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思い出されるということ

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公開日:2025.07.10

先日ラーメン屋でタンメンを注文したおじさんがいた。それを聞いて、私が仙台で会社員をしていた頃の支店長を思い出した。彼はラーメン屋でいつも「タンメン!野菜多めでな」と元気な関西弁で注文した後に「単身赴任やから、誰も飯作ってくれへん。せめて野菜を取らんとな」と我々部下に笑いながら言っていた。私は一番若く、そのたびに何とも言えず苦笑いしていたが、他の部下はみんな笑わなかった。おそらくみんな支店長のことをあまり好きではなかった。

 

私が働いていたのは大手商社。その支店長ともなれば当然厳しい。毎週月曜に開かれる全体会議では、厳しいツッコミがあった。「なんでやねん!」という面白い方のツッコミではなく「なんで受注できへんのや?先週と言うてること違うやん」みたいなピリッとする方だ。営業マン(男しかいなかったから、あえて営業マンという)は全員そのツッコミを受ける。私は当時若手で、支店にとってインパクトのある数字は持っていなかったので、「まあ新川は頑張りや」みたいな感じだった。それもあって、私は支店長のことが嫌いではなかった(が別に好きでもなかった笑)

 

上司や先輩と飲みに行くと、支店長の悪口を言う人もいた。私は昔から悪口を憎悪しているので、それを聞いているのが本当に嫌だった。だから「支店長はいつもタンメン食ってますよね」と言っていつも話を終わらせていた。

 

他のブログにも書いているが、私は当時の上司と合わず、この会社を辞めて上京して転職することになった。それを上司に伝えると、一度は慰留されたが、それを断ると面白いくらいに冷たくなった。今なら気持ちは分かる。(私は絶対やらないけどね)。たまに飲みに連れて行ってくれた他のグループの上司や先輩も、ああ辞めるのね。みたいな感じになった。まあそりゃあそうだよね。

 

退職日が数日後に迫ったある日、「新川、今週の金曜空いてたら飲み行かへんか?」と支店長に誘われた。正直めんどくせえなと思いつつ(我ながら性格が悪い笑)、予定がなかったので行くことにした。タイ料理屋だった。そこで何を話したかはほとんど覚えていないが、元気な関西弁で笑わせようとしてくれたこと、そしてたまに見せる寂しそうな表情をはっきりと覚えている。

 

偉そうに色々と語っていた人、支店長や会社の悪口ばかり言っていた人たちは、最後まで私を誘ってくれることはなかった。それが普通だと思う。ただの転職していく若造だ。今後コイツとかかわることもないと思われていただろう。

 

でも支店長はそんな若造の私とマンツーマンで飲みに行ってくれた。私もめんどくせえと思ってしまったが、彼にとってこそ何のメリットもなかったはずだ。それでも誘ってくれた。支店長はヘビースモーカーだったので、私も辞めていたタバコをコンビニで買って、帰り道に吸った。その日の夜を忘れないように。行って良かったなあと思った。

 

私はこれからも「タンメン」という単語を見るたびに支店長のことを思い出すだろう。そして、そうやって思い出される人だからこそ、大手商社で支店長になれたんだろうな、なんてことを今になって思う。

 

会社で働いていると、全員100%好きというのは難しいかもしれない。(私は本当に今の会社のメンバーが大好きだけど)、でも、ちゃんと人としてのリスペクトを持って接していれば、絶対自分のためになりますよね。なんて、「タンメン」から思い出したお話でした。

 

※写真は当時仙台で住んでいた家にて妻と。

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