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AIと人類の未来

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公開日:2025.03.31

皆さんは生成AIを活用しているでしょうか?もしまだであれば、ぜひ少し危機感を持って今すぐ無料版からでも試してみてください。かくいう私も毎日のように生成AIを使っています。最近では、AIと対話している時間が妻と話す時間より長いくらいです。その能力は本当に驚異的で、調べ物や分析はもちろん、事業の構想を練ったり組織戦略を考えてもらうことすらできます。ビジネス領域に限らず、クリエイティブな面でも生成AIは並外れたアウトプットを生み出しています(もはや「驚異的」というより「脅威的」と表現すべきかもしれません)。

 

■生成AIの驚異的な生産性
生成AIの登場により、人間には到底真似できないスピードと量でコンテンツを生み出すことが可能になりました。歴史に名を残す天才たちと比較してみても、その生産力は圧倒的です。

 

・絵画: ピカソは生涯で約5万点もの作品を生み出したと言われますが、生成AIであれば1日に1000枚の絵を描くこともできます。単純計算でわずか50日でピカソの総作品数を超えてしまうことになります。
・文学: 村上春樹は(現時点で)長編小説を14作品、シェイクスピアは戯曲を37作品残していますが、生成AIなら1日に50作品ほど執筆することも可能です。極端に言えば、彼らの生涯の執筆量をAIはたった1日で凌駕できてしまうわけです。
・音楽: ビートルズは名曲を217曲、モーツァルトは600曲以上作曲しました。ところが生成AIの音楽サービスBoomyを使えば、数秒で1曲を生み出すことが可能です。理論上は1日でビートルズの全楽曲を作り出せてしまう計算になります。実際に、AIが作曲した楽曲がSpotifyなどのストリーミングサービスに次々とアップロードされ、グローバルチャートにランクインした例も出てきています。

 

ピカソ、村上春樹、ビートルズ。いずれも各分野で傑出した天才ですが、"彼ら風”の作品であれば、今や素人でもAIの力を借りて瞬時に生み出せる時代になりました。漫画、写真、映画、ファッション、インテリア、建築など、他のあらゆる創作分野にも歴史的な偉人が存在します。そうしたジャンルのスタイルも、AIを使えば同様にあっという間にコピーできてしまうでしょう。

 

■AI生成コンテンツにあふれる近未来
あと5年、ひょっとすると3年以内には、インターネット上は生成AIによって作られたコンテンツで溢れかえるでしょう。そしてそれらが人間によるものかAIによるものか、もはや見分けがつかなくなっているはずです。そうなったとき(私はこれが確実に訪れると見ています)、我々人類に残される役割は何なのでしょうか?私の考えでは、その答えは大きく二つあります。

 

①人間の手が必要な仕事
一つ目は、建設・介護・医療・機器の取り付けといった、人間の手で行わざるを得ない仕事です。現在のところ、家を建てたり人の身体をケアしたりする作業は、人間が自ら手を動かしてこそ成り立っています。将来的にこれらもAI搭載ロボットなどで自動化される可能性はありますが、それにはまだ相当長い時間がかかるでしょう。しばらくの間は、人間ならではの手仕事が必要とされる領域が残り続けるはずです。

 

②ライブ体験の価値
二つ目は、ライブ──すなわち人間がリアルタイムで提供する体験の価値です。AIを使えばビートルズ風の新曲を作成することはできますが、本物のビートルズに生演奏させることはできません。今後はこのような「生身の人間によるライブ体験」の価値と価格がますます高まっていくのは確実でしょう。そしてこれは何もアーティストの世界に限った話ではありません。ビジネスの場でも同様で、人気の営業マンやコンサルタントによる対面での提案や商談は、徐々に有料化していくはずです。つまり、「人気のある人物がリアルタイムで自分のために時間を割いてくれる」という行為自体が貴重な商品となり、そこに対価が支払われる時代が来るでしょう。

 

もちろん、AIで情報を集約すれば極めて正解に近い提案を自動生成できます。しかし、腕時計・車・結婚式・住宅といった高額な買い物をする際には、「○○様にはこれがお似合いです」「この商品をお迎えいただければ、きっと素敵な未来になりますよ」といった言葉を人間から直接かけてもらいたいというニーズが根強く残るはずです。こうした心の通った接客や説得をAIが完全に代替できるようになるには、まだ相当な時間がかかるでしょう。一方で、安価な商品や誰が対応しても結果が変わらない見積もり業務などは、これまで以上のスピードでAIに置き換えられていくに違いありません。

 

■AI時代の格差とベーシックインカム
ライブ体験の価値が高まる未来は、裏を返せば「富める者はさらに富む」世界とも言えます。自身の存在や時間そのものを売りにできる一部の人々(才能や人気のある人)は、より一層大きな報酬を得るでしょう。

 

では逆に、AIの進化に追いつけない人は社会から取り残されてしまうのでしょうか。決してそうとは限りません。むしろAIによって市場全体の生産性とアウトプットが飛躍的に向上すれば、多くの人々がその恩恵を受けられるようになります。将来的には国や社会による富の再分配も進み、BI(ベーシックインカム)の支給といった形で誰もが最低限の生活を保障される仕組みが整うかもしれません。言うなれば、「AIからBIへ」という未来です。

 

■私の取り組みとトナリズムのビジョン
私自身、こうした時代の変化を見据えながらトナリズムグループという企業グループを経営しています。グループ内では、AI技術の基盤となる半導体ソリューションを提供するトナリズム、IoTを駆使したホテル開発によって大切な人と過ごす体験価値を提供するトナリゾート、そして南米を中心に途上国へ投資し、AIの恩恵を受けるための基盤となるインフラ整備に取り組むリサークレッジと、3つの事業を展開しています。分野は異なりますが、いずれも私が述べてきた未来像に関連する取り組みです。

 

そして私の個人的な夢、ひいてはトナリズムグループのビジョンは一貫して「大切な人の隣にいられる時間を増やす」ことにあります。どのような未来が訪れようとも、この軸をぶらすことなく事業を進めていきたいなと考えています。AIは敵ではなく、人類をさらに前へ進める友人となるでしょう。もしあなたがそれを望めば。それでは皆さん、ごきげんよう。

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