などでできたフィルターや遠心分離機を使う手法よりも短時間で細胞を取り出せるという。再生医療や医薬品の研究現場での活用を見込む。
・エレコムは、ナトリウムイオン電池のモバイルバッテリーを3月中旬から発売すると発表。一般的なリチウムイオン電池と比べて10倍長い寿命があり、損傷しても発火しにくい安全性を備えているという。黒とライトグレーの2色展開で価格は9980円を予定。
・タイ投資委員会(BOI)は、中国電池大手の欣旺達電子がタイで新工場を設けると発表。10億ドル(約1500億円)以上を投じ、電気自動車(EV)向けリチウムイオン電池工場を新設。
3月12日
・ジェラ・クロスは、ウエストホールディングスと太陽光由来の電気販売で連携すると発表。ウエストホールディングスが太陽光発電所を開発し、生み出した電気をジェラ・クロスが法人向けに売る形に。
・イビデンは、2025年3月期に投資有価証券売却益191億円を特別利益として計上すると発表。2〜3月に保有していた株式5銘柄を売却。政策保有株の縮減で資本効率を向上させる予定。
・シキノハイテックは、半導体のIPコアの開発・販売などを手掛けるアメリカのCAST社と業務提携したと発表。両社が持つ知的財産(IP)の世界に向けて販路拡大を目指す。
・浜松ホトニクスは、半導体の故障解析装置を生産する工場を韓国に新設したと発表。韓国の東灘にあった工場を移転し、延べ床面積や同装置の生産能力を約2倍に増強する。
・台湾積体電路製造(TSMC)が複数のアメリカ半導体大手に対し、米インテルの工場を運営する会社に共同出資する案を持ちかけたとイギリスのロイター通信が報じた。エヌビディア、アドバンスト・マイクロ・デバイス(AMD)、ブロードコムに申し入れた。
・インテルは、不在となっていた最高経営責任者(CEO)にアメリカの半導体設計支援ソフト、ケイデンス・デザイン・システムズ元CEOのリップブー・タン氏が就くと発表。半導体に精通する同氏を経営トップに起用して経営を立て直す。
3月11日
・東洋エンジニアリングは、電気自動車(EV)向け電池材料の工場建設を日本触媒から受注したと発表。リチウムイオン電池の電解質の生産設備をつくる予定。
・長崎総合科学大学は、イサハヤ電子と半導体人材育成に関する包括関連協定を結んだ。イサハヤ電子が自社設備を学生の実験の場として提供したり、半導体応用装置に関連するカリキュラムを共同で開発する。2025年度から工学科の2年生を対象に、工場基礎実験をスタートする。
・住友電気工業は、独自のレドックスフロー電池をエネルギー事業者の新出光から受注したと発表。再生可能エネルギーの系統用蓄電池として供給。住友電工は長期間の運用コストの安さを前面に連続受注を狙う。
・三井ハイテックは、メキシコのグアナファト州に完成した電気自動車(EV)の基幹部分である、モーターコアの新工場で2026年1月から量産を始める見通しと明らかにした。
・三井ハイテックは、2026年1月期の連結純利益が90億円(前期比26%減)になる見通しと発表。
3月10日
・ニデックは、ニデックモビリティのインバーター事業を吸収すると発表。ニデック本体に取り込むことで電気自動車(EV)向けの駆動装置「イーアクスル」の生産や開発を効率化する。
・日本ケミコンは、2025年3月期の見通しを発表。連結最終損益が6億円の黒字(前期は212憶円の赤字)になる見通しを発表。従来予想から34億円引き下げた。産業機器向けのコンデンサーの需要減が影響している。
・アルプスアルパインは、磁気センサーの開発を始めたと発表。磁気センサーの精度が高まり、産業機器や医療の市場などで活用を見込む。東京大学の研究室と共同で開発を進める。
・ルネサスエレクトロニクスは、シーメンスのロボットなど使う企業向けのソフトウエアの試験的な提供を始めたと発表。サンプル品を顧客に評価してもらった後、正式な製品は7~9月期に提供を始める見込み。
・ルネサスエレクトロニクスは、人工知能(AI)処理用の新型MPU(超小型演算処理装置)を開発したと発表。従来よりチップ面積を38%小型化、省電力性能も高めた。半導体の発熱を防ぎ、冷却ポンプなど放熱対策の装置が不要になる。1秒間に15兆回の演算ができる。19日から量産・販売する。
