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エンコーダとは? 役割や基本構造、動作の仕組みを解説

  • 半導体用語集
公開日:2025.02.14

エンコーダとは、物体の位置や角度を精密に測定し、デジタル信号として出力するセンサのことです。

ミクロン単位の精度で位置などを測定できるため、精密な制御が求められるシステムに利用されます。

 

本記事では、エンコーダの基本構造や仕組み、測定方式の種類、活用例について詳しく解説します。

 

 

エンコーダとは? 位置や角度を測定する技術

 

位置センサの1つであるエンコーダ(Encoder)は、物体の回転角度や直線位置を検出し、それをデジタル信号に変換する装置です。 モーター制御やロボット、工作機械、医療機器など、精密な位置決めが必要な場面で活用されます。

 

身近なところで言えば、スマートフォンのカメラ機能に活用されています。ジャイロとエンコーダでカメラの位置をリアルタイムで補正し、動画撮影時の手ぶれも軽減させます。

 

 

エンコーダの役割と活用例|測定方式

 

 

位置測定(位置決めの精度向上)

移動する物体の位置や角度を測定し、制御システムにフィードバックします。

直線距離を計測する場合は「リニアエンコーダ」、回転角度や回転速度を計測する場合は「ロータリーエンコーダ」を使用します。

 

エンコーダには測定方式が2種類あります。

 

絶対測定(アブソリュート方式)

物体の位置を基準点(原点)からの絶対値として測定します。同じ条件で測定すれば、常に同じ値になり、電源を切っても位置情報が保持されます。

高精度な位置決めが必要な用途に使用される方法です。

 

用途

・エレベーターの階数検出

・ロボットアームの関節位置

・CNC工作機械の刃先位置

 

相対測定(インクリメンタル方式)

現在位置と前回の測定値の差分を測定する方法です。基準点が必要で、電源を切るとリセットされます。高速・リアルタイムでの測定に向いています。

 

用途

・モーターの回転速度測定

・コンベアの位置検出

・3Dプリンタの位置制御

 

 

速度測定(モーター・車輪の回転速度制御)

 

速度測定とは、物体の回転速度や直線移動速度をリアルタイムで検出し、数値化する技術です。速度を測定するためには、ロータリーエンコーダやリニアエンコーダを使用し、一定時間内の変化量を計算します。

 

以下は代表的な測定方式です。

 

パルスカウント方式(エンコーダ方式)

エンコーダのパルス数をカウントし、時間あたりの変化量を計測する方式です。高精度な速度測定が可能で、リアルタイム制御に最適です。

 

用途

・EVのモーター回転速度制御

・産業用ロボットの関節速度制御

・CNC工作機械の主軸速度制御

・コンベアの搬送速度測定

 

ドップラー方式

音波や電磁波(レーザー・レーダー)を利用し、対象物の速度を測定します。非接触で測定可能で、長距離の測定に適しています。

 

用途

・鉄道の速度測定

・車両の速度取り締まり(オービス・警察レーダー)

・医療(血流速度測定)

・宇宙探査機の速度計測

 

ジャイロセンサ方式

角速度(回転の速さ)を検出し、速度を測定する方式です。MEMS(微小電気機械システム)技術を活用し、スマートフォンやドローンにも搭載されています。

 

用途

・スマートフォンのジャイロセンサ(画面回転)

・ドローンの飛行姿勢制御

・自動運転車の慣性ナビゲーション

 

方向検出(正転・逆転の判定)

 

方向検出とは、物体の回転方向や移動方向をリアルタイムで測定し、数値化する技術です。

 

用途

・ロボットアームの動作方向を制御

・産業機械の搬送装置(ベルトコンベア)

・鉄道やエレベーターの進行方向判定

 

方向検出には以下のような方式があります。

 

エンコーダ方式

A相・B相の2つのパルス信号を比較し、位相のずれから回転方向を判定します。

A相が先行 → 時計回り(CW)

B相が先行 → 反時計回り(CCW)

 

用途

・モーターの回転方向検出

・ロボットアームの関節動作

・エレベーターの昇降方向判定

・CNC機械の主軸回転方向制御

 

ジャイロセンサ方式

回転角速度を測定し、向きを検出する方式です。

 

用途

・スマートフォンの画面回転

・ドローンの姿勢制御

・自動運転車の方向維持

・VRヘッドセットの動作トラッキング

 

磁気センサー方式

磁場の変化を検出し、移動方向を判断する方式です。地磁気センサを活用し、方位測定(電子コンパス)にも使用されます。

 

用途

・GPSと組み合わせた方位検出

・自動運転の進行方向補正

・鉄道車両の位置・方向判定

・AGV(自動搬送車)の移動方向判定

 

フィードバック制御(リアルタイム動作補正)

 

センサから得た情報をもとに、リアルタイムでシステムの出力を調整し、目標値に近づけます。

 

フィードバック制御は主に3種類あります。

 

PID制御(比例・積分・微分制御)

P制御(比例制御):誤差に比例した制御量を加える

I制御(積分制御):過去の誤差を考慮して制御量を調整

D制御(微分制御):誤差の変化率を考慮し、急激な変化を抑制

 

用途

・モーター制御(EV、産業ロボット)

