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次は東京

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公開日:2025.12.08

「次は東京」という電車のアナウンスを聞くと、あなたは何を思い浮かべるだろうか?

 

私は、カブトムシはいないが蝉はそこら中にいるくらいのレベルの町で生まれ育った。小学生の頃はドッジボールをしたりフナを釣ったり、中学生になったらそれがスケボーになったり初めての彼女ができたり、高校生になったら無理して大人っぽいことをしてみたり洋楽がいいとか愛知県民のくせに裏原系がいいなどと言ったりしていた。要するに、都会に憧れる、量産型の田舎の子供であった。

 

中学生の頃、修学旅行で東京に行った。一日目はディズニーランド、二日目は上野のアメ横へ。そこで欲しかったスニーカーを買ったんだけど、そのスニーカーを買いに行くためのスニーカーがダサくて恥ずかしかったことを強烈に覚えている。(ちなみにこの症状は洋服を買いに行くときもよく起きた。厨二病の期間はずっと続く。)

 

先日、仕事で上野へ行った。私は川崎に住んでいるので(いつか川崎といえばBAD HOPかトナリズムかといわれるようになりたい)。JRに乗れば上野まで24分だ。(川崎→品川→新橋→東京→上野)。メールやチャットに返信しながら、ふと車窓から外を見ると、いつもの見慣れた超高層ビル群があらわれる。

 

「次は東京」

 

その時私が思ったことといえば、「はいはい、東京ね。分かってるから早く上野着いてよ。時間ギリギリなんだから」である。と同時に、例の取引先にどうやってあの半導体を提案しようかとか、トナリゾート富良野の紹介動画の原稿書いてないやとか、なんであの社員は突然辞めていったんだろうとか、南米の取引先から資料が全然出てこなくてムカつくとか、契約書の甲乙逆だろうが、こんな隅々まで俺が見ないといけないのかよ、と思ってさらにムカつく、など、同時に80個ぐらいのことを考えながらイライラしていた。

 

話を中学生の修学旅行に戻す。「次は東京」と聞いたときに思ったことは、「ウェーイ!東京じゃん!ビルでか!てか次は上野じゃん!コンバースのワンスター買うんだ!古着もいいな!早く着け!!」であった。

 

「次は東京」と聞いた時、昔も今も早く上野に着きたい事実は変わらないんだけど、その理由と、そう考える自分の内面は大きく変わってしまった。

 

上野での商談は、19時ごろ無事に終わった。いつもならすぐ帰るけど、なぜかその日は一杯飲みたくなって、一人で立ち飲み屋に入った。隣のおじさんが、慣れた手つきでホッピーを作りながらもつ煮を食べていた。私も同じものを頼んで、ゆっくりと飲みながら、ひたすらメールとチャットを返した。

 

一時間ほど飲んだだろうか。相棒のホッピーと仕事を終えて、少し気持ちよくなって外へ出た。中学生の頃にはもちろん買えなかったカッコいい革靴を履いて、肌寒くなってきたアメ横を歩いた。相棒のおかげか、商談前に靴擦れで痛んでいた足の痛みがやわらいでいた。

 

川崎へ戻る電車に乗った。

 

「次は東京」

 

「あと15分で川崎だ。早く着いてほしいな。」そう思った。「大切な人のトナリにいられる時間を増やす」という夢を叶えるために作った会社と、いつもトナリにいたい大好きな家族が待つ川崎へ。中学生の頃は、名前も知らなかったその街へ。

 

ちょっと話が横道に逸れるけど、先日実家に帰って地元の友人と飲んだ。彼は大量の酒を飲んで、ずっと会社や部下の愚痴を繰り返していた。酔っぱらいすぎて、ミックスナッツの皿に何度もタバコの灰を落としながら。次の日、「昨日の記憶が全然ないw」というLINEが来た。このブログを見てたらごめんだけど、私は全く楽しくなかった。俺と過ごした時間の記憶を失うような奴にはもう会いたくないな。そう思った。家に帰って、たまたま起きていた父親にその失望を話した。

 

「まあ、そういう時もあるだろ。裕也だって、あいつに助けられたことはあるだろ?」といつも無口な父親がボソッと言った。

 

確かに、何度もあったな。とハッとした。彼は私より先に起業していて、その挑戦が私の背中を押した。ここでは言えないような恥ずかしい話や、もう立ち直れないと思うほどの挫折をした時、彼は隣でずっと話を聞いてくれた。LINEの返事しなくてごめん。また名古屋に帰る時連絡するね。書類を出さない南米のパートナーにだって、契約書の甲乙逆に気付かない社員にだって、助けられたこと、救われたことは何度もあった。

 

いつも私は、自分のタイミングで、自分が欲しい答ばかり求めてしまうよなあ。彼らのおかげで、今の会社が、家族が、そして自分があるのにさ。そうやって反省する自分と、それでも俺がやらなきゃ誰がやるんだ。という自分が、目まぐるしく変わる毎日。

 

ふるさと清須市の夜空に見えるオリオン座は、中学生の頃と変わらずにとても綺麗だった。

 

「次は東京」と聞くと、あなたは何を思い浮かべますか?

 

※サムネ写真は川崎コストコにて。「次はお菓子コーナー」です。

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