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「怒り」の値段

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公開日:2024.11.14

「最近一番腹が立ったことは何ですか?」面接をするとき、ほぼ確実にこの質問をしています。というのも「怒り」の感情に最もその人の価値観があらわれると思っているからです。人によって、色んな回答があります。やはり面接という特殊な場なので、仕事の話をされる方が多いです。「上司がいつも不機嫌で腹が立つ」「部下が全く自分のいうことを聞いてくれなくて腹が立つ」この手の話が多いです。

 

私自身、最近腹が立ったことは何だろう?と考えてみると、実はあまり思い浮かびません。というのも、経営者をしていると毎日想定外の事件が連発するので、いちいち腹を立てているとキリがないからです。とはいえ感情がザワつくことが皆無かといえば当然そんなことはなく、いくつか具体例を挙げます。

 

当社は商社なので、南極大陸以外、すべての大陸の国とお取引をしています。彼らの常識は日本人とは全く違います。分かりやすいのは当社への支払いが遅延したときの対応です。日本のまともな会社であれば、「大変申し訳ありません。○○日までに必ずお支払いいたします」の一択だと思います。一方で先日支払い遅延したとある南米の国の人は「利益が出ていないのだから、支払うことはできない。」みたいなことを本当に偉そうに言ってきました。起業したての私は、この手の対応に全力で感情的になっていました。もっと分かりやすく言うと、ブチ切れていました笑。「は?なんで今さらそんなこと言ってるの?自分が言ってる意味分かってる?こちらにも資金計画があるんだけど。ていうか前言ってた話と全然違うよね?あれは嘘なの?ていうか、遠いから回収に来ないと思ってナメてんの?」みたいなことを言っていました。

 

しかし、ある時気付いたのです。怒っても全て無駄だと。

 

なぜなら支払い遅延は既に起こったことであり、偉そうに言い訳する彼の態度は何十年もかけて作られた彼の人格だからです。極東の取引先である私が何を言おうとも、彼の態度を変えることなどできないのです。

 

これは極端な例ですが、似たようなことは日常でも多く起きています。夫(妻)が話を全然聞いてくれない、子育ての方向性で喧嘩する、子供が言い訳ばかりする、上司が全て否定してくる、部下が全然本気で働かない。などなど。居酒屋に行けばこの手の愚痴が耳をふさいでも聞こえてきます。

 

私が世界で最も嫌いなのは、愚痴・陰口・悪口です。なぜなら意味がないからです。まずそれらは相手に届かないので、相手を変えることはできません。そしてそれらを口にする度に自分の心が汚れ、自分を嫌いになっていきます。これが癖になっている人は、今すぐやめた方がいいと思います。当社のValue(行動規範)の一つに、Smile(常に笑顔で仕事に取組み、世界中に笑顔を増やします。話しかけたい人になろう)があります。一日の3分の1を過ごす仲間を悪く言うほど、無駄で悲しいことはないですからね。

 

少し話が逸れました。先ほどの私の例でいえば、正しい行動は彼を罵倒することではなく、彼と安易に取引を始めた自分自身の甘さを反省することです。そして、当社のミッションに共感してくれる優良顧客を増やしていくことです。怒る時間もエネルギーも無駄です。その力を自分たちを愛してくれる取引先へ使うのです。

 

直近の全社会議で私はこう言いました。「トナリズムは本当に素敵な人ばかりです。お互いにリスペクトしあって、この環境に感謝しながら、プロとしての仕事を続けていきましょう。」本当にびっくりすることですが、今の当社には性格が最高な人しかいません。そしてここからが本題なのですが、私は社員には本気で怒ることがあります。なぜなら、怒る価値があるからです。ともに同じ未来を目指しているからです。(もちろん怒鳴ったりするという意味ではありません)。同じ理由で家族や親しい人にも怒ることがあります。なぜなら、大切だからです。適当にあしらうわけにはいかないからです。

 

何が言いたいかというと、私は大切な人にしか怒りの感情をあげません。怒りの値段は安くない。不義理をしてくる人にタダでくれてやるものではないのです。というわけで、今日は怒りの話でした。ではまた!

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