・温度制御(エアコン、ボイラー)

・ドローンの姿勢制御

 

 

適応制御

システムの環境が変化しても、リアルタイムで制御パラメータを調整します。AI・機械学習を活用することもあります。

 

用途

・自動運転(環境に応じた車両制御)

・産業用ロボット(負荷に応じた動作補正)

・航空機のフライト制御

 

ロバスト制御

外乱(ノイズや振動)に強い制御です。モデルの不確かさ(変動)に対して安定した動作を保証します。

 

用途

・ロボットアームの精密制御

・航空機の自動操縦

・風力発電の出力制御

 

安全機能(エラー検出・停止制御)

システムの異常を検出し、安全な動作を保証するための機能です。

エンコーダの安全機能は、主に 「異常検知」「安全停止」「システム冗長性」の3つの目的で設計されています。

 

故障検知(エラーチェック機能)

エンコーダの異常や故障をリアルタイムで検出します。

 

用途

・モーターの回転数異常を検知し、警告を出す

・エンコーダの電源異常(電圧低下)を検知

・ケーブル断線や信号ノイズを検出

 

安全停止機能

システムに異常が発生した際に、安全な状態で停止させます。

 

用途

・産業ロボットの緊急停止

・エレベーターの非常停止

・工作機械の安全停止

 

フェールセーフ

システムの異常時に、安全な動作を保証する設計です。

 

用途

・自動運転車のステアリング制御

・風力発電のブレード角度制御

・エスカレーターの緊急ブレーキ

 

二重化エンコーダ(冗長エンコーダ)

バックアップ用のエンコーダを用意し、故障時にも動作を継続します。

 

用途

・高速鉄道の安全運行

・航空機の飛行制御

・自動運転車のステアリング制御

 

安全速度監視

モーターや機械の速度を監視し、安全範囲を超えた場合に警告や停止を行います。

 

用途

・ロボットの作業速度制御

・自動車のスピードリミッター

・CNC機械の安全運転

 

 

エンコーダの基本構造|構成要素と動作原理

 

エンコーダは主に以下の要素で構成されています。

 

 

回転ディスク / スケール

 

回転エンコーダでは、ディスク(コードホイール) が回転することで位置情報を提供し、リニアエンコーダでは、リニアスケールを使用して位置を測定します。

 

タイプ 特徴
光学ディスク(透過・反射)
高精度、半導体製造などに使用
磁気スケール(ホール素子) 環境耐性が高い、自動車向け
静電容量スケール
高速応答、医療・MEMS機器向け

 

 

センサ(検出素子)

 

センサは、回転ディスクやスケールを読み取る役割を持ち、方式によって精度や用途が異なります。

検出方式は光学式・磁気式・静電容量式などがあります。

 

検出方式 特徴 用途
光学式 μmレベルの高精度測定
CNC、半導体製造
磁気式 埃や油に強い
自動車、風力発電
静電容量式 高速応答、摩耗なし
医療機器、MEMS

 

 

信号処理回路(ICチップ・FPGA)

 

検出されたアナログ信号をデジタル処理したり、フィルタ処理・エラーチェック・ノイズ除去を実施します。FPGAやASICを活用し、高速処理が可能です。

 

処理機能には以下があります。

 

処理機能 役割
A/B相信号処理
回転方向を判定(インクリメンタル型)
バイナリコード変換
絶対位置を数値化(アブソリュート型)
ノイズフィルタ処理 環境ノイズを除去

 

 

出力回路(パルス出力・シリアル通信)

 

コントローラやPLCなどの制御システムへデータを送信します。出力はパルス信号・デジタルコード・シリアル通信などの形式で行われます。

 

 

エンコーダの仕組み|主要方式の動作の流れ

 

「アブソリュート方式」と「インクリメンタル方式」の動作の仕組みについて紹介します。

 

アブソリュート方式

現在の位置を絶対値として記録するアブソリュート方式は、高精度な位置決めに適しています。現在位置は電源をオフにしても保持されるのが特徴です。

 

動作の流れ

1. 回転ディスクに「一意のバイナリコード(黒白パターン)」が刻まれている

2. 光学センサや磁気センサでコードを読み取り、現在位置をデジタル出力

3. 多回転型ではギアや電磁式カウンタを使用し、回転数を記録

 

インクリメンタル方式

インクリメンタル方式(増分型エンコーダ) は、回転や移動の変化量(増分)をパルス信号で出力する方式であり、速度や相対位置の測定に適しています。

 

動作の流れ

1. 回転軸に「透過パターン付きディスク」が設置されている

2. LED光源とフォトセンサで、ディスクのパターンを読み取る

3. ディスクの回転で光の遮断・透過が変化し、パルス信号を生成

4. パルス数をカウントすることで位置や速度を測定

 

 

エンコーダの取り扱いメーカー「GTWILL」

 

GT WILL INCは韓国に本社を置き、中国とベトナムに複数の生産拠点を展開しています。複数の生産拠点を展開することにより、グローバルな供給チェーンを構築し、地域ごとの市場に迅速かつ効率的に対応することが可能です。

エンコーダについては、IR Receiver Moduleや照度センサ、距離センサなどの取り扱いがあります。

 

 

 

 

 

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