3月7日
・パワーエックスは、31億7000万円の資金調達したと発表。伊藤忠商事や三菱UFJ銀行、今治造船といった既存投資家に加え、豊田通商などが新たに加わった。定置用蓄電池の需要の拡大を受け生産体制を強化する。
3月6日
・東京ガスは、系統用蓄電池の運用を担うサービスを始めると発表。再生可能エネルギー大手のレノバが開発する2カ所の蓄電所の運用業務を受託したとの事。
・ルネサスエレクトロニクスは、仮想空間で半導体や電子部品を搭載したプリント基板の性能を評価しながら設計開発ができるプラットフォームの提供を2026年初めにも始めると発表。買収した半導体設計のアルティウムと協力する。
・サムスン電子は、全国サムスン電子労働組合と2025年は年平均5.1%の賃上げで妥結したと発表。2024年は賃金を巡り同社初のストライキまで発展したが今年は、円満に決着した。
・ブロードコムは、2024年11月~2025年1月期の決算を発表。売上高が149億1600万ドル(約2兆2000億円)前年同期比25%増となった。
・SKハイニックスは、スマートフォンのカメラなどに搭載する”CMOS画像センサー”の製造から撤退すると発表。人工知能(AI)向け半導体に人材や設備を集約し競争力を高める予定。
3月5日
・キオクシアホールディングスは、次世代のNAND型フラッシュメモリーを開発したと発表。積層数は従来の218層から332層に増やし、データ転送速度も33%高めた。データを読み込む際の電力効率も改善し、人工知能(AI)向けデータセンターなどで引き合いを見込む。
・アームは、マレーシアに東南アジア・オセオニア地域の統括拠点を設けると発表。マレーシア政府と提携し、同国の半導体産業を育成する。
ユーラスエナジーホールディングスやJFEエンジニアリングは、2027年度までに北海道で送電線と蓄電池を直接つないで充放電する系統用蓄電池を稼働する予定だ。再生可能エネルギーの調整弁としての役割をになう。北海道内では電力需給を調整して報酬を得る市場の約定価格が比較的高いことから、各社は蓄電池ビジネスの拡大を図る。
・アップルは、ノートパソコン「MacBook Air」の新型を12日に発売すると発表。最新の半導体「M4」を搭載し、生成AI(人工知能)サービスに対応。アメリカでの価格を999ドル~に、100ドル(約1万5000円)値下げする一方、日本での価格は税込み16万4800円~に据え置いた。為替の円安・ドル高傾向を考慮。
・欧州委員会は、低迷するEU域内の自動車産業の救済策を盛り込んだ行動計画を発表。購入支援や補助を拡大し、EV需要を喚起する狙いだ。
3月4日
・日本航空電子工業は、スマートフォンやウェアラブル端末に使う新しいコネクターを発売したと発表。電気伝導率の高い素材の採用や構造の工夫で、小型化しながら流せる電流を従来品の1.25倍である15アンペアに引き上げた。
3月3日
・日本ゼオンは、中国の電池材メーカー珠海辰玉新材料科技と合弁会社を設立すると発表。日本ゼオンの技術ライセンスで生産する電気自動車(EV)向けの電池材料を、中国市場のみで販売予定。
・東レは、台湾に半導体材料向けの研究開発(R&D)拠点を新設すると発表。台湾に拠点を置くのは初。世界有数の半導体製造拠点である台湾で、顧客の近くで次世代の半導体向けの材料の開発を進める。
・セイコーエプソンは、補聴器などに使うICチップの新製品を開発したと発表。チップが充電速度や充放電回数を自分で制御するため、バッテリーの長寿命化につながるほか、急速充電にも対応しやすい。「S1A00210B」のサンプル価格は1個6ドル(約900円)。補聴器や指輪型ウエアラブル機器の「スマートリング」など小型電子機器の電源を制御する。サンプルの予約受付は4月下旬に開始し、8月から出荷を見込む。
・トランプ大統領は、TSMCがアメリカに新たに1000億ドル(約15兆円)を投資すると発表。アメリカ国内で先端半導体を生産する体制を強化する。
・日本精機は、4月1日から東京都内に本社機能を設け、新潟県との2本社体制で運用を始める予定。首都圏での認知向上や事業効率改善を狙う。