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魚になりたい僕と、鳥になりたい君

  • その他
公開日:2025.08.25

この世にお金で買えないものはあるだろうか?その深遠なる問いに答えるため、時を15年前の2010年、私が23歳の頃に戻す。私は当時ロックバンドでギターボーカルをやっていて、プロを目指して日々練習、曲作り、レコーディング、ライブに明け暮れていた。お金は常に無かったが夢だけはあった。メンバーとファミレスで毎日のように夜遅くまで、あの曲はああでもないこうでもない、などと意見をぶつけ合いながら頑張っていた。あの頃の俺たちは、二番のBメロのリズムを変えたら、世界を変えられると思っていた。

 

当時の私には素敵な彼女がいた。ライブにたまたま来てくれて、私が一目惚れしてお付き合いすることになった。私は彼女のことがとても好きだったけれど、彼女はあまり愛情表現をしないタイプで、私のことが本当に好きなのか分からなかった。青春ですねぇ。

 

たまに学生時代の友人と飲むと、「俺最近大きな取引を決めてさ、ボーナス50万円もらったんだ」「私も次回の異動で海外駐在になりそう」「実は私、結婚します」みたいな話が多くなってきた。ところで裕也は?と聞かれ「俺はまだバンドやってるんだよね」と答えると、「そっか。学生時代から頑張ってたもんね…。ところで○○も銀行で大活躍らしいじゃん」という感じになった。同じような経験をしている人には分かると思うが、とても辛い。「俺たちならプロのミュージシャンになれる」という言葉は、メンバーと数少ないファンの前でしか言えなくなってきていた。

 

こんな風に弱っている時に当時の彼女に「ああ俺もう魚になって海で自由に泳ぎてえよ」と愚痴った。なぜ唐突に魚なのか?水族館に行ったのか、ちょっと無理して寿司を食べたのか、経緯は忘れた。23歳なんてそんなもんだ。そしたら彼女は「私は鳥になりたいな」と言った。「なんで?」と聞いたら、「だって空は海より広いでしょ?」と答えた。その瞬間私に奇跡のメロディーが降りてきた。ピンクの中古ヴィッツで彼女を家まで送って、急いで家に帰り曲を書いた。曲名はSession(セッション)。それまで数十曲と書いてきたが、これは良い曲ができたとメンバーに聴かせた。みんな「いいじゃん」と言ってくれた。でも私はメンバーのアレンジが全く気に入らなかった。悩みに悩んで、この曲をネットで公開し、違うメンバーと作り上げよう。と決意した。今も昔も私は即断即決、即実行。すぐに公開し、多くのミュージシャンとスタジオでセッション(音を合わせること)をしまくった。その中で、ドンピシャなギターを弾いた男がいた。彼の名前はショータロー。そして彼とPop’n Paul(ポップンポール)というバンドを結成し、Sessionを作り上げた。ちなみにこの曲はSony Music Entertainmentのオーディションで楽曲審査に通った。(自慢)。しかし、演奏審査で落ちた。この時に私は、この曲で無理なら俺たちもう無理かも、と思ってしまった。今の私なら諦めないと思うけど笑。

 

しかし時が経つのは早いものだ。あれから15年。私はベンチャー企業「トナリズムグループ」の経営者として、ホテル/民泊運営、海外投資、半導体商社、人材紹介など、複数事業を展開するようになった。当時の音楽仲間とはほとんど連絡を取らなくなったが(まだバンドをやっているヤツもいる)ショータローとはたまに連絡を取っていた。「この曲良いよ」とか「レッチリのライブ行ったけどマジ最高だったわ」みたいな。そんな話の中、Sessionって良い曲だったよな。という話になった。「だよな。もう一回録ろうぜ」と私がノリで切り出した。(15年前もいつもそうだった)。「いいね」とショータロー。というわけで、録り直すことにした。(急展開笑)

 

ここで問題発生。曲はあり、私がボーカルでショータローはギターだが、当時のベースとドラムとは連絡を取っていない。どうしようかな?と思ったが、そこは何が何でもやり抜く執着心の強い私である(働け笑)。私が仙台で働いていた時の音楽仲間に連絡を取ったところ、「いいね。ベースとドラム、キーボードも最高の人がいるから紹介するよ」ということになった。僥倖。そこからデータのやり取りで曲のアレンジを進め、レコーディングへ。想像よりめっちゃ良い曲になったので、調子に乗ってPVも撮った(働け笑)。

 

サクッと説明したが、仙台のバンドメンバー、モデルさん、ヘアメイクさん、撮影スタッフ、そしてギターのショータローなど多くの人がこのSessionという曲にかかわってくれた。みんな仕事や家庭がある中、時間を作って参加してくれたわけだ。彼らが聴いてきた音楽、観てきた映画、そして人生そのもののすべてが交わって、この曲とPVが完成した。感動。

 

冒頭の問いかけ、「この世にお金で買えないものはあるだろうか?」に戻る。私はあると思う。この曲とPVを手に入れようと思って、お金で買えるだろうか?買えない。自分で作詞作曲し、メンバーを見つけ、バンドを結成する。そして残念ながら活動休止したものの、15年後に元メンバーに連絡し、演奏してくれる他のメンバーを見つけ、撮影してくれる人、モデルを探し、全員を口説き、参加してもらって初めて完成するのである。金だけじゃできない。

 

そうやって楽しみながら、時には苦労しながら自分たちで作り上げた作品は、どんな高級マンションやクルマよりも価値があると私は思うんだな。今回このSessionプロジェクトにかかわってくれたメンバーの皆さんに、心から感謝をお伝えします。ありがとう。

 

■仙台バンドメンバー

bass:田村康徳

drums:渡邉公夫

keyboard :南部大地

 

■レコーディング

recording: recording area funnel

 

■モデル/ヘアメイク/監督・撮影

model:鹿野かりん

hair&make:牧野恵利華

film:齋藤陽介

 

■演奏/作詞・作曲・編曲

guitar&arrangement:高木頌太郎

words,music&vocal:新川裕也

 

今回のSessionのように、トナリズムグループの仲間と作り上げた事業も、お金で買えない素晴らしいものだと思っている。ミュージシャンを目指していた頃と同じように、たまにスイッチが入ると、きついことを部下に言ってしまうこともあるが、それでも一緒に走ってくれることが本当に嬉しい。「違う才能を集めて良い作品を作る」という意味では、バンドも会社も全く同じだ。結局私のスタンスは昔も今も変わっていないのかもしれない。これからも、世の中を(そして自分自身も)ワクワクさせる事業を作るぞ、オー!それではSessionを公開します。ぜひ(できれば大きな音で)、聴いてみてください。良いなと思った方は、感想とともに拡散してくれるとめちゃくちゃ嬉しいです!

 

 